見出し画像

【有給付与日数365日】何日でも好きなだけ有給取得可能な制度を5年間運用して感じたこと

こんにちは。
デジタル広告のDXプラットフォーム「Squad beyond」を運営している株式会社SIVA、代表の杉浦です。

前回、評価制度についてのnoteを書いたので、ついでに弊社の特徴的な制度である「有給付与日数365日」について書こうと思います。

■2016年10月3日の創業以来ずっと、有給自由取得

こちらは2018年、まだSIVAのオフィスが六本木にある10畳の雑居ビルだったときに書いたブログです。

この通り弊社ではずっと有給取得freeです。
これからも続けるつもりです。(少なくとも数年は)

■どんな制度か?

休みたいときにいつでも休める制度です。
理由はなんでも構いませんし、半休でも早退でも遅刻でもなんでも構いません。

  • 体調が良くない

  • 家族やペットなどの体調が良くない

  • 役所や病院などに寄ってから出社したい

  • 娘や息子の保育園や学校のイベントがある

  • アフターシックスでディズニーに行きたい

  • 好きなアーティストのライブに行きたい

  • 両親が上京してきてる

  • コパ・アメリカの日本代表戦がどうしても見たい

  • マンション内の密閉性が高く圧力変動が起こった結果、朝突然トイレの水が溢れ修理が来ることになった

などなど(実際にあったもの)

■労基法との兼ね合いは?

法律で定められた有給は付与し、勤怠管理を行い、有給消化の管理も行っています。

この制度は

・付与された有給休暇日数を超えて休んでも減給しない
・休むのに細かい申請などを求めない

が大きな特徴です。
また、長期間勤続することが条件ですので、退職が決まっている人には適用されません。退職が決まってから付与された有給日数を超えて休んだ分は減給対象になります。

■有給取得時のルール

この制度を始めるにあたり決めたことは「可能な限り早い事前連絡をする」というマイルドなルールのみです。

可能な限りの目安は「休む可能性が出てきた段階」です。
例えば、

  • 「寝て起きたら、体調悪くなってるかもしれない」

  • 「いつもの熱出るパターンかもしれない」

  • 「今日の会食長引くかもしれない」

のようなとき。
可能な限り「かもしれない」の段階でチームや上長に連絡しておきましょう。というものです。

■なぜこのルールをつけたか

1.自分と相手を助けるため

  • 「同じ内容の報告でも、事前に言えば相談、後から言えば事後報告」

  • 「事前相談は、相手も自分も助ける」

という全仕事に通じる報連相の真理を、誰にでも一番身近な「勤怠」で身につけてほしかったからです。

業務上でミスやわからないこと、できなくなりそうなことなどがあったときなどネガティブな報告ほど先に・早くしてほしいと思うのはチームで仕事をしたことがある人なら誰でも感じたことがあると思います。

体調不良はイチ人間としてネガティブなことでは全く無い(明らかな自己管理不足を除く)ですが、チーム業務という目線で見れば誰かが休んだらその分の仕事を誰かにお願いしなければならず、自分以外の誰かにイレギュラー業務が増えるのは事実です。
だったら、報告は事前のほうが良い。わかるのが早ければ早いほうが対策ができるから。
直前に言われたら対策もできないし「早く言ってよ!」と思うけど、早く言ってもらえてれば対策もできて「ゆっくり休んでね〜」って言える。
事前相談は相手も自分も助ける。

2.通常業務へ良い影響を与えるため

事前相談の癖がつくと、仕事をシェアしやすくなり属人化されにくくなる

事前相談が徹底されてるということは、情報がオープンでシェアされやすいということです。
この状態がキープされていると、誰にでも仕事が振れるし、誰からでも仕事を受け取りやすくなります。仕事が振りやすく受け取りやすいということは、仕事がよく回り仕事が進みやすくなると言うことです。仕事がよく回るということは属人化しておらず組織全体のスピードが上がり成果が出やすくなる。
のように弊社では考えています。
こういった当たり前のカルチャーを、スキルに差のある実務だけで行うのでなく、誰でも等しく行う勤怠から徹底して行くことで習慣化し、実務でもできるようになろう。というメッセージがあります。

やや脱線しますが、「自分が居なきゃこの会社(仕事)は回らない」のように考えている人が一番仕事ができないと思っています。
(私の個人的な意見。※「最後の砦意識」とは別の文脈。「この会社を自分が成長させる!」という責任感とか当事者意識は絶対欲しい。)

また、逆説的に言えばこれを言ってしまう人は仕事上重要な情報を隠して自分だけができるようにしてしまう傾向があるように感じます(25歳ぐらいまでの間にそういう上司やビジネスマンをちょこちょこ見かけてすごく嫌だった)。
同じ組織内で情報量の差で仕事に差をつけるような仕事の仕方をしてしまうと、本質的な仕事の能力が向上せず、その組織でしか使えない人間になってしまいます。
SIVAのメンバーにはどこでも通用する人になってほしい(とはいえできるだけ長く会社に居てほしいけど)からこの様な実務以外での細かいルールの徹底を促しています。

■5年間運用してわかったこと

1.必要以上に休みをとりまくる人はほぼ居ない

この制度は、理論上有給365日取得可能です。
ですがもちろん365日休む人はいません。むしろ、楽しんで仕事をして進んで仕事に来てるメンバーがとても多い(というかほぼ全員そう)という気がしてます。「いやいや、社長から目線だとそう見たいだけでしょ」と思われるかもしれませんが。

「そんな制度にしたら、好き勝手休む人ばかりになるんじゃない?」

と言われたことがありますが、そういう人はいませんでした。
私は社員という立場ではないので理由は想像の域をでませんが、いつでも休めるとわかっているからこそ「本当に必要なときに休めばよいという感覚なのかな」とざっくりそんな気がしています。
自由に得られてしまうものだから「休み」の価値が高くなりすぎていないのかもしれません。

2.休みが増えたらケアのサイン

「必要以上に休みをとる人がほぼ居ない」と書いたのは、休みがちになってしまったメンバーも過去に居たからです。
体調不良などの理由で休みや遅刻が多くなり、報告を受ける側が「いつもよりなんだかちょっと気になる遅刻や欠勤理由」が増えたかな?という状態になってきます。

この様な状態になると、多くの場合仕事かプライベートどちらかで悩みがあったりします。

これは私の考えであり普段から気にしようと心がけていることですが、人間は自分の手に負えないことが重なると悩むということです。そして悩んでる=精神状態が普通じゃないときにした意思決定は悪い結果を招きやすい事が多いです。

自分の手に負えないことが
1つあると自分でなんとかしようとし、
2つになると自分でなんとかしようとするもののパフォーマンスが落ちで自己嫌悪に陥り、
3つになると「自暴自棄になり投げ出したくなる」

のように負の連鎖が続きます。
人間ですから、常になにかが起こります。
少なくとも仕事の面では手に負えないことを招かないようにケアし、可能であればプライベート面でも仕事を通じて早く帰ってもらう、リモートにする(逆に強制的に出社する理由を作ってあげることも)、休みをとってもらうなどの手助けの必要性に気づくようにしています。

まずは信じ、向き合うところから始めたい。

■助け合う気持ちに愛を

私は会社員時代から休みを取るのに抵抗がないタイプでした。
家族が体調の悪い時や一緒に居てあげたいときなど休みを取っていたことがあります。しかし、チームに正直に伝えると表面上は良くても、

「その理由で休むのアリなの?」

と言われていたことがあります。それを言った人を否定するつもりはありません。当時の私とは違う責任や成果へのコミットの意志があったと思うから。

ただ、誤解を恐れずに言えば自分も含めた家族や大切な人の命や健康より大切な仕事はありません。だから、私にそう言ってきたタイプの人にも、そんな状況になってしまったときには積極的に休めるように会社を作っていきたい。
と創業時から考えていました。

「休めない」「休ませてもらえなかった」「休んだけどグチグチ言われた」のようなマイナスの印象が多くなると、他の人の休みにも不寛容になります。手段の目的化も甚だしい風紀委員のような人が生まれ、不満がたまり、何事もシェアしづらくなり生産性が低下し負の連鎖を生む。
自分の会社はこんなことには絶対しない。と決めてました。

使いづらいルールがあるせいで満足度が下がり信頼関係や感謝の気持が薄れてしまうより、

「休ませてもらうんだから迷惑かけられない」と普段から共有を徹底し、
「休ませてもらったから休ませてあげよう」と仲間への利他精神が発動し、
「良い環境の会社キープできるように成果を出そう」と帰属意識が強まる

のような、助け合いと愛のあふれるチームにしていきたいと考えています。
結果、「ラブオーバーヘイト」つまりネガティブよりもポジティブの数が上回る環境にすることで、休んで稼働しなかった分を上回って仕事中の生産性が上がるアップサイドにbetしたい。

■終わりに

ルールは人を助けるためにある

私には中東出身の友達が何人かいます。
彼らはムスリム(イスラム教徒)で宗教上の理由からアルコールを飲まず、豚を食べません。なぜそれらの食べ物が厳しく禁じられてるかを調べたことがあります。

中東では昼夜の寒暖差が激しく、昼は40度で夜は10度以下の気温になる。
酒に酔って感覚と判断力が鈍り帰宅途中に道端で寝てしまうと、そのまま凍死してしまうこともある。

また同様に気温の理由と地域柄衛生環境が悪く、特に繁殖力が強いが雑菌が繁殖しやすい豚を食べると死ぬ可能性が高まる。

これらを啓蒙するよりも、宗教で禁止してしまったほうが人々を守れる。というものでした。

諸説あり、これが本当の本当に真実かは私の知るところではありません。
しかし、これを知ったときに「ルールは人々を守るための仕組みである」と妙に腑に落ちたのも事実です。

これから人がどんどん増えます。
ルールを変えたり増やしたりしなければならないときが必ず来ます。
ただ一つ変わらないルールは、ルールはルールを使う人を守るためにあるということ。
ルールを使う人、守る人が自分と仲間を守れるようにルール自体の仕組みと運用方法を常にアップデートしながら、さらなる会社の成長につなげていきたいと思います。



↓全職種絶賛募集中!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?