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弱者の戦略で、長生きする会社と事業を作る方法

こんにちは、ファクトリエ代表の山田(https://twitter.com/tocio_yama)です。

ファクトリエは、「語れるもので、日々を豊かに」をミッションとして2012年にスタートしました。全国各地のアパレル工場と一緒に、メイドインジャパンの語れる洋服で、お客さまの心の温度を1℃でも高めたいと思っています。

さて、先週の土曜日に丸一日かけて、TOKYO STARTUP GATEWAY 2021という東京都主催のスタートアップコンテストのメンター(講師)をしました。

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スタートアップコンテストといっても、貧困層を救いたい、高齢化した労働人口に貢献する、LGBTQの方向けにこんなサービスをやりたい、など社会性の高い事業を目指す方が多く、私自身、多くの気づきを得ました。

同時に、彼ら・彼女たちは、「やりたい夢があることは素晴らしいが、事業(経営)視点が少し足りないかも」と感じたことも事実です。

実際に起業を目指す人たちに実際にアドバイスした、「会社を長生きさせるために、これは知っておいた方がいい」ことを今日は書きたいと思います。

(多くのビジネスパーソンの方は、当たり前のことだよ!と思われる方も多いかもしれませんが、ご容赦くださいませ。)

顧客が求めるのは、「自分にどんなメリットをもたらすか」

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残念な話ですが、顧客にとっては、私たちが努力をしていようが、していまいが関係ありません。顧客が関心をもつのは、「自分にどのようなメリットをもたらしてくれるか」だけです。  

そのため、ドライな言い方をすれば「最小の努力で、最大の効果を生み出す」は、経営の基礎だと考えています。

最小の努力=ムダのない努力

最大の効果=顧客が価値に満足し、リピートしていただける

つまり、顧客が魅力(差別化)を認めてくれることに集中的に取り組むときに、「最小の努力で最大の効果」が実現できます。

そのために大切なのは、「自分たちから買ってくれる理由(価値)を顧客に聞く」ことだと思っており、そのためにファクトリエでは毎月オンラインでお客様のヒアリングの実施しています。

※聞くべき相手は「聞きやすい相手」ではなく「主要顧客」です。そうした顧客が買ってくれる理由(=自社の価値)こそが、利益の源泉になります。

もちろん、すべての人を満足させる商品はないので、逆に、特定の誰かに熱烈に満足してもらう方が、事業としてやりやすいと考えてます。その特定の人の数が少なければ少ないほど、ニッチな市場になり、強い相手との競争を避けることができます。

ファクトリエでは、特定の誰か=自社のメンバーとして、「これがあったら絶対買いたい」というニーズを吸い上げるようにしています。「特定の顧客(=自社メンバー)のニーズ」と「自社の強み」を掛け合わせることで、他には無い、オリジナルの商品を開発につながるのです。対象顧客を絞れば、焦点が合った望遠鏡のように、見たいものが鮮明に見えるのでオススメです。

特定の誰かに届ける、質的マーケティング

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最近は改めて、マーケティング視点を「量」から「質」へ変換させていく重要性を感じています。

従来の小売業界は、商品を購入してもらうためにマスを対象としたマーケティング(多くの人に商品を知ってもらうという手法)を実施し、とにかくたくさんの認知を獲得するという方法を取っていました。お店の大量出店も、マス化の一つの施策だといえます。

認知→購買への流れを「量」で捉え、できる限り多くの人に対して露出し、たくさんの認知を獲得して、できるだけ多くの人に興味を持ってもらい、できるだけ多くの人に購入してもらう、が主流だったのです。

つまり、「量」を獲得することで、マーケティング上の問題を解決しようとしてきました。ただ、その流れがSNSの普及によって大きく変わってきたのはご存知の通りです。SNSの普及によって、

・同じ価値観を持つ人に情報が届くようになった

・それを体験した本心が伝播するようになった

顧客とニーズを明確化するからこそ、一層、「その顧客が喜んでいただけるのか」という質が求められるようになってきています。

熱狂的なお客様とつくるコミュニティ

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ピーター F. ドラッカーは、「 10%か 20%の事業や顧客や商品で、全体の売上げや利益の80〜90%を稼いでいる」と言っています。これは「パレートの法則」でいう80:20の法則と呼ばれ、理論化されています。

ファクトリエでは、その20%にあたる顧客の中から一部の顔の見えるお客様を中心にアンバサダーになっていただき、コミュニティを作っています。まだ出来立てほやほやの試験運用の段階ですが、毎月のコミュニティイベントやLINEグループ内は非常に盛り上がっています。

担当メンバーに「コミュニティは何を大切にしているの?」と聞いたところ、「心理的安全性の確保」と話してくれました。また、コミュニティ運営の方針としてはインスタライブをお客様同士でやっていただくなど、双方が仲良くなって欲しいので「1対Nではなく、できるだけN対N」になるよう心がけているようです。

すぐにビジネスになるかというと、そうでは無いかもしれませんが、

・顧客の声をすぐに聞くことができる(改善)

・欲しい商品を出した際には、最初のお客様になっていただける(熱の源)

上記の効果は大きいと思っています。

会社を長く存続させるために大切なこと

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ファッション産業という短サイクルで物事が進行する業界にいるからこそ、できるだけ長期的視点を持つことを心がけています。

最近リリースしたリサイクルされるTシャツもそうですが、長期的な視点で未来には必ず必要になるアイテムの種を蒔いています。

同時に、目の前の数字を力技でこなすのではなく、できる限り、持続可能な仕組みを作り上げたいと考えています(例えば、売上が足りない月はセールをしたり、メルマガを大量配信する会社もありますが、それは売上の前借りであり、持続可能な仕組みではない)。

きちんと、顧客に喜ばれ、役に立つ商品・サービスを作っていれば、基本的には売上は自然に上がっていくものだと思っています。

継続的に利益を上げる方法=「顧客満足」×「業務の効率化」

「顧客満足」を得る最善の方法:

自社の強みをすべての商品に組み込むこと。 顧客満足を得るためには、許容を満たす「絶対的」であることと、競合商品よりも優れた点がある「相対的に良い」に達していることが必要です。

この2つのレベルに達するには、すべての商品やサービスに自社の強みを組み込まないと、努力の割に報われない(利益が取れない)になります。  

ファクトリエの場合は、顧客の特定の課題に対して、日本のものづくり技術によって他社が真似できないレベルのアイテムを目指しています。

・汚れを弾く白いコットンパンツ

・穴の開かないソックス

・エアーブルゾンなど がそれにあたります。

「業務の効率化」の最善の方法:

例えば、「対応力の良さ」が強みであれば、対応力を必要としない商品は取り扱わない。なぜなら、そのような商品は競争力がないからです。 また、対応力を必要としない顧客とは取引しないこと。強みに意義を感じていない顧客からは、適性な利益を得ることはでき無いからです。

より良い方向に進むために、チーム全員での「気づき」「行動」のサイクルを高速で回し、一人一人が生産性を上げていく。ムダやストレスがなくなって、時間に余裕が生まれると、精神的にも余裕が生まれ、好循環が生まれていき、良い社内風土が育ちます。

弱者の戦略で、小さなNo.1を目指す

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業界のトップでないからこそ、私は常に「弱者の戦略」を考えています。

具体的には、戦略のポイントは下記の3つに絞っています。

・差別化:弱者は、強い会社と違うことをする

・一点集中:弱者は、あれこれしない。一つに絞る 

・小さな1位:弱者は、小規模1位、何かで1位

たとえば、市場規模が最大でも 10、20億円程の事業や商品では、大企業は貴重な人材と資金を使って商品開発や市場開拓をしようとは考えません。高コスト体質の大企業にとって、あまりにも効率が悪いからです。  

しかし、中小企業であれば、そのような売上の商品が2つ、3つあれば、すぐに 50 億円、100億円の売上になります。しかも、強い競争相手もなく、そのうえ市場シェアが高ければ適性価格で販売することができます。

ファクトリエの提携工場も、その分野では尖った素晴らしい技術を持つ工場ばかりで。その尖った技術を生かし、小さな市場で利益を確保していけるよう商品開発に一緒に励んでいます。

以上、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!いかがでしたでしょうか?

より良い未来を目指して、素晴らしい旅路になりますように。

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