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「ゲーム機の恐怖」第六話
出陣じゃ
降下か落下か
っしゃ、行くぞ。行くぞったら行くぞ。誰も押してくんねぇから自分の力で行くぞ。分かってる。急かすなって。飛ばなきゃ何も変わらねぇ。飛んでも変わらないとしても飛ぶしかねぇ。”蒔かぬ種は生えぬ”っつぅだろ?
ちょちょちょちょちょちょっと待て。分かってるって。
もういっぺんよ、コード確認するから。
ふぅ。
にしてもあれだな。これで壊れたら、本当にお終ぇだな。
怖くねぇよ、別によ。強がってねぇ。おぅ、強がってねぇ。強がってねぇが心が丈夫じゃねぇんだよ、チクショー。なんつぅか、ハーネスがガタガタ震えてらぁ。俺が震えてんじゃねぇ、CPUの奴が震えててよ、その振動がハーネス伝ってこっちまで震わせてくるんだよ。俺は怖くねぇよ。おぅ、怖くねぇ。
アア、みなさん?もしだよ?もし俺が落ちて壊れちまってもよ、勇敢に戦って散っていったと後輩に伝えてくれねぇか?コードが緩いとか、アルバムの野郎に裏切られたとかはいらねぇ。そうじゃなくて、孤高の機械だったと、そう伝承してくれよ。もう少し盛って話してくれても構わねぇからよ。
なに?今?時間稼ぎ?俺が?
ちちちちち違ぇよ、バカ。怖くねぇって!分かんねぇかねぇ。俺はちゃんと伝言を残してるんだっての、バカ。壊れるのも怖くねぇよ。先代だって立派に務め上げたんだよ。俺だって最後は綺麗な花咲かせてやっからよ。
っしゃ、じゃぁ行くからよ。くれぐれも後輩に伝えてくれよ。
運命
縁に立ってと…。
行くぞっ。畜生、コントローラーの野郎、ウッキウキじゃねぇか。
あいつ投げられ続けて中のセンサーいかれちまったんはねぇのか、ったく。あはは。おめぇは面白いやつだよ。ありがとよ。
さぁ、行くぞ。
いち!
に!!
さん!!!
ダァァァ…って、言おうとしてんのに、おいおいおいおい、眩しいぞ、この野郎。
いきなり扉開けてんじゃねぇよってんだ。どしたどした?
かーーーっ!眩しいって。
なんだなんだ?誰だよ。振り回すなよ。振り回すんじゃないよ。てめぇ、笑ってんじゃねぇよ。おめぇさんは振り回され慣れてるけどよ、俺はこういうの慣れてねぇんだよ。
おいおいおいおい。
もしかしてよ、これが走馬燈ってやつじゃねぇのか?世界がぐるぐる回ってんだよ。ちょっとつねってみてくれ。いてててて、いてぇなこの野郎。加減を知らねぇのかったく。
まぁ、死んでねぇことは確かだ。
しめた!目は慣れてきたけどもよ、まぁだ地球がグルグル回ってら。
ここはどこだよ。あ?BOOKOFF?セカスト?縁起でもねぇこと言うんじゃないよ。コントローラーの野郎は呑気で良いよなったく。
裕哉の部屋?確かに見覚えある。おぅ、間違いねぇ。
再会
おおおおおおお。裕哉じゃねぇか。
元気だったかぃ?おうおうおう、変わってねぇな。いや、少しでかくなったんじゃねぇかぃ?どうしてやがんだよ、最近よ。ちゃんと飯食ってんのかぃ?怖いことねぇかぃ?ちゃんと眠れてんのかぃ?
いやな、コントローラーの野郎がよ、いっつもおめぇのこと心配してんだよ。俺ぁよ…その、あれだよ。裕哉の野郎がこれぐれぇで散るようなやつじゃねぇ、心配してねぇでてめぇは自分のことだけ心配してろって言ったんだけどよ。いつまでフワフワしてんだよって。
そりゃぁ心配みてぇでよ。こうも言ってた。もしかして僕たち忘れられちまったんじゃねぇかなって、いっつもボヤいてやがったよ。
そりゃおめぇだろって。あ?なんだよ、今裕哉と会話してる最中だよ!うるせぇなったく。黙ってろ。
まぁ、その。元気そうでよかった。
うん。そうだそうだ。元気があればなんでもできるって言ってたもんな。誰かがよ。
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