見出し画像

台湾の夜市から見えた日本経済の『失われた30年』

『日本ってなんで賃金が上がらないの?』
この間、とある人にこう尋ねられました。
てことで今回はその日本の賃金が上がらない理由、バブル崩壊後30年、日本経済の“失われた30年”を急速に成長を遂げた国と比較しながらみていきましょう。

1.格差社会が齎す国の大きな成長

僕は2020年3月
ちょうどCOVID19が日本に上陸し始めた頃、
滑り込みで妹と台湾に訪れていました。

台湾、特に台北市はいつ訪れても工事が絶えない街であり、これだけでも国の成長が見て取れます。

(出典: https://ecodb.net/exec/trans_country.php?type=WEO&d=NGDP_RPCH&c1=TW&c2=JP&s=&e=)

これは台湾と日本の経済成長率の比較を表したグラフですが、これを見てもわかるように台湾の方が一定して高い成長率を保っています。コロナ禍においては一目瞭然です。

これは米国高級ホテルチェーン
Marriott Internationalの最高ランクのホテル
Wホテル 台北”にて妹の誕生日を祝った時のものです。

このように台湾は古くからの経済大国アメリカの大手高級ホテルチェーンの最高ランクのホテルがあったり、アメリカロサンゼルスにある美術館に引けを取らない美術館などが数多くあります。

その上、観光スポットもかなり多い。
写真はジブリ宮崎駿さんの大作
“千と千尋の神隠し”の舞台となった場所、“Jioufen (九彬)”である。

更には“ご飯も超美味しい。
そして“超安い。
東京銀座であれば1人3〜5万するような鉄板焼きが、台北市では1人5,000円で食べられたりする。

こういった魅力から
年中通して、観光客がかなり多い。
かなりの経済の動きを感じることができる。

しかし、その反面台湾では夜市といった文化があり、夜になると屋台のお店などが歩道の中に店を出す。これがまた汚い。
良い意味で汚い”のである。

僕はこれこそが“経済成長の要因”であると考えています。

ここで働く人たちは先程のWホテル近辺の高級商業区域、Xinyi District (信義区)にいる人たちと比べて経済的には劣るような生活をしているかもしれないが、本当に楽しそうに商売をしている。

要するに、Xinyi District (信義区)にいる人たちが思うほど彼らは、“経済的弱者だとも思ってない”上、誇りをもって仕事をしている。

ここにいる人たちは、
このままで良いのである。

一方で、“Xinyi District (信義区)”にいる
もしくは、目指す若者は
こうはなりたくない。そうはなりたくないと
必死に“学歴社会を通りに抜け、這い上がる。

これこそがこの精神こそが国全体の国力を上げ、成長していく大きな要因だと考えます。

現に、ここ30年急速に成長してきた
中華人民共和国”また、元日本の植民地であるのにも関わらず、日本と肩を並べるようになってきている“大韓民国”は学歴社会で有名であり、有名大学の大学院まで出ないと大手優良企業には入れない。というような
競争性のある国”、“生産性のある国”である。

2.頑張ってこなかった人を過剰に助け続けた日本

では、日本はどうでしょうか。
少なくともバブル崩壊後“失われた30年間
国として殆ど成長していない日本。

以下のグラフはバブル崩壊後1990年〜
のGDP(国内総生産)の推移です。

見てわかるように2010年頃から中国に追い抜かれ、現在2022年ではドイツやフランスにも追いつかれ、追い越される危機が迫っています。

(出典: 経済産業省)

僕はその原因は日本政府の
頑張ってこなかった人を過剰に助ける
政策にあると考えています。

日本は頑張ってこなかった人を助けすぎているのです。前章で述べた台湾もそうですが、
現に経済成長をし続けている大国
アメリカ、中国、インドを見てください。
商店街には商売人がずらっと並んでいます。
所謂“汚い地域”がそこら中に広がっています。

日本にはあまりない光景に思います。
そこで働く人たちは生きがいを持って楽しい生活をしているのです。

では何故、日本ではこのような光景が海外に比べて少ないのか。

日本では勉強してこなくても、綺麗な働く場所がいくらでもあるからです。

皆さんは小さい頃、お父さんお母さんから
ペンを持って勉強しろ』と一度でも言われたことはないですか??

これは当たり前のことなんです。
でも、勉強ってめんどくさいし、本当にためになるかわからないし、やってられませんよね。

でも、先進国である日本で産まれた以上
どんなに貧困世帯でも、
ペンは買えます。
紙は買えます。
更には、学校にも行けます。というより義務教育により行かないといけません。

その為、“ペンを持って勉強する
これをやってきていない人は、必然的に
淘汰される。これは当たり前のことです。

にも関わらず、日本の政策は
いつも決まって

経済的弱者への支援

この一点張りです。

したがって企業の雇用側も、
政府の政策により、
ペンを持って勉強をしてこなかった人”
要するに、
やるべき事をやっていない、できない人も積極的に雇っているのです。

「やるべき事をやってきた人」と「やるべき事をやってこなかった人」だとどちらの方が成果を出しますか?言うまでも無いですよね。

こんな社会では企業の生産性は全くあがりませんよね。

僕はよく言うのですが、これが日本で
GAFAM”のような企業が生まれない
要因だと考えています。

※GAFAMとは、IT企業の雄である5社(Google、Amazon、Facebook、Apple、Microsoft)の頭文字を取った呼び名のことです。

話を戻すと、前章で台湾の夜市で商売をしている人たちは楽しそうで生きがいを持っていると説明しましたが、

“このままで良いのです。
彼らにコロナ給付金や生活保護など多少は支給しても良いと思いますが、過剰に与えるべきではないと考えています。

過剰に与えるからこそ日本は
良い意味で汚い”が失われ、

競争性のない国”、“生産性のない国”になってしまったのです。

資本主義である以上、貧富の差、格差社会は生まれて当然です。人々が富を競い合うからこそ国が成長するのです。

貧富の差・格差社会を敢えて作り、
国全体の競争力、生産性を高める

こうする事ができれば、日本の更なる国力の成長に繋がり、“失われた30年
で終わる事ができるのでは無いでしょうか。

3.日本の賃金が上がらない理由

では、僕がとある人に聞かれた質問に戻ります。『日本ってなんで賃金が上がらないの?』

(出典: 厚生労働省)

その答えは極めてシンプルです。
労働分配率”が一定して低い水準である為です。

労働分配率”とは付加価値額に占める人件費の割合です。

要するに、「労働分配率=人件費÷付加価値額×100」です。

ここで言う「付加価値」とは、「売上高-(仕入原価+原材料費、外注費等の外部購入費用)」、「人件費」とは「給料+会社が負担する法定福利費や福利厚生費」で求められます。要するに、“企業が儲けをどれだけ賃金として分配したか”という尺度のことです。

その為、労働分配率の低さとは“賃金の上がりにくさ”を表していると言えます。

では、なぜ日本は労働分配率が低いのか? 
それには、新卒一括採用・終身雇用という日本の安定しすぎた労働環境が影響していると考えます。

言い換えると、同じ会社に長く勤め、労働条件に多少の不満があっても、なかなか会社を辞めないことが大きな要因になっているのです。

僕の初回のブログでも、説明したように
日本人は、“既得権益者に金魚の糞のようにへばりつく、変化を好まない性質”があります。

その為、“ジョブマーケットの流動性が低くなります。

単純に、企業の視点からみると人件費を下げた分だけ利益は上がります。しかし、賃金を低くしすぎると、人が集まらない、あるいは辞めてしまいます。その為、妥当な相場に落ち着きます。

しかし、日本の場合、賃金が上がらなくても従業員が簡単には辞めないので、企業は賃金を上げるモチベーションが低くなるのです。企業は、収益が上がっても、株主配当にも配慮しなければならないし、設備投資や現預金にも回さなければならない。

そんななかで従業員の昇給は後回しにされやすいのです。つまり、“ジョブマーケットの流動性が低い”ことで、

“釣った魚に餌をやらない”状況になってしまっているのです。

また、前章でお伝えしたように国力の成長が望みにくい日本の現状では、単に給料が上がりにくいだけでなく、

チャレンジするより失敗しないようにする方がマシ

というような考えが、浸透しているのです。

僕は、大学2年生の頃アメリカ、ロサンゼルスのベンチャー企業でインターンシップをしていました。そこで出会った友達が、よくこんな事を言っていたのを覚えています。

Tomorrow will be a better day(今日より明日は良い日になる

そうです。アメリカの人たち(労働者)は皆んな
こういったマインドで生活をしているのです。


長期的なデフレーションにある日本では考えにくいかもしれないが、実はこの『Tomorrow will be a better day(今日より明日は良い日になる』考え方の方が世界の“標準”なのです。

デフレーションとインフレーションの違いは以下の記事がわかりやすいので良かったら見てください。

世界では賃金が上がるのがふつうなのがその証拠です。“今日より明日は良くなる”と感じられるから、楽観的になり、貯蓄より買いたいものを優先できる。だから経済が回るのです。

逆に、「明日は今日よりも生活が苦しくなるかもしれない」という考え方であれば、
将来のためにお金を取っておこうと過剰に貯蓄をしてしまいます。まさに日本を表すような心理状態ではないでしょうか。これが、所謂
デフレマインド“です。

では、どうすればこのデフレマインドを克服できるのでしょうか。

それは前章で述べたように

“貧富の差・格差社会を敢えて作り、
国全体の競争力、生産性を高める”

そうする事で“国力が上がる
そして、労働者の賃金が上昇し、
インフレマインド”に陥る。
(今後も物価の上昇が続くと予想して、買いだめや売り惜しみなどの行動を人々が取るようになる。)

そして経済が回る。

Tomorrow will be a better day(今日より明日は良い日になる

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

今回の記事の重要ポイント3点
1. “良い意味で汚い”、“格差社会が齎す
経済成長”
2. “貧富の差・格差社会を敢えて作り、
国全体の競争力、生産性を高める”
3. 『Tomorrow will be a better day(今日より明日は良い日になる』

宜しければサポートをお願いします😀 いただいたサポートは今後のクリエイターとしての活動費に使わせていただきます。