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【投機の流儀 セレクション】相場激動の仕掛け人

9月3日から先週末にかけての日経平均の大幅高、大幅安、また大幅高、これの仕掛人はどう動いたか。日本株式市場の現物売買の取り引きができない時間帯に日経平均先物が大幅に動き、それが日経平均そのものを上にも下にも先導する。その先物取引は海外投資家も売買に参加できる。筆者のパートナー石原健一氏はこの日経先物に注意を払っている。
それによればこうなった。
9月3日、菅首相退陣の第一報が入ったのは前場が終わってからであった。その時刻から後場が始まるまでの時間帯(11時30分~12時30分)に日経平均先物は240円の上昇。これは前場の安値から前場の引けまでの上昇幅220円を上回る上昇幅であった。その当日が終わった後、翌日朝までの売買停止時間帯に先物はさらに480円の上昇、その後の夜間取引ではさらに300円近く上昇。このように普通の現物取引がされていない時間帯を狙って海外投資家が素早く先物買いを入れ、相場の方向を決めるきっかけをつくる。したがって、日本の株式市場の目先急変の仕掛けをつくる張本人は海外投資家であるとさえ言える。
しかし、彼らは短期売買で値ざやをとることが主たる技であるから、持続的な上昇相場を作出するようなパワーはない。それではコロナ禍の中で日本株を買い支えてきた主役は誰か、日本銀行そのものである。
日本銀行が今年の3月18日・19日の金融政策決定会合でETF買いを原則として卒業してTOPIXに軸足を移すと発表した以降は日本の株式市場は上にも下にもダイナミズムを取り戻したことは事実だ(しかし、日銀も市場がパニック状態になることを防ぐために10月の急落時はETFを少々買った)。
原則的に日銀がETF購入から身を引いたことは相場のダイナミズムを取り戻したと「動画」で強調したことがあったが、その分を前日の日経平均先物売が、
現物売買が停止している時間帯(前場と後場の間の昼休みとか、後場が終わった後の夜中とか翌朝の寄り付きまでの時間帯)の海外投資家を主力メンバーとする買い方売り方が実際は日経平均の激動を主導する。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

はじめに
(1)海外投資家は4週間ぶりの買い越し。その金額は2019年10月第3週以来の2年ぶりの大きさ
(2)解散と選挙と
(3)個人投資家の投資余力は弱まったが下値は堅かった
(4)相場激動の仕掛け人
(5)「岸田ショック」の乱高下について
(6)10月の久しぶりに大幅な海外勢の売り越しは「岸田内閣を売ったのだ」と言える。「先行ウリ」「理想ウリ」であったが「ちょっと待てよ」となった
(7)8日間連続安とその後の大幅高という荒れた日本株を振り返る
(8)政治の安定、政策実現の可能性を占う具体的な目途について
(9)令和版所得倍増
(10)「分厚い中間層を焦点とした成長戦略」
第2部 中長期の見方
(1)岸田内閣の経済政策の注目点
(2)自民党内外における岸田総理の影響力
(3)日経平均、強気と慎重派の意見を要約する
(4)当面の市況と中長期の見方:株価動向は①企業業績が基本となり、②政治の安定と政策の中身、+➂海外要因、この三つ
(5)「2050年カーボンニュートラル」と「第6次エネルギー政策」
(6)バイデンはアフガン問題で支持率が大統領就任以来初めて50%を下回った、が、後年に名大統領だったということになるに違いない
(7)アフガンの失敗はアメリカの傲慢さからくる必然
(8)株式投資に最も大切なことは何か?
(9)友人のジャーナリスト嶌信彦通信(2021年10月8日 vol.291)より
第3部 読者との交信蘭
岡山のO様との交信(受信10月14日、返信10月15日)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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