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「先輩」から「さん」呼びへ

学生時代に散々堪能した年下男性からの「先輩」という呼び名。

これは、青春時代だからこそより一層輝く呼び名だと勝手に思っている。

青春時代に、その敬称をつけるだけで一気にトキメキが広がる。
あの赤い夕日が差し込む放課後の教室で。少しグラウンドの土の匂いのする部室で。人の歩く音が遠くで聞こえてくる、屋上の踊り場で。

「藤堂先輩。」

「一花先輩。」

そんな場所でこう呼ばれ求められる甘酸っぱさはプライスレス。こんな素晴らしい青春はもう二度とこないだろう。最高だな。かわいいかよ。

そんな素晴らしい呼び名が聞ける青春時代。しかし時間というものは残酷で、すぐに泣く泣く言われなくなる。それが大人になるという現実。

もう教室も部室もない。大人になってからは踊り場はあっても、あの学生スリッパの、パタパタする音はしない。
そもそも大人はそこに入らない。ていうかむしろ、ない。

でも大人になってから年下男性は「先輩」と呼ばずに、私をこう呼ぶようになった。

「藤堂さん。」

「一花さん。」

ほほう、これはこれで・・・?
なかなか可愛いではないか。先輩と呼ばれるあれとはまた違う、大人になってからの呼ばれ方。大人の年下男性の嗜み。なかなか刺激的で興奮する。

そりゃあ、学生時代でもさん付けで呼ばれることはもちろんあるよ。

でも大人になってからのさん付けって、子供の時の「よそよそしさ」からくるものだけとはまた違う。職場の上司だからとか、年上のお姉さんだから。とか。随所に現れる年下要素からのさん付けというものがある。

大人になってからはこの「さん付け」で呼ばれることにこだわるようになった。

長らくパートナーにはいつもさん付けで呼んでもらっていた。興奮するからである。

特に事に及んでいる時のさん付けは本当に素晴らしい。
一糸まとわぬ姿で、互いを求めあっているにも関わらず「さん付け」ってどういうことよ。

なんでそこだけそんなよそよそしいの?って、もうなんかグッとくるものがある。正直堪んねえ。かわいい。

今後も年下男性からは断固「さん付け」でお願いしていきたい。

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