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小説

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#掌編小説

松野さんと河合さん6

いつものように河合さんの後ろを歩く。

さっきまで河合さんの副流煙をもらっていた。

いつもと同じ匂い。

でもどうして私達は水族館に来ているんだ?

「河合さん、水族館好きなんですか?」

「あんまり来たことないです。でもくらげ見せたくて」

「くらげ?」

私の頭の中に朧気なくらげがぷかぷか。

同じくらいクエスチョンマークもぷかぷか。

「松野さん今日元気なかったですよね?」

だからくらげ

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松野さんと河合さん5

閉店10分前。
お店の通路を端から端まで歩いて目的の人物を探す。

「いた!」

思わずいつもより大きな声を出してしまったようで、しゃがんで商品を陳列していた人物は、ビクッと動いた。

「松野さん、びっくりさせないでください」

「すみません…」

「まぁ、お客さんがいなかったからよしとしましょう」

そう言って立ち上がった人物は河合さんだ。

「それで?僕を探していたんですか?」

「あ、そうで

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松野さんと河合さん4

あ、松野さん。

近くの銀行に入金へ行ってきた帰り、お店の前で松野さんを見つけた。

夕方から夜になったばかりの薄暗い時間、松野さんは空を見上げていた。

「松野さん」

「あ、河合さん。おかえりなさい」

声をかければすぐにこちらを見てくれた。

「ただいまです。何してたんですか?」

「月を見ていました」

松野さんがまた空を見上げ、その先を指差す。

つられるようにそちらを見れば、あと数日で

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松野さんと河合さん3

今日は河合さんがお休みだ。

昨日ちょっと顔赤いなーと思ってはいたが、やっぱり風邪だったらしい。

今日の朝一でお店にお休みの電話をかけてきた。

だから今日の私は、真面目に働いている。

いや、いつも真面目だよ?

ただあんな風に気軽に話せる人がいないので、仕事の会話か、同僚に話しかけられた時に話す程度しか会話をしないから、いつもよりは真面目に見えているはずだ。

多分、おそらく、きっと。

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松野さんと河合さん2

うーし今日も働くかー。

左肩に右手を置いて、左腕をぐるぐる回しながら店内事務所を目指し歩く。

店内事務所が近づくにつれ、なんだかいい匂いがしてくる。

こんな柔軟剤の人いたかなー?と、小首を傾げつつパーテーションで区切られただけの店内事務所に入る。

「なんだ、河合さんか」

「第一声がそれってひどくないですか?」

パソコンに顔を向けたまま、視線だけをこちらに向けてきた。

「あ、お疲れさま

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松野さんと河合さん1

お疲れさまでしたー。

と、気の抜けた挨拶をシャッターの閉まったお店の前でするのが恒例だ。

それから数人で駐車場に停めてある車まで向かう。

各々の車に近づいた時にもお疲れさまでしたー。と、さっきより幾分元気なトーンで言うのもなぜか恒例である。

「松野さん」

同僚に呼び止められて、振り返る。

「なんですかー?」

あれ?何でこっち側にいるんだ?と思ったら、頭から停めてたのか。

自分はいつ

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