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奄美バス旅、ひとり旅: その①出発前の準備編(前編)

奄美大島に行ってみたい!
でも、団体ツアーでは行きたくない!
でも、車の運転できない!
奄美に親戚も友達もいない! そんな皆様へ。

「まずはレンタカーを借りましょう」と書かれたガイドブックを見て、溜息をついていたあなた。
それでも奄美の旅を諦めずに調べ続けてくださっていた皆さま。

お待たせしました。

(誰も待ってない?)

旅程管理をやってきた者として、「体験しないと伝えられない!」と、バス旅で行きやすいホテルなどに宿泊した感想など、自ら体験してきた記録をお伝えしたいと常々思っていた。

何を隠そう、自分自身がバス旅が好きなこともあって、何故この島には観光客向けのバスが無いのかと残念に思っていた。世界遺産になったのにと。
同じように感じている人も多いのではないかと思う。

運転していては出来ないことが、車内でできるのがバス旅のいいところ。
いくつになっても旅に出られるのも、バス旅のいいところ。

ご存じのとおり、バスルートや時刻表は定期的に変わるので、アップデートが間に合わないとと大惨事になる。
これは、とりあえず2022年6月時点の内容。(言い訳がましい小心者)

けれど、それをお伝えする前に、「奄美に来てがっかりした」なんてことにならないためにも、このルート作りにあたって心がけたことや、旅する前に知っておいて欲しいことを先ず書いておこうと思う。

いわば、出発前の旅の準備編。

記事の最後の方には、あった方がいいもの、持って来ておいた方がいいものや、持って来ない方がいいものなども書いてあるので、時間が無くて、もう出発準備中で、そこだけでも読みたいという方は、(前編)すっ飛ばして、(後編)一番下の見出しから一応ちらりとでいいので、目を通してみて欲しい。きっとお役に立つはず。

では、奄美大島へのバス旅のための心構えについて……。
(偉そうやな)


① 奄美大島は、沖縄リゾートとは全く違う。


沖縄みたいな明るくて、キラキラのリゾートアイランドを期待して来ると、驚くこと間違いなし。
ここは、世界「自然」遺産自然。自然のままが評価された島。

キャミソールみたいな服装で歩くと、間違いなく「浮く」。
(そもそも紫外線きつすぎて無理。虫にも刺されまくる)
海でビキニを着ていると、「え?」って、島民二度見する。

映えるだろうと思って、そんな写真を美化してYouTubeなどのネットに投稿しているあなた。この島でそんな恰好の人とどれだけ出会いました? 
詐欺罪で捕まりますよ。(嘘です)

言うなれば、ディズニーランドで黒いリクルートスーツ着て、革靴履いている人って感じ。(たとえが分かりにくい)

個人の好みなので、それでも良ければ止めないけど。
でも、世界「自然」遺産であることをお忘れなきように。

次に宿泊地について。
これもどこがいい?とかよく聞かれるのだけれど、それに対する回答は個人の嗜好によってかなり異なってくる。

とにかく安ければいいという人と、最低でも鍵はかかる部屋がいいという人と、古いのは耐えられないという人と、ゴージャスリゾートがいいという人と、テントで寝たいという人では、その場所が全く異なる。

最近では新たにリゾートっぽいホテルも増えてきているものの、空港近くの北部に集中している。
そしてこの辺りには、外食できる場所がほぼない。ホテル食を予約しないと夕食にありつけないという難点がある。(奄美は市内以外、ほぼ皆そう)

どのホテルでもコンビニが近くにあるとか思うなよ。
(おっと、お下品。失礼しました)

(日頃思っていたストレスが開放された時の心の声)

市内を除けばコンビニが近くにあるホテルは超レア。
夕食を宿の部屋で簡単にと思っているなら、持参するか、空港で買っておくか、市内のスーパーか、コンビニを見つけたら買っておくか、巨大スーパービックⅡで買っておくこと。

南の瀬戸内にも綺麗なホテルはできているけど、その殆どが内地の会社の手によるもので、奄美感があまり無い。
要はリゾートホテルというのは、日本中どこに宿泊しても同じ安心感がある優れものだということ。

けれど、ビーチフロントにあるホテルだからって、その前の海で泳げるとは限らない。
そもそも民家の無い場所に立っているホテルは、離岸流のある危険なエリアに建っていたり、崖の上だったりすることが多いから、かなりの確率で遊泳禁止になっている。
(もちろん、泳げるビーチに建っているホテルも、あるにはある)

というわけで、自然のままの古い宿や、ひとり旅なんだから部屋に鍵がかからない民宿は無理、という方は、北部に宿泊地を取るか、リゾート感は無いものの食事や買い物に困らない、夜中に開いているコンビニもある、便利な市内のビジネスホテルに泊まるかのいずれかになる。
(サラリーマンがいっぱいかと思いきや、宿泊者は観光客の方が実は多い)

そうして、この人の手が加えられた人工的なエリアは、勿論、世界自然遺産ゾーンから遥か離れた外にある。(当たり前)
このため、宿泊場所から観光地へは、車かバスで移動するということになるという訳。

私が今後個人的にお伝えするバス旅ルートでは、バスでひとり旅をしやすい宿泊場所なども併せてお伝えしていこうと思っているところ。

「送迎もやります。バス停も近いです。部屋に鍵もかかります!」
っていうこじんまりした宿泊所運営中のオーナー様、もしおられましたら、不公平無いように他と同様に自腹で宿泊した後、今後ここでお伝えしていこうと思っております。ぜひご連絡を。


② 奄美旅をするなら、その大きさをまず理解して


奄美大島は、沖縄の半分ほどの大きさだけれど東京23区より広い。
そうして、その観光名所がそれぞれ車で1時間以上離れたところに「点在」している。

つまり、1か所の観光地へ行くために往復2時間かかり、滞在時間が1時間だとしたら、それだけでもう3時間が必要となる。
となると、10時に開店が多いのんびりしたこの島では、午前中には1か所行ければいい方ということに。
この「目的地」には、ランチの場所なども含まれる。

夕方、日が暮れる頃には、飲食店を除く殆どの店が閉まり始める。
(市内除く)
市内のビジネスホテルに泊って、飲食店やスーパーがある屋仁川まで歩いて行けるのでもない限り、バス旅の方は予約してホテル食を食べておくほうが安全。

くどいようだけれど、リゾートホテルエリアの付近には、遅くまで開いているレストランや飲食店はほぼ皆無で、ホテル直営の店が予約で受け付けているところが殆ど。(材料を調達する必要があるため)

逆に、市内屋仁川エリアには多くの飲食店があり、レンタカーなら北部から1時間もあれば往復可能。
夜の10時くらいまでならば、予約さえしておけば入れてくれるところも。
(予約大事。ものが無くなるので)

けれど、バス旅で、北部に宿泊していて、バスで市内の飲食店まで往復の場合には、市内からの空港行き最終便が7時半よりも前という現実。

夕食を7時までに終え、北部に戻るバスに乗車するために、市内のしまバス待合所まで、歩いて戻る必要がある。
(ここが一番正しい時間にバスが発車するところなので。屋根もあるし)

詳しくは、必ずバス会社に電話をして、目的のホテル近くのバス停に、そのバスが停まるかの確認を。
時刻表を見ても理解できる島外の人、ほとんどいないはず。

いくら舗装されている道でもハブは出る。バスに乗り遅れたからと、独りで山道歩いちゃ駄目。独りだと、ハブにやられても誰も助けられないからね。
(我が家の前の舗装道路にもでかい奴が出た。可哀そうに轢かれてたけど)

夜の料理屋さんなどは、夕方5時半頃から営業の店が多い。
それまでに観光地から市内にバスで戻るには……と、食べるために逆算して考えていくことになる。時間を気にしていては、癒し旅の意味がない。

ハブに遭遇しないためにも、夜にエコツアーガイド無しで、しかもひとりで出歩くことは絶対にお勧めできない。
リゾートホテルに泊っている人なら夕食込みにしている方であればホテルまで戻る必要がある。(たいてい午後7時くらいが夕食開始時間)

レンタカーであろうが、バス旅であろうが、結局午後も1か所か2か所の観光地を巡れればいい方だという事。
(団体バスツアーの効率の良さがしみじみわかる。観光客専用に、小型バスでいいのでぜひ屋久島のような乗り合い周遊バスを作って欲しいもの。
いや、無ければ作るんです……だったな)

ちなみに、エコガイド付きナイトツアーを申し込んでいる人は、夕食をどうするかについて、しっかり時間を逆算しておいたほうが良い。
曲がりくねった山道を走るので、車酔いする人は特に。

奄美大島と検索して、出てくる観光地には、北部だけでも数か所あり、なかでもハートロックはすっかり有名になった。バス旅でも、バスを降りてから少し歩けば行けなくはない。干潮の時間さえ把握していれば。
(満潮時間に行ったら海の中で、何にもない)

大島紬を着て、写真を撮る体験をしたり、持って行ったTシャツで泥染めをしたり、と、観光客向けのプランは沢山。

私のお勧めは、奄美パーク内にある《一村美術館》。
が、これはかなりの時間を要するので、よほど絵が好きな方か、博物館的な雰囲気がお好きな方か、時間がたっぷりある方にのみお勧めしている。

奄美のゴーギャンと呼ばれる画家、田中一村の作品が集められていて、日本画には見えないような日本画が並んでいる。
その南国特有の色遣いや、この島にしかいない生き物たちが、細かく描かれていることに何度訪れても感動できる場所。(展示物が時々入れ替わる)

ここの隣の展示物で奄美大島の文化や概要を知って、自分が行きたい場所を確認して周ると、後々記憶にも残り、もちろん島のことを正しく知るための勉強にもなる。市内の奄美博物館と同じくらいお勧めの場所。
(細かいこと知りたくないの、景色だけでいいのという方はパスしてください)

広い庭園と、付近を見下ろす展望台、美術館、展示室と、分けてチケットを販売している。ここで半日のんびりするならば千五百円以下の入園料はお得ではないかと思う。
何より、営業時間であれば、入り口すぐの目の前にバスが停まってくれる。
(時間外だと、下の道路で降ろされる)
 
中部の住用エリアには言わずと知れたマングローブパークでカヌーを楽しんだり、クロウサギを夜に見に出かけたり(ガイド必須)できる観光ツアーが豊富。

北部から南部へと移動しながら、アクティビティをいくつも付け加えていくと、二泊三日で全ての見どころを回るのは無理だという事がお分かりいただけただろうか。
そして、その都度、ガイド費用や、観光費用が発生していくことになる。

そうして、ようやく南部。
空港からは、どんなに急いでもバスで2時間以上はかかる距離。
市内からでも1時間半ほど。
レンタカーの場合、Google マップはそのアップダウンや山道カーブが計測に入れられていないので、信用してはいけない。

バスなら空港から「せとうち海の駅」行きに乗って、終点まで2時間半程。
バスを一度も降りずにたどり着ける瀬戸内町の古仁屋。港町。
勿論、バスにトイレなどない。
直通で行きたい人は空港でトイレを済ませておかないとえらいことになる。

そして、私のいる宇検村へ行くためには、そのバスで終点まで行かず、少し手前の空港から2時間ほどの「新村」というバス停でさらに小型のバスへと乗り換える必要がある。道が、そこで分岐するためだ。
秘境、奥座敷と呼ばれる所以。

宇検村を走るコミュニティバス:《UKEN GO》(勝手に名付けて呼んでいる)

乗換場所には「島人mart(しまんちゅまーと)」と呼ばれるコンビニが1件あるのだが、乗換の時間がほぼないという事実。これは何とかして欲しいなと思う。
何故なら宇検村方面のバスに乗ってしまったら、もうコンビニは無いから。

ここまでして宇検村の中心部「湯湾」へ辿り着いても、湾の反対方面へ観光するためには、また別のコミュニティバス(一日3本のみ)に乗ることに。
そこからタエン浜や、屋鈍ビーチまでは、また更に1時間ほどかかる上、昼過ぎにはバスがなくなり、一度宇検村中心部で宿泊しなければならなくなることも。
(電話予約すれば18時ごろまでは動かしてくれる。オンデマンドバスという優れもの)

予算的に余裕があれば、エコツアーガイドをお願いしてその車で村内を周遊することもできるけれど、タクシー会社は無い。

この村は「何もしない」為に「ゆっくり流れる時を楽しみに来る」場所。
一度はまったら、何度も来たくなる場所で、毎年同じ時期に、同じ宿に来るリピーターのお客様が多いのが特徴。
勿論、クロウサギを観光するツアーもある。

車で走り抜けただけで、「何もなくて、つまらない」と思った方は、二度と訪れることは無い村とも言える。
でも、「それで良いんだよ。好きな人だけくればね」と村人は言う。

ここは、観光地化されていない、自然と共に暮らすエリア。
リゾートアイランドを楽しみたかったお客様は、確かに少々がっかりするかもしれない。

観光業に携わる者としては、たとえ一人でもがっかりするお客様がいることはとても残念なこと。
ここが嫌いな人は、放っておけとは言えない。

初めての奄美旅をする人が、満足できるようにするにはどんなバス旅が提案できるだろう。

そんな思いから始まったこの、自主企画。
ノープランではあるけれど、できるだけ観光ガイドブックに載っているような場所の中からバスで行きやすい場所をセレクトしていこうと思っている。

その中から、どうしても行きたい場所や食べてみたいもの、アクティビティをピックアップし、そこを拠点に行程と予算内でのプランを考えると、ひとり旅の方でも予定が立てやすいかもしれない。

もしも、5日以上のお休みの日程が取れて、時間があるなら、もしくは、二度目の奄美はどこに行こうと考えているのならば、是非とも、ここ宇検村へ。

湯湾バス停に降り立ち、「ケンムンの館」はどこですかと、道行く人に尋ねれば、そこから5分ほどの道のりを丁寧に教えてくれるはず。
(歩いている人がいたら、だけど)

曜日にもよるけれど、あと数年は、地域おこし協力隊として私がそこにいるので、インフォメーションで「ゆりさんいますか」とお声掛けください。
よほどのことが無い限り、飛んでまいります。
宇検村のぜいたく品、コーヒーでも飲みながらお待ちください。

バス旅を楽しんでいる人限定ですよ!
頑張った証のバスチケット見せてくださいね!
一緒に写真撮りましょう♪ 観光場所もお伝えしますよ。

(たくさん来たらどうしようと不安になる小心者の心の声)

あ、バスチケットですが、乗り降り自由の一日券、二日券、三日券ともに、残念ながら奄美空港での販売は無くなったそう。
代わりに、「バスもり」アプリをダウンロードして買えるようになったので、飛行機に乗る前にネット環境の安定している場所で購入しておいた方がベター。車内にWifiないので。
降りる時に携帯画面を見せるだけ。乗る時は不要です。
(車内販売があるらしいが、宇検村のコミュニティバス車内と瀬戸内古仁屋発の早朝バスなど。詳しくは、しまバスHPのご確認を)

それでは、長くなりましたので、後編へつづく。



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