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土橋俊寛
2021年11月23日 01:19
昼間、うっかりと万年筆を床に落とした時、実は安堵した。キャップがきちんと閉まっていたからだ。以前、キャップを外した状態で机から床に落ちていった万年筆はペン先が完全に歪んでしまい、諭吉数人がかりで対応したという苦い経験がある。だから「ああ、よかった」と思った。でも全くの思い違いだったらしい。まさか本体そのものが割れてしまうなんて思ってもみなかった。持ち上げた時にロケットの切り離しのように何かが胴
2022年5月8日 23:32
「物を買うのはあんまり好きじゃないな。物が残らないように、食べ物とかサービスとかにお金使いたい」大学生時代の友人がこう言ったのを聞いて、私は心底驚いた。手元に何も残らないなんて、なにかもったいない気がしたのだ。「それ、なんでなの?」「物が残ると、それを見るたびにお金を使った事実を思い出すから。それが嫌だ」目から鱗とはこういう事なのだろう。私自身は物が好きな人間だという自覚がある。物を集