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11/19(日)法華八講<第1講>のご報告

・「法華八講」とは

去る令和5年(2023年)11月19日(日)、当山・神木山等覚院にて「法華八講」の第1講がつつがなく円成しました。

「法華八講」とは、聖徳太子の時代に日本に伝来した仏教の代表的な経典『法華経(妙法蓮華経)』8巻を8座に分けて行う法会のことで、平安時代から行われ、『源氏物語』にもその描写が見られる古儀です。

講師をおつとめ下さった東京都・円融寺(天台宗)ご住職の阿純章(おか じゅんしょう)様、ご参加の皆様、後援は仏教伝道協会様、有難うございました!

※本講座のキービジュアル、予告動画などは11/14付のこちらのエントリでご確認頂けます

・13:00開講~開闢法要

当日は小春日和で過ごしやすい気候。12:30開場、13:00開講。

まずは私(当山副住職)から、この「法華八講」開催の経緯や趣旨など、また、この会が今春まで実施していた「2年かけて『法華経』を読む会」の続編にあたる旨を説明。

そこから寺の本堂へと移動し、これから数年かけて開催する当企画の全体のはじまり(開闢)の法要を行いました。お唱えした経文は『法華経』の中の「如来寿量品偈」(通称:自我偈)。

そこから会場を客殿に移し、いよいよ講義のスタート。

・13:30~<第1部>講義
『法華経』成立前夜

<第1部>の講義では、まず『法華経』成立前夜と題し、大乗仏教成立の背景、経典の成り立ち、数ある経典の中で『法華経』がどんなお経なのか?などなど、仏教の通史、概略的なところを解説して頂きました。

小休憩を挟んで、講義はいよいよ『法華経』の内容へと。

・14:30~「序品第一」「方便品第二」

本講座で扱う『法華経』は、鳩摩羅什(くまらじゅう)訳の『妙法蓮華経』8巻28章立て。初回となった今回は、『法華経 巻一』に収録の「序品第一」「方便品第二」の講義でした。

「序品第一」のあらまし…

『無量義経』の説法を終えられたお釈迦さまは、そのまま深い瞑想に入られました。皆でその姿を合掌のまま仰ぎ見ていますと、突然、お釈迦さまの眉間の白毫から一条の光が放たれました。その不思議な出来事を目の当たりにした弥勒菩薩は、大先輩である文殊菩薩に訊ねると、文殊菩薩はある話を始めたのです…

「方便品第二」のあらまし…

瞑想を終えられたお釈迦さまは、説法をおはじめになりました。「これまで人に応じてさまざまな教えを説き、それによって人々は一応は救いに達したけれども、その奥にある真意までは誰も知らなかった。」そこまで説いて、お釈迦さまは口を閉ざします。「やめよう。これを説明してもわかるはずがない」と。三止三請ののち、語り始めたのは「仏というのは、ただ一つの大事な目的のためにこの世に出現するのだ。その目的とはーー」

講師の話は、ハリウッド超大作映画を引き合いに出すなどの聴衆を笑いに誘う軽妙な語りと、ご自身の経験も交えた深遠な仏教哲学とが交互に織り交ぜなれ、時を忘れて惹きこまれる内容。「一念三千」「一大事の因縁」など、経典の中で重要な箇所もたっぷりと解説して頂きました。

・16:15~<第2部>ワークショップ

休憩を挟んだのち、<第2部>では理解を深めるため講師と車座でワークショップ・質疑応答を実施。

「あの世は本当にあるのか?」や「坐禅をするとアッという間に時が経つ。あれは空に近い状態なのか?」などなど、参加者の日ごろの疑問が講師に投げかけられ、それに対して1つひとつ丁寧に応答して下さいました。

・17:00閉講

こうして講義は時間ぴったりに閉講となりました。4時間という長丁場も、始まってみるとアッという間。法味に浴した興奮から参加者は会場に残り、講師と対話を続けていました。

普段われわれが社会生活を送る中で、「あの世はあるのか」「空とはなにか」というような話は、なかなか出来ないもの。寺で、『法華経』について学びあう場とあればそういった話が出来るのは自然で、そうした人間が生きていく上での真理の追求(しかしなかなか日常生活では話題になりづらいこと)を胸襟を開いて話せる場があるというのは、それだけで今回開催できた意義は大きいと言えるのではないでしょうか。

・次回<第2講>へ向けて

今回の開催にあたっては有難いことに多数の反響を頂いており、講義内容は何らかの形で公開できればと考えています。続報追って。

繰り返しになりますが、講師をおつとめ下さった阿純章様、ご参加の皆様、有難うございました!

「法華八講」<第2講>は、令和6年(2024年)夏以降開催の予定です。


all photo by 戸高元太郎

(副住職 光信 記)

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