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「疑う」ことは「諦めない」こと

みなさんは「疑う」ことしてますか?疑うというと、悪いことを疑う、のように少しよくないイメージを持ちますが、クリエイティブにおいては非常に重要な行為だと思っています。今回は、疑うことがクリエイティブにとってどれだけ必要なことなのかを記します。

クリエイティブの現場では大きく分けて3つのシーンで「疑う」ことが求められると思っています。

  • クライアントを疑う

  • 常識を疑う

  • 自分を疑う

クライアントを疑う

我々クリエイターはクライアントから仕事をいただいていますが、クライアントを疑うことも重要です。クライアントからの、ああしたい、こうしたい、というオーダーはさも正しいように思えてしまいますが、本当にそうなのか、と一呼吸入れることは大事です。

過去に経験したのが「他社と横並びのデザインにしたい」というオーダー。「うちのはデザインがダメだから、まずは他社と比較して見劣りしない程度に整えたい」とのことでした。確かにそのクライアントのパッケージデザインは整っておらずリニューアルは必須でした。
でも私は「だからといって他社と同じにする必要はあるのか?」と考えました。クライアントの言い分を疑ったのです。

そこで私は売り場へ足を運び競合などの調査をしました。売り場ではどのメーカーも似たようなデザインで展開しており、どの商品がいいのか判断がつかない状況でした。

結果的に私はクライアントの意に反して、他社とは明らかに差別化されたデザインを提案しました。実地調査から、差別化された方が目立ち、存在感を示せると判断したからです。
クライアントもこの結果を受け入れてくださり、新しいデザインは他社と明らかに違うものになりました。

実際に展開すると売り上げは大幅にアップ。クライアントの言い分を疑うことで、よい結果を作ることができました。

常識を疑う

私たちは考えることなく、当たり前のこととして受け入れていることはたくさんあります。でも、それを少し立ち止まって、当たり前を疑うことで新しい価値やシステムの創造につながると思っています。

事例をあげます。昔は求人広告は広告枠の掲載料を支払って掲載をしていました。ネットの求人広告も毎月いくら、といった形で価格が決まっていました。でも、掲載したからといって人材が集まるわけではない。そう考えると、費用対効果は結構運任せに近いですよね。
この広告システムに対して、成果報酬というやり方を取り入れたところがありました。掲載は無料。だけど採用できたらお金ちょうだい、という話です。今では当たり前になっていますが、かつては斬新な考え方だったはずです。

こうした新しいお金のもらい方は、当たり前をそのまま受け入れていたら生まれていなかったはずです。サブスクみたいな考え方も常識を疑った末に生まれた手法なんではないでしょうか。

デザインは見た目を整えるだけではありません。こういった仕組みをクライアントと一緒に考えていくことも我々の仕事です。常識に縛られていたら新しいものは生まれないですね。

自分を疑う

これはクリエイターとして、どれだけ深く思考を巡らせられるかという話です。クライアントを疑う、と同じことを自分自身に対しても行うという内容です。

私たちもクリエイターとしての経験に基づいたいろいろな判断をしていますが、それが凝り固まってしまいマイナスに影響する時はあります。こう来たら、こうアウトプットする、みたいな決まりきったパターンで仕事をしだしたら危険信号です。

自分が考えたことは何も考えなければ正しいものとしてすんなり流れて進んでいってしまいます。でも自分の考えたこの内容は果たして正しく機能するのか、というように考えるクセがないといいアウトプットになりません。

自分を疑うことは難しいですが、常に仲間からフィードバックをもらうようにするなど、心がけでなんとかすることはできます。自分の敵は自分自身と思っておくぐらいが、いいのではないかと思います。

疑うことは諦めないこと

疑うということは考えることを諦めないということでもあります。もっとよくしたい、という気持ちがあれば必然的に「疑う」というアクションが生まれてきます。ここまででいいや、これでいいや、という突き詰めようとしない考え方はクリエイティブの幅を狭めてしまいます。
洞窟の入口すぐにお宝があったとしてもそこで満足せずに、諦めずに、最深部までもぐる事が大事です。最深部には結局お宝はないかもしれない。でも、そこまで到達するまでの思考そのものがお宝でもあるんです。
現状や出てきたアイデアに一度「?」をぶつけることで可能性がグッと広くなります。みなさんも、ぜひ「疑って」みてください。世界が広がります。


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