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シンカ論:②フェミニズムの「抗議」は「馬鹿だから」だけか

 前回の『シンカ論』では、性的アプローチをめぐる女性のジレンマ、すなわち「経済力を持った男性を求めている」ことと「その欲望を隠すことを強いられる」こととの葛藤について述べた。

 そのうえで、男性の生活史のなかでそれに近い状況が「就職活動において【給与・待遇】を求めていることを隠し、精神論的な志望動機を語(騙)らなければならない」場合であることを指摘することで、女性の葛藤に対する筆者なりの理解と同情を示した。が、にもかかわらず、男性は「男性の本音を明らかにする広告」について炎上させたりしない。したとしてそれは正当でもなんでもない。

 私は「炎上」という表現を無責任な言葉だと思っている。言い掛かりであっても「炎上」といえば、「炎上」した側が悪いかのようなイメージで語ることができる。火事になぞらえるなら、言い掛かりである場合は「放火」とでも言うべきであろう。

 で、この着物広告の場合はまさに「放火」のケースである。ではなぜ彼女らはそうしたのだろうか。女性は精神的に男性よりも弱く、広告から受ける不快感のショックがあまりに甚大で、精神的余裕がないため「放火」に及んだのだろうか。

 これはいわゆる「性表現(ポルノ)」にも言えることである。ポルノ排除を叫ぶ女性(現代のフェミニストのうち相当多数)はしばしば「もし男が裸にされている表紙の雑誌がそこらにあったらどう思う!」と叫ぶ。

 いや本当に叫ぶのである。不合理なことに。

 もちろん男性にとって、そうなったとしても全く構わない。そしてそもそも現実に、女性向け雑誌では男が裸になっているし、ゲイ雑誌もボーイズラブ漫画も盛んに売られているわけだ。「もし」でもなんでもなくとっくに現実である。

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 そんなことはどう考えても、一般女性が知ることができる情報から十分に理解できるはずなのだが、どういうわけかフェミニストは「もし男の裸だったらどうする!」と叫んでしまう。

 そして、そういうものは欲しい人が買えばいいのであって、男性は基本的に、自分が興味がなくともその排除を叫んだりはしない。男性がそんなことを言うのはおかしな思想に取りつかれている場合くらいだ。

 そもそも、フェミニスト女性が排除を叫ぶのは、ポルノとは到底呼べないような少年漫画のお色気シーンや、お色気シーンとすら呼べない単なるアニメ風の美女の絵であったりする。例をあげよう。次のイラストが、本当に「炎上」したのである。つまり放火されたのである。

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 もはや脱いですらいない。ちなみに何がいけなかったとかというと、放火側の言い分では、彼女の「困り顔の表情がいけない」「胸のラインが出ている」「体をくねらせている」「スカートが透けている(単に布に脚の形が浮き出ているだけの絵であり、現実の不透明なスカートでも同じ事が起こる)「小便を我慢しているように見える」というのである。

 もちろん、そんなことを多くの一般女性が信じていたわけではないだろうが、フェミニストと呼ばれる人たちにかかるとこんなものが説得力を持ってしまうらしい。

 次の画像を挙げよう。

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 これももちろん服を着ているし、直立している。スカートに脚の形も浮き出ていない。頬も赤らめていなければ、もちろん、おしっこをしたそうでもない。一体なにが問題なのだろうか。

 放火側の言い分は、これは男性が女性を拘束(背中のケーブルがそう見えるという)し、家事をやらせていることを象徴する絵だ、というものだった。

 ところがこのイラストは連作であり、並べると一遍の物語になっている。ご興味がおありの方はどうぞ調べて頂きたい。そしてこの放火された一枚は「女性科学者が自分自身をモデルに作った家事用ロボット」のイラストなのである。ちなみに同学術誌の表紙には、男性がホウキを持って掃除しているイラストもある。

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