私の素人料理③お好み焼き
0.前置き
今年のお盆はたまたま広島に行って、本場のお好み焼きを食べてきたので、じぶんでも作ってみたくなったのです。
ちなみに、本場の味は「それほどでもなかった」というのが正直な感想です。私は元々お好み焼きと言えば広島風が好みで、池袋にある「赤鬼」には良くお世話になっているのですが、本場の味と大差ない味だと今回の旅行で分かりました。・・・つくづく東京ってやつは罪深い。
作りかたはどんなもんでしょう?インターネット検索の上位に、広島を代表するソースメーカー「オタフク」公認のレシピが出てきたので、これを開いてみます。
オタフク公認のレシピが関西風?何だかモヤモヤしますが、まあよいでしょう。
モヤモヤしたついでに調べてみると、面白いことが分かってきました。関西風と広島風の違いは「焼きそばが入るか入らないか」の違いだと思っていましたが、具材をグチャグチャと混ぜて焼く「混ぜ焼き」が関西風、生地をクレープのように先に作っておいて、その上に具材を乗せてゆく「乗せ焼き」が広島風と、焼き方を基準にして分かれるらしい。言われてみればたしかに。関西にも焼きそばを入れるお好み焼きはあり、モダン焼きと呼ばれます。
はじめて聞く話ばかりです。ここまで来ると歴史が気になってしまいます。お好み焼きはどうやって今の形にたどり着いたのでしょうか?
諸説あるようですが、一般的な説明によれば、明治時代まで文字(もんじ)焼きと呼ばれていた食べ物(現在のもんじゃ焼きとは異なる)が、大正時代の東京で「どんどん焼き」に発展し、それが関西や広島に伝わると「一銭洋食」の名前に変化して、徐々に現在のお好み焼きに近づいてゆき、戦後になって形式を完成させたようです。
お好み焼きの変遷を私なりに要約すると次のとおりです。
要するに、お好み焼きの成立は、敗戦後の食糧難と深い関わりがある、ということです。占領軍による小麦粉の配給だけではなく、メインの具材だったネギに代わってキャベツが用いられるようになったのも、価格が変動しやすいネギよりも、キャベツのほうが安定供給が見込めたからですし(広島の老舗みっちゃんの証言)、マヨネーズをかけるようになったのも占領軍がかけているのを見て旨そうだったから(大阪の老舗ぼてぢゅうの証言)です。
専用のソースが出来るのも戦後のことで、それまではウスターソースを使用していました。「一銭洋食」と呼ばれていたのも、「ウスターソースをかければ洋食だろう」という極めて素朴な理由によります。食事が多様化・多国籍化して、どこぞの料理かもよく分からないで異国の料理を食べている現代とは、雲泥の差です。ウスターソースはサラサラしていてノリが悪いので、精製の過程で生じるドロドロとした沈殿物(オリ)を洗練させて試行錯誤した結果、1950年代に「お好みソース」が誕生しました。
1.材料の準備
毎度のことながら、前置きばかりが長くなります。材料は以下のとおりです。
牛肉とキャベツ以外は家にあるものばかりという、シンプルなラインナップ。私はお米を週末にまとめて炊いて、平日のために冷凍保存しているのですが、どうしても切らしてしまう日が時たま生じます。お好み焼はそんな時の救世主となってくれそうです。
2.量って混ぜる。
小麦粉、水、キャベツ、たまご、コンソメ顆粒をボウルに入れて混ぜます。
タニタの計量器、いつもお世話になっております。
3.フライパンで焼く。
フライパンにオリーブオイルを引いて、今しがた混ぜたものを入れます。
ここで声を大にして言いたいのは、「14cmのミニフライパンが、お好み焼き1人前にとって、ぴったりのサイズである」ということです。
片面をまず3分焼きます。中火です。焼いている間に牛肉3枚を乗せます。
ひっくり返します。きれいに焼けました。裏面も中火で3分。
4.ソースをかけて完成。
残す作業は、かつお節を削り、ソースを作ることだけです。
お好みソースはトマトケチャップ大さじ2、ウスターソース大さじ1、醤油大さじ1、みりん大さじ1を混ぜ合わせるだけで完成です。専用のソースを買わないのは、使いきれなくて捨てるのが目に見えているからです。
ちなみに、私が使っているソースは「トキハソース」と言って、東京北区が誇る老舗メーカーのソースです。広島のオタフクがソース販売を開始したのは1950年、トキハソースは1923年。「非加熱の生ソース」「カラメル不使用の自然色ソース」として高い評価を得ている、東京土産に最適な一品です。
(お盆に≪ソース王国≫広島出身の友人に10年ぶりに再会したので、皮肉たっぷりな顔つきで渡したら、期待した通りの複雑な顔をされました)
ソースのほかに、適量のかつお節とマヨネーズをかけます。
所要時間30~40分、費用およそ400円。お米を切らした時の「非常食」としてのお好み焼きの完成です。適当に作った割に味も悪くなく、かんたんな料理なので、思い出した時にまた作ろうと思います。
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