長編連載小説『サンキュー』第854話。

 俺の統合失調症の症状は、精神安定剤と睡眠導入剤で、寛解していた。今のところ、酷くなることはない。一安心だった。俺にとって、作家業は、堪らなく好きなことの類で、実際、やっていれば、我を失うのだった。夜、睡眠導入剤を服用した後は、ゆっくりと寝付くのがいいのだけど、寝付けない時は、延々、小説の原稿を打っている。ミステリーというのは、面白いもので、俺も書き方をマスターしてから、より一層、枚数を増やして書くようになった。職業作家を目指すのだから、当然のことで、ある意味、病気だろうが、まともな頭脳を持っていようが、書くことは、仕事のうちなのだ。俺には、それが、ちゃんと分かっていた。そして、作家業自体、面白くなっていった。(以下次号)

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