宇津保物語を読む 俊蔭Season4 #3
兼雅うつほに至り、子に会って境遇を聞く 大将は、たいそう険しい尾根を5つ超えていらっしゃると、獣たちがすでに貝を伏せたようにひれ伏して同じ方に向いている。そこを分け入り、この琴の音を探し訪ねてうつほのある杉の木の元に近づき馬から下りて見廻しなさる。
この木の前には多くの木が人懐かしく植えられており、苔を敷き、砂を撒いてある。そのさっぱりとした木陰に立ち寄って声をかけなさると、このうつほの中の人は、琴を弾くのを止めて不審に思ってご覧になると、とても美しい人が立っている。子が声