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【投機の流儀 セレクション】岸田政権の経済政策の一端――消化不良であろうとなかろうと、現にそこに厳存するものが株式市場だ

従業員の給与はここに10年間横ばいである。米英は2倍を超えた。ドイツもそれに近い。日本だけ横ばいである。これを是正し、賃金アップを行った企業に対して法人税を低くするという方針をとれば、これは投資家の対象は従業員ではなくて企業だから株式市場にはマイナスだというイメージを持つが(筆者も一時はそう思ったが)、これは今から流行るESG基準 から言えば必ずしも株式市場にとってはマイナスにはならず、むしろプラスになるはずだ。ESG基準から言えば従業員の給料を改善させるということは企業イメージが良くなる。企業イメージは良くなることは当該企業の株価が高くなる、米では企業年金にESG基準を設けるという。そして、収益優先から転換させるという。無論これを法制案として出す。そうなると岸田案はむしろ株式市場に好感される。 宏池会出身者で最も判りやすかったのは池田勇人元首相の「GDPを10年で2倍にする」(実際には7年で達成した)であり、これを「所得倍増計画」という名称で謳った。確かにGDPは国の年間所得であるから「所得倍増計画」と翻訳してもこれは誤りではない。これが最も判りやすかった。宏池会出身総理 2人目の大平元首相は「田園都市国家構想」を打ち出した。これも非常に格調の高い考え方であった。岸田首相の言う「デジタル田園都市国家構想」は太平構想の上にデジタルを付けたものだ。そして従業員の給料を増やして消費を盛んにさせてGDPの6割を占める消費活動から経済成長を押し上げるとい需要者側に立った見方を「新資本主義」と名付けてこれを打ち出すという。そのために財政出動でそれを助けるという。これが実現すれば日経平均が4万円を目指すだろう。ドル換算した日経平均は現在で史上最高値と並んでダブルトップを付けている。このダブルトップレベルを抜けなければ、ここが本当のダブルトップを形成してしまう。宏池会出身の格調高い理想を株式市場がどう受け止めるかである。今のところ消化不良の感を免れない。しかし、消化不良であろうとなかろうと、現にそこに厳存するものが株式市場だ。株式市場に文句を言っても始まらない。そこに存在するもの株式市場である。

【今週号の目次】
第1部 当面の市況

(1)当面の市況
(2)当面の市況と中長期の市況
(3)岸田政権の経済政策の一端――消化不良であろうとなかろうと、現にそこに厳存するものが株式市場だ
(4)信用買いの倍率の高い銘柄の下げが目立った
(5)中小型株の値動きが低迷、大型株との乖離が拡大、上昇は先物主導
第2部 中長期の見方
(1)宏池会(★註)の岸田首相
(2)岸田政権は安倍・菅政権で強まった官邸主導型の統治スタイルを続ける気かどうか――「官邸主導」に対峙するのは「官僚主導」
(3)「矢野事務次官の日本財政破綻論は二つの意味で正しくない」(本稿10月24日号の第4部)、これの続き
(4)投資家のみならず国民全体に関係するGPIFは安倍政権で旨く行ったと言える
(5)中国恒大問題――いよいよ正念場を迎えているが、全ては中国共産党の管理下にある
(6)「チャイナショック」を警戒するがこれは金融市場の神経機能を破壊する問題ではなく実体経済に悪影響を及ぼすという問題だ
(7)恒大問題に対する中国政府の中国特有のやり方
第3部 「FIREを本気で目指す!」について
第4部 読者との交信蘭

(1)次の青春期相場で必ず大幅に報いられそうな人だと思うK様との交信
(2)日本郵船と川崎汽船を最高値近辺で買ったという岡山の質問者に対しての追伸送信10月24(日)
(3)本稿の購読中断していたが再度始められた読者との交信(賃貸業・不動産など経営)

【プロフィール】
山崎和邦(やまざき・かずくに)
1937年シンガポール生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。野村證券入社後、1974年に同社支店長。退社後、三井ホーム九州支店長に、1990年、常務取締役・兼・三井ホームエンジニアリング社長。2001年、同社を退社し、産業能率大学講師、2004年武蔵野学院大学教授。現在同大学大学院教授、同大学名誉教授。大学院教授は世を忍ぶ仮の姿。実態は現職の投資家。投資歴57年、前半は野村証券で投資家の資金を運用、後半は自己資金で金融資産を構築、晩年は現役投資家で且つ「研究者」として大学院で実用経済学を講義。
趣味は狩猟(長野県下伊那郡で1シーズンに鹿、猪を3~5頭)、ゴルフ(オフィシャルHDCP12)、居合(古流4段、全日本剣道連盟3段)。一番の趣味は何と言っても金融市場で金融資産を増やすこと。
著書『投機学入門』『投資詐欺』(講談社)など多数。
ツイッター https://twitter.com/toukinoryugi

【著書】
『賢者の投資、愚者の投資』
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