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投機の流儀 セレクション

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メールマガジン配信大手の「まぐまぐ」で好評を博し、堀江貴文氏(ホリエモン)と並んで2年連続「メルマガ大賞」を受賞、殿堂入りした週報「投機の流儀」。 人生の前場をセルサイドとして、…
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2021年10月の記事一覧

【投機の流儀 セレクション】岸田政権の経済政策の一端――消化不良であろうとなかろうと、現にそこに厳存するものが株式市場だ

従業員の給与はここに10年間横ばいである。米英は2倍を超えた。ドイツもそれに近い。日本だけ横ばいである。これを是正し、賃金アップを行った企業に対して法人税を低くするという方針をとれば、これは投資家の対象は従業員ではなくて企業だから株式市場にはマイナスだというイメージを持つが(筆者も一時はそう思ったが)、これは今から流行るESG基準 から言えば必ずしも株式市場にとってはマイナスにはならず、むしろプラスになるはずだ。ESG基準から言えば従業員の給料を改善させるということは企業イメ

【投機の流儀 セレクション】文藝春秋の「財務次官、モノ申す『このままでは国家財政は破綻する』」に対して筆者モノ申す

このままでは国家財政が破綻すると言われてから20年以上経った。筆者は20年前からバラマキ論や国家破綻論に対しては歯牙にかけなかった。早晩財政破綻すると財務官僚は騒ぐのが好きだ。「価格を1166兆円の借金」と矢野事務次官が言っているが、この言い方もまた歯牙にかける必要はない。事務次官といえば、企業で言えば生え抜きの社長である。頭の良い連中が志を持って霞ヶ関に集まった。そして23歳から旧大蔵省に入って その道の専門のはずである。筆者がなぜ財政破綻論を昔から歯牙にかけなかったかと言

【投機の流儀 セレクション】相場激動の仕掛け人

9月3日から先週末にかけての日経平均の大幅高、大幅安、また大幅高、これの仕掛人はどう動いたか。日本株式市場の現物売買の取り引きができない時間帯に日経平均先物が大幅に動き、それが日経平均そのものを上にも下にも先導する。その先物取引は海外投資家も売買に参加できる。筆者のパートナー石原健一氏はこの日経先物に注意を払っている。 それによればこうなった。 9月3日、菅首相退陣の第一報が入ったのは前場が終わってからであった。その時刻から後場が始まるまでの時間帯(11時30分~12時30分

【投機の流儀 セレクション】「岸田ショック」の正体

「成長と分配の好循環」は良いとしても「国全体の経済力を高める成長戦略と、格差是正につながる分配政策」とを謳っている。この後半の文言は社会主義的と市場では見なしているように見える。そして小泉内閣時代の「新自由主義経済」を転換して「新資本主義」の日本をつくると言っている。 「成長の果実がしっかりと分配されなければ消費の需要は盛り上がらず次の成長は望めない」と述べている。もっともである。しかし、富の再分配ということは社会主義的傾向だと市場では受け止められやすい。具体的に言えば、従業

【投機の流儀 セレクション】岸田新総裁と株式市場

総裁選の1回目の投票で岸田氏がトップになると、彼は比較的財政規律を重視していることから国債先物が買われ日経平均下がるという場面があった。 株式も為替も政策に反応しやすくなっている。29日の引け後に新総裁、したがって実質的には新首相が決まったことになるが、その29日と翌30日は岸田新総裁の誕生は株式市場にネガティブだという見方が先行した。岸田新総裁が掲げる所得再分配政策は「大きな政府」(米国で言えば民主党)を志向するものである。 投資家は規制改革路線の河野氏が優勢と見て日本株に