奄美の梅雨明け、そして夏休みへ
奄美大島の梅雨が明けた。
といっても、梅雨明けから実はもう1週間も過ぎている。
即時情報をアップできないというSNSを扱うには致命的な弱点を持っている私。
そもそも前回の投稿からひと月もあけてしまっているではないか。
いったい私は何をしていて、ひと月もワープしたのか……。
「観光の案内をするには、頻度が少なすぎやしないかい?」
とのご意見、確かにその通りでございます。
情報をあげていないからといって、何もなかったわけではなく。
やること盛りだくさん過ぎてキャパを超えていた。
即時アップできる人、そのノウハウを伝授してください。
ところで、全然話は変わるのだけれど、最近、各地の空港に着く度、感じることがある。きっとこれ、各観光地にいる方も感じているはず。
コロナ禍で辞めてしまったガイドさん、お願いです、戻って来てください。
旅行会社がガイドを取り合う事態になった今春。
梅雨時になってもその気配は収まらず。
梅雨が明けても収まらず。
3年分の観光客が、待ってましたとばかりに訪れ溢れている。
そして、遠く奄美大島までお声がかかる始末。
学生団体の添乗で、奄美を離れた2週間。
どれほど奄美大島が恋しかった事か。
「二度とバス添乗などするものか!」と思っていたのに、可愛い子供たちの「ありがとう」の言葉に感激し、辛さを忘れてまたやってしまう学習しない人。
手渡されるチップの額は、自分がどれくらい頑張ったかの額。
期待を超えられなかった時のお客様の落胆が、チップに反映される。
満身創痍でそんな思いに打ちひしがれながら奄美に戻るや否や、今度は空港で焼酎蔵モニターツアーのお客様と合流。
アフターコロナという言葉がすでに遠くに行ってしまったかのような大混雑の奄美大島空港。
大きなサーフボードを抱えた人たちが笑顔で通り過ぎていく。
モニターツアーということで来ていただいた今回。
その目的はご意見を集めること。
今回職場から許可を出してもらえたことが何より有難い。
ここから新たな会社を興した場合には、各種許可も必要となって来る。
やるべきことは満載。この仕事はひとりでは無理。つくづくそう思う。
その為の費用確認も含めたモニターツアーがいよいよ開始。
お客様の宿泊地(滞在先ホテル)まで送り届ける前に、いつくか酒蔵を巡り、夜にはエコツアーガイドさんへとバトンタッチ。
そしてもちろん、ツアーの最後には宇検村まで来ていただくのがその目的でもある。焼酎だって「れんと」、「紅さんご」を製造する宇検村の開運酒造は外せない。
最適なルートを作ってのぞむはずだった今回。
この観光ルートお披露目の直前に、不幸が襲った。
そう、6月末の、梅雨明けの豪雨災害。
夜の全国ニュースでもかなり大々的に取り扱われたので、知っている人も多いのではなかろうか。未だにふるさと納税で募金を募っているような状況。
各崖崩れは、未だ手つかずだけれど、孤立していた集落と続く道路は、僅か2日で通行可能となった。
通行まで2週間はかかると言われていただけに、村民の感動は大きかった。
こういう時の「結いの力」半端ない奄美大島、宇検村。
そんな中、ようやく道路が通行可能になって、すぐにやって来てくれたお客様たち。
そりゃあ精いっぱい、おもてなししますとも!
たくさんの蔵を巡り、試飲をして、クロウサギを発見!
島唄を聞きながら、地元の人たちと焼酎を酌み交わす。
そんなリアル奄美大島の旅を堪能していただくことになった数日。
リアルながけ崩れに感嘆?するお客様に複雑な思い。
この1年間、あたため続けていたプランに喜ばれるお客様の姿を観るだけで、辛かった日本縦断のバス添乗業務が遠くに吹き飛んだ。
六調のリズムに乗り、唄い、踊る。幸せな時間。
ツアー後のアンケートには、「宇検村での自然だらけの景色と島唄体験が、最高に楽しかったです」とのコメントをいただけた。
これからこのプランが、実際に稼働していく中で、観光客向けの商品にならないように、あくまでも地元の人たちに溶け込む観光をどこまでできるか、それが近々の課題。
「2泊3日では全然足りません!」そう言いながら空港を後にするお客様。
その言葉にリピーター獲得を確信し、心の奥でにんまりする。
お客様を送る為、再び訪れた奄美空港。
バス停前で困った表情で大きなスーツケースを抱えて時刻表を見つめている人たちを見ると、この1年間、何もできなかったことに後悔しか湧いてこなかった。
観光には公共交通機関が重要。特にインバウンド観光客には最重要。
そのことに島の人たちが取り組むのは一体いつになるのだろう。
相変わらずのレンタカーありきの観光を繰り広げている奄美大島。
車無しで楽にめぐるには、旅行会社のツアーを申し込むか複雑怪奇なルートのしまバスに乗るか。
スーツケースを座席下に持ち込める空港バスは一台もない。
大きな荷物をバスに持ち込もうとする人が後を絶たない。
ようやく動き始めたインバウンド観光客への対応。
春に続いて、秋にも豪華客船がやって来る。
停泊料金が高すぎるせいか、一泊を限度に立ち去る客船。
南部の宇検村や瀬戸内には訪れる気配もなく、商店街だけで帰っていく。
何故か、客船が訪れる日(木曜日)は、閉まっている世界遺産センター。
マングローブも、世界遺産の島なのかどうかも確認せずに帰る人々。
世界自然遺産の島に来て、そのエリアをスルーして帰るしかない人達。
数百万円も出して日本各地を巡る人が、奄美大島への寄港に本当に満足して帰っているのか。
その人たちの心に、奄美大島はどのような島として記憶に残るのか。
いや、商店街で買い物をする以外、一切残らないのかもしれない。と思う。
単なる給油、休憩停泊地ではなく、観光もそこに暮らす人とのふれあいも、楽しんで欲しい。
そう思わずにはいられない。
8時間でなく、32時間の滞在が出来たなら、クロウサギにも出会えるかもしれない。
エコツアーガイドだって、もっと活躍できるかもしれない。
インバウンド対応には、英語力よりも先にインフラ整備が何よりも重要課題になっている。
私は、どこに働きかければい良いのか。
それさえも、誰に聞いてもわからない。
人と人との繋がり、縦割り、派閥、そんなものが邪魔をする。
あと1年程となった任期の間に、私にできることはあるのか。
何もできないまま終わるのではないか?
まぁ、その時は、元に戻るだけ。なのだけれど。
それでも、そんな私に声を掛けてくれる地元の人たちがいて。
残念ながら、村外の人が多いのだけれど……。
「一緒にやりませんか?」
そんな声に励まされながら、あと1年やってみようと思っているところ。
先に卒業した地域おこしの先輩が、ガイドとして頑張っている姿を見ると、応援せずにはいられない。
お客様を見届けた後、大阪の某ラジオ局から温かいメッセージを受けた。
災害に対するお見舞いの言葉と共に、ラジオの放送で災害の状況、募金の状況について一言案内いただけるとのご提案。
旅行説明会で偶然お会いした方からのご縁が、確実に私の故郷の大阪で少しずつ広がっていることを感じる。
前回の放送でのリスナープレゼントのパッションフルーツは、奇跡的に災害を潜り抜けていた。
自然の中で太陽をいっぱいに浴び、落ちることなく実った果実。
受験生がいたら差し上げたいくらい。
他の地域にはめったに出回らないそのフルーツは、あっという間に完売した。二期作なので、次回は秋までお預け。その際にお手伝いしていただける方がいたら有難いなと農家さんとお話し中の現在。
「焼酎蔵めぐりと農家体験モニタープラン」は、春先に再び検討予定。
お金を取れるようになるのはいつのことか。
もしも、「ひとりで奄美に来ます。車運転できません。どうすれば良いですか?」という方がいらっしゃれば、是非、ご連絡を。
今年からは、「ケンムンの館」を離れ、小さな村、宇検村の企画観光課で、観光で訪れる方のお手伝いをもう少しだけやっていきます。
いよいよ稼働する新たな団体の名前は……次回のお楽しみに。