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チームで使う共有地図 LivMap (リブマップ) を正式リリースしました

3,4 年ほど、あまり情報を外部に出さずに開発を続けてきたのですが、 チームで使う共有地図 LivMap (リブマップ) というアプリを作っていました。

6月25日に正式サービスを開始しまして、日経新聞(スタートアップ欄のトップazs!)や日刊工業新聞(紙面では1面azs!)をはじめとるすいくつかのメディアにも取り上げて頂きました。また、消防署と農務課の2領域で利用して頂いている豊川市さまから、同時にプレスリリースを出して頂きました。本当にありがとうございます。🥹🎉

LivMap とは

LivMap は、組織やチームのメンバーが、地図上で様々な情報を管理・共有化するためのアプリです。
メンバー間で現在位置・写真・地点情報・軌跡などを共有化できることに加え、特殊な地図を共有化することも可能です。 IT 業界の人は「地図の Slack」みたいなものを思い浮かべて頂くと近いかもしれません。

チームで使う共有地図 LivMap (リブマップ) 正式リリース

現在、様々な業界で導入が進みつつあります。 道路・河川管理、電力、現地調査、建設コンサル、測量、集荷・配送、林業、水産業、消防、行政業務、災害対応など、本当にさまざまな文脈で利用されています。
去年の春にクローズドでテスト版をリリースして以降多くの業界でテストを繰り返してきましたが、有償導入も領域も広がってきて、もうそろそろ正式サービス開始と言えるなと判断しました。 これを機に世の中に浸透させていければ良いなと思っていますので、皆さんどうぞよろしくお願いします。

根っこにある事業仮説

折角の機会なので、 LivMap の目指すところや経緯の話を少しだけさせてください。

世の中には、設備管理・現地調査・点検・災害対応などといった、我々の生活を支えるフィールドワークというものが多く存在しますが、これらの業種においては、一般的な地図アプリがなかなか役に立ちづらい場面が多いです。
それ故、現場での記録には紙の白地図や GPS 機器が、状況の共有化には無線や電話やチャットツールが、全体像を把握するためにはホワイトボードといったものが使われていたりします。

我々の最も根本的な事業仮説は、「こういう手段でやろうとしていることの多くは、スマホで代替できるんじゃね?」というものです。

業務課題の解決が難しかった業界の例と、現状

業界共通の課題

上記のようなユースケース・業界における現場課題を俯瞰的に捉えると、共通の課題があることに気づきます。

① 地図の準備と情報集約化が手間
専門性の高い地図は一般的な地図アプリには掲載されておらず、紙や PDF で提供されていることも多い。 その場合準備に時間がかかり、可搬性も検索性も悪く、現地業務も煩雑になる。 Web 等で提供されていたとしても、圏外で使えない上、大量の現地調査情報を照合する後工程に手間と時間がかかる。

② 現場の状況がリアルタイムに分からない
状況把握のために都度現場に電話をしている。情報の集約化に時間がかかる上、判断が遅れる。全体の状況を把握できるのが本部のみ。テキストや音声では、位置や全体感が分かりづらく、人為的なミスも発生し得る。

③ 記録の蓄積・共有化が難しい
報告や日報が現場作業者の業務負担になっている。過去の記録を現場で見返す手段が無く、確認のため に事務所に戻るもしくは電話をするといった手間が発生する。

LivMap はこのような、業界横断的な共通課題に着目し、「汎用的なシステムで、そこそこの解決をする」ということを目指しています。
詳しい機能などは LivMap のWebページを御覧ください。

LivMap の機能・特徴

徹底的な汎用化

通常、スタートアップという弱者が取るべきはランチェスター戦略であり、「集中せよ」がセオリーです。 システムというものは、業界に特化すればするほど特定領域のお客さんへの訴求力が高まります。 さらには、顧客課題をヒアリングしていると、その方が求めるシステムを作りたくなってしまいます。 「特化」に誘う重力は非常に強いものがあるのです。 しかしながら我々は、 そうしたいところをぐっとこらえ、お客さんからの要望はリストに入れて一旦熟成させ、複数業界から共通の課題を聞くまでは開発に着手しない、というポリシーでプロダクトを作っています。 「徹底的な汎用化」です。

このポリシーを堅持すると、 もちろん1つの業界、1人の顧客に対する訴求力は弱まります。 なので高い値付けがしづらく、 ビジネス的に苦しいのではないかと言うご心配も頂きます。 他方で、大きなメリットがあって、それは、とにかく対象を広く取ることができるということです。故に、安い値付けを正当化できるとも言えます。

個社向けシステムや業界特化型 SaaS を考えると、まず、個社向けシステムが高いのは言うまでもありません。 一方でバーティカルな SaaS は、小規模な業界の場合、その課題解決対象の少なさ故に参入インセンティブが小さくなります。 要するに、安価なサービスの存在自体が難しく、こうしたことが、小規模な業界の DX が進まない構造的な要因になっていました。

LivMap の場合、汎用化するという意思決定をしたことで、多業界に開発費を分散できる構造になっているとも言えます。これによって、今までに業界の小ささ故に DX の波に乗り遅れていた業界を、DX の対象に加えることができると考えています。

現場での利用イメージ

お客さんに導かれるように

なぜ「汎用化」という意思決定をしたのか。
実は 2020年にコロナになって以降、 漁業者向けの位置情報共有アプリを作っていました。 umico って言います。
漁業者が海上で詳細な等深線を確認することができ、その上で船舶グループがお互いの位置を把握でき、記録が蓄積されていくようなものです。(LivMap と比較して、機能自体はそれほど大きく変わらないと思っています)

ところが これを作っている間に、 様々な方から他業界での有用性について指摘を受けるようになりました。 林業の現場にも同じようなものがあると良いと言われてみたり(林野庁の補助事業に採択されたりもしました)、生コン・建材卸・ゼネコンの方から車両の位置把握に使いたいと言うお話をいただいたり、テレビ局による災害報道で有用だという話があったり、自治体からは実際に大雨の被災状況把握に利用してみたという話があったり。

こういう話を聞くにつれ、 自分の観測範囲が如何に狭かったかを思い知りました。
管理型漁業をやっている漁協や、複数隻の船を運営する水産会社は地図上での状況把握に一定の課題を感じていますが、これに類似する課題は業界横断的に存在しているようです。 であるならば、似たような課題を包含するような解決策を提供することで、結果的に眼の前のお客さんの課題を解決する、そんな姿勢で臨むべきだと考えを改めました。

このあたりのお話はまたどこかでまとめたいと思っていますが、 とにかく我々は、多くの業界の(潜在的な)お客さんから各所での利用可能性を指摘いただき、それらに導かれるようにモノを作ってきました。 徹底的に特定のお客さんの現場課題を深掘ることはするものの、他方で 1人のお客さんの言うことを聞くのではなく、可能な限り複数業界から類似する課題を集め、それらを包括的に捉えてより上位概念としての課題解決を図る。 林業、水力発電所の管理、送電設備の管理、道路管理、砂防、都市計画、自治体における固定資産税の課税・徴収業務、現地調査、食材卸、建材卸、災害対応… 挙げればキリがないですが、これら全て、用途の可能性に気づいて頂いた方々の顔が思い浮かびます。

結果、本当に様々な業界で利用頂くものになりましたが、特に印象深いのが災害対応や安全管理の文脈です。 元旦の能登半島地震直後の消防の派遣隊による利用実績ができたり、台風や大雨の被災状況把握にも使われたりしました。 また、知床小型観光船協議会においては、 KAZU I の沈没事故以降、より安全安心な運行を行うために、所属船が各社間で位置を把握するために導入して頂き、今も引き続き利用頂いています。
今後も、用途は広がっていくと思いますが、我々は「徹底的に汎用化する」という路線でどこまでいけるか、今後もチャレンジしていきたいと思っています。

徹底した汎用化による、広範な課題解決事例

仲間募集中です

ということで、最後は月並ですが、そんなチャレンジを一緒にして頂ける仲間を募集しています。

  • エンジニア (可能な限りフルタイムに近い形での参画を期待しています。 Flutter + Firebase な構成です)

  • セールス (商談がほしい)

とかが力を入れて募集しているところです。
我こそはという方も、ちょっとお話を聞いてみたいという方も、是非お気軽に、ご連絡ください。

ではでは。

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