【介護×ChatGPT】介護業界における「ChatGPT」の活用方法
前回、導入を検討している方向けに「ChatGPT」の基本的な情報と活用方法、リスクについて記事を書かせていただきました。
今回、本記事では、筆者が携わる介護業界での「ChatGPT」の活用方法について述べていきます。
「ChatGPT」とは何か気になる方は前回の記事を読んでいただけますと幸いです。
また、より詳しく介護現場での「ChatGPT」の活用方法を知りたい方はこちらの記事を読んでいただければと思います。
1. 介護業界での「ChatGPT」の活用方法
まずは「ChatGPT」に直接、活用方法について問いかけてみます。
回答に対して考察していきます。
1-1. オンライン相談・サポートシステム
1つ目の「オンライン相談・サポートシステム」から見てみましょう。
こちらは利用者さんおよび利用者さんの家族をユーザとして見立て、「ChatGPT」を情報検索システムとして活用した活用方法となります。
利用者さんが自分自身の身体機能や健康状態、生活においての不安を感じた際に、もしくは利用者さんの家族が気づいた際に「ChatGPT」を利用して、介護が必要か不必要かを問いかけると、「ChatGPT」が一般的なデータを基に判断をしてくれます。
多くの方は、行政に足を運び説明を受けたり、ネット検索によって情報を得たりしますが、就労者の多くは日々の仕事や家庭により、行政に行くことが難しい、また、ネットの情報はネットリテラシーがないと誤情報を信じてしまう方もいるため、「ChatGPT」にて学習データに基づいた情報を得ることができるのはメリットと考えられます。しかし、「ChatGPT」を当たり前のように使いこなす必要があるため、LINEアプリと同様に認知度があり、普及していることが前提であり、現在においては抵抗感や学習コストが必要となる点は、デメリットです。
1-2. データベース構築と活用
2つ目の「データベース構築と活用」を見てみましょう。
こちらは厚生労働省が運営している「LIFE(科学的介護情報システム)」と同様のシステムを「ChatGPT」を用いて構築し、利用者さんの基本情報や、利用者さんの情報、実施したケアの内容などをデータとして登録します。
登録したデータによって分析が可能となり、利用者さんに合ったサービスやケアプランの立案などに対して活用することができます。
「ChatGPT」を用いてのデータベースの構築は個人情報の情報漏洩リスクが生じます。もちろん、「LIFE」に関しても厚生労働省が運営とはいえ、情報漏洩のリスクがないとは言い切れませんが、情報漏洩時の対応に関しては厚生労働省のほうが安全と言えます。そのため、こちらに関しては「LIFE」を利用することを推奨します。
1-3. AIチャットボットの開発
最後に、「AIチャットボットの開発」を見てみます。
利用者さんおよび利用者さんの家族が施設や事業所に対してサービスに関する質疑応答ができ、その対応に職員が拘束されないことは非常にメリットであります。しかし、開発にかかる費用が実際にどのくらい問い合わせが来ていて、その問い合わせにどのくらい職員の時間が拘束されているのかを分析し、採算を取った上でAIチャットボットを開発する必要があるのかの是非を考える必要があります。
2. 筆者の考える「ChatGPT」の活用方法
まず、介護施設においての日々の業務を「現場的業務」と「事務的業務」に切り分けましょう。
ここで言う「現場的業務」とは、送迎や食事・トイレ・入浴介助など毎日発生する業務と捉え、「事務的業務」とは、報告書の作成やメール対応などの業務と捉えます。
2-1. 現場的業務
基本的に「現場的業務」では、常に利用者さんと接してるため、「ChatGPT」を活用する場面は訪れにくいです。
しかし、多くの利用者さんがそれぞれ異なる曜日で利用していたり、新規の利用者さんが短期的に増えた場合は「利用者さんの情報」や「病気・症状」に関して情報や知識を求める場合があります。
「利用者さんの情報」については、「ChatGPT」が提案した「データベース構築と活用」を用いると、先述した通り、情報漏洩のリスクが高いため、使うことは推奨しません。
個人情報を外部に漏洩させないためにも、お手数ですが、紙ベースのケース記録を確認するか、もしくは施設内アクセスのみでデータ化された利用者さんの情報をモバイル端末などで確認することが、セキュリティ面において安全といえます。
「病気・症状」については、「ChatGPT」を活用し、情報を取得することができます。また、「ChatGPT」とLINEであったり、「ChatGPT」と他ツール・アプリを組み合わせたシステムを構築することによって、施設側での管理が簡易的になり、思わぬ事故やリスクを回避することができるため、サービスの質の向上につながります。
2-2. 事務的業務
まず、介護士をはじめとした専門職による報告書(ヒヤリハットや事故報告、個別機能訓練加算など)の作成は、テンプレートや書き方指導があるとしても、人によって得手不得手があります。
例えば、キャリアや経験年数を積み重ねてもなかなか文章を作れなかったり、報告書を作成することはできても作成した文章の修正が必要であったりなど、人によって報告書の質は変わります。
しかし、「ChatGPT」を活用することで文章レベルを統一でき、施設における報告書の質を一定基準に図ることが可能となります。
メール対応に関しても、メールの文章を考える時間を削減でき、かつ、報告書と同様に安定した質を保った文章を作成することができます。
また、新卒職員や中途採用職員への指導に関しても、「ChatGPT」を活用することによって、指導に対する業務工数を削減することも可能であり、業務の効率化を図ることができます。
まとめ
今回は介護・福祉業界について書いていこうと思いましたが、介護業界についての内容が思った以上に膨らんだため、限定させていただきました。
「ChatGPT」とサービス・アプリを組み合わせたシステムも少しずつ開発し始めているため、そちらについてもいつか書けたらと思います。
ご高覧いただきありがとうございました。
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