見出し画像

GTP in San Diegoの備忘録 2日目(前半)Project Tuningに初チャレンジ

2/22。GTP in San Diego 2日目。
3日間のハイテックハイ(以下HTH)でのツアーを時系列に沿ってみていく。
(一部写真は他の参加者の方が撮影されたものを含んでいる。)

ミウラエリ
<自己紹介>
東京出身。2020年3月から、鳥取在住。
教員(今のところ、英語)。29歳女性。

前回の記事はこちら。


1コマ目:Pat先生との対話

朝はまず1コマ目に、Pat先生の教室へ。
Pat先生は、理科の教員であるJohn先生とタッグを組む英語(国語)の先生で、12年生を教えている。

Pat先生を囲んで記念撮影

HTHに勤める先生の教育哲学を知る時間

どんなきっかけで教員になったか、Equityについてどう考えているかなどなど質問のセッションから始まった。

まずアメリカにはさまざまな人種・事情を抱えた人々がいて、歴史を振り返っても人種間の格差がある。そのような環境だからこそ、Equity(公正性)という概念が重要になる。自身は「a white man」だが、教室にはさまざまな生徒がいる。
プロジェクトの中で、グループ活動することによって、それぞれの生徒で強みを出すことができるのだ。
そして、プロジェクトの中に生徒の選択する余地を残すこと。
例えば、Pat先生の教室は工房のようで、学校の教室で想像するものとは、かなり違う。HTHの教師は、自らの教室に自分の雰囲気を醸し出すことができる。先生のautonomy(自律)を認めるように、生徒にもアイデアを考える余地を与えるのだ。
それぞれの生徒が得意なところに取り組んだり、今回行っている箱作りのような「何のための箱」から生徒に考えさせたり。

話は評価にも及んだ。
例えば、Pat先生の授業は英語も兼ねているので、ある文章を一緒に読み、ディスカッションすることもある。しかし、その文章を全部読むことを全ての生徒に求めるわけではない。Try their bestなのだ。少しでも読めば、参加できるように促す。
そして、評定(grade)も、どれくらいエンゲージしているかでしていく。確かに主観的な評価とも言えるが、「どんな評価も主観的(subjective)ではないか?」という問いかけにハッとした。
プロジェクトだからこそ、生徒と一緒に活動し、側で見とることができる。teachingでは得られない感覚だ。

Project Tuningにチャレンジ


Tuningの流れを説明する主催者のShinyaさん

そして、後半はProject Tuningのデモとなった。
Project Tuningとは、他の教員あるいは生徒とともに、PBLの内容を深めていくものだ。まずは授業担当者からプレゼン→理解を深めるための質問タイム→授業者抜きでのディスカッション→授業者からの返答のような流れで通常行われるそうだ。
最終日の3日目には全員が英語でのプレゼンと Tuningを控えているということで、お試しでPat先生に誰か…ということになり、私がプレゼンすることになった。
(そんなつもりはなかったんですよ。)

Tuning中の私

ちなみに私がプレゼンしたのは中2向けの異文化理解プロジェクト。
いわゆる普通の留学生や外国人との交流に終わらせたくない。
外国人=英語ではない視点を与えられないだろうか?
そのような思いから、異文化理解力を育成する事業を行なっているCulmonyという会社とコラボしている。5年目になる授業だ。
自分がやってきたことがHTHからどう見えるかというのと、自分自身ブラッシュアップして臨みたいというところから、この授業をプレゼンすることにした。

カレイドスコープに沿った9つの要素は以下の通りだ。

「異文化理解プロジェクト」(対象:中学2年生)
本質的な問い:個人的な交流は違う文化への理解をどのように育てるか?
成果物:英語のレシピ(ゲストの人と交流しその人の国の料理をまとめる)
プロジェクトの開始:英語圏だけではない、さまざまなバックグラウンドのゲストとの交流
核となる内容:食の多様性・ステレオタイプ(英語という意味ではレシピの書き方)
批評と修正:生徒間での修正&ゲストとの修正
評価:レシピについて「本とインタビューから正しい情報を集められているか?」/プレゼン「情報を批判的に分析し、ステレオタイプ的な解釈を避けているか?」
発表会:ゲストにプレゼン?一緒に料理もする?料理を持ってきてプレゼン?
外部連携パートナー:Culmony
振り返り:生徒間での振り返り、ゲストとの振り返り、単元の最後の自己評価

Pat先生からのフィードバックは、まさにkind(やさしく), specific(具体的で), helpful(助けになる)な内容で、緊張していた私も少し安心した。レシピを出版してみたら?発表会で実際に食べ物があるのはどうだろう?コミュニティに成果物をどう還元するのか?など具体的に提案してもらい、「めっちゃいいアイデアだ!」と何度もなる。
そして、「コミュニティの課題からテーマ設定したことは素晴らしい」「抽象的なEssential Questionで今回の内容のガイドになるようないい問いだと思う」ともkindなフィードバックをもらい、やってきて良かったと一安心した。

成果物をAmazonを通して出版したことも

(と言いつつ、帰国後早速計画修正が求められているので、この活動自体の報告はまたいずれか…)

2コマ目:Socratic Seminarで対話する授業

2コマ目にはLisa先生の英語の授業をまずは見学。昨日の続きだ。

今回はクラスの半分がRevise、後の半分か記事を読んでのSocratic Seminarだった。20分で前半後半を交代するので、面白い授業運営だった。

Socratic Seminarでは、まず記事を読んできて気になったことを生徒それぞれが共有し、ディスカッションをしていく。最後には自分の参加度合いがどうだったか、各自で振り返る。
記事の内容は詩がどのように健康に影響するかで、その中で一言Lisa先生は「詩でリラックスするというけれど、気持ちを考えるとき、歌を聞いたりしない?そうなのよね、歌と詩は同じなんです」とさりげなく言っていたのを見逃さなかった。まさにEssential Questionにつながるような問いかけだった。
生徒によっては、「難民が詩を書くことで自分たちの想いを伝えられるかも」などと社会につながるような発言をしていた。
その間はPat先生やJohn先生のクラスは箱作りの続き。晴れた空の下、昨日に引き続いて制作作業だ。

3コマ目:HTH流教員研修②PBL Puzzles

午前中の最後は、再びJohn先生によるHTH流研修。PBL Puzzles。
これは実際にHTHでやったPBLの6週間のプランの概要を見て、一つ選ぶ。


アリがテーマ(!)

そして、その活動毎に切り分けたカードを準備し、10分ほどかけて並び替え、また時間をとって、追加で必要なカードを入れていき、プロジェクトの流れを推測すると言ったものだ。ただし、正解を探すのではなく、あくまでPBLの考え方を理解するためのアクティビティだ。

簡単なようで難しい

HTHのPBLでは、Project Launch(プロジェクトの導入)と呼ばれるフィールドワークやゲストスピーカー、何かの体験などインパクトのある導入、制作の過程でのCritique and Revision(批評と修正)、最後のExhibition(発表会)を重要視している。その理論を知ってはいても、どれが最初に来るべきか、途中に来るべきゲストスピーカーやフィールドワークなのか、修正する時間は十分にあるのか検討するのは、一瞬では難しい。まさにパズル。

この活動をすると、活動ばかりになってしまうPBLときちんと練られたPBLは紙一重のように感じられる。計画をしていくと、ガイドとなるEssential Question(本質的な問い)の重要性が見えてくる。
そして、チームで一緒に練ることで、よりプロジェクトの組み立て方を考えることができるようになるとも感じた。

お昼には、生徒達と日本のスナックを交えたランチ。

鳥取のお土産、因幡の白うさぎがすぐ売れました

午後に続く!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?