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小幡城~巨大な土のダンジョン

 茨城県茨城町にある小幡城は、知る人ぞ知る「土の名城」である。築城者や沿革などは不明な点が多いが、縄張りの巧みな魅力の大きい城だ。

 アクセスは車がないと不便で、JR常磐線石岡駅から、関東鉄道バスで30分ほどの「新小幡」バス停から徒歩20分。バスの本数は平日でも8本くらいしかないため要注意だ。

 土の城というと険しい地形を利用していることが多いが、小幡城の特徴は「低さ」にある。遠目から見ると、少し盛り上がった微高地で城跡には見えない。高地のほとんどない平野部なので、ここに城を築くしかなかったのだろう。

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 しかし、入り口から少し入るとその魅力がわかる。城を探索するには空堀の底を通ることになるが、まるで巨大迷路のように入り組んでいるのだ。

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 城に入り込んだ敵は、迷っているうちに守備兵の攻撃を受けるに違いない。

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 堀底道は曲がりくねっていたり分岐していたりと、敵の動きを制約するようにできている。

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 櫓跡から堀底を見下ろす。高低差は20メートルほどしかないが、地形を最大限生かしている。

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 本丸は、平坦な空間が広がっている。本丸の周囲に5~6メートルの土塁を築いているため、曲輪の外から中をうかがうことはできない。

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 土橋。曲輪と曲輪を結ぶ通路の役目を果たした遺構である。

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 堀底道をぐるぐると迷わされているうちに、いつの間にか元の場所に戻っている。地図(縄張り図)がないと迷ってしまうだろう。

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「変形武者走り」という変わった遺構もある。写真ではわかりにくいが、土塁の上が細長くへこんでいるのだ。守備兵が身を潜ませて敵を攻撃する仕掛けだと考えられている。他の城には見られない唯一無二の遺構だという。

 守りやすい高い土地がないという制約のもと、工夫が凝らされた小幡城。城ファンなら訪れてみたい場所の一つだ。

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