#10 中小河川の外水氾濫の手がかり
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#10 中小河川の外水氾濫の手がかり

外水氾濫の危険性を示す情報は中小河川の場合と大河川では異なります。ここでは中小河川を対象に危険性を見抜くための情報の使い方を確認しましょう。

この記事は「デジタル防災リテラシー」マガジンのステップ2の記事です。

中小河川の外水氾濫の危険性を伝える情報

中小河川の外水氾濫の可能性が出てきた時には、気象台が洪水注意報洪水警報の発表を通じて注意・警戒を呼びかけます。特に洪水警報は、中小河川による重大な外水氾濫発生の恐れを伝えるものです。中小河川の外水氾濫に関しては、特別警報(「洪水特別警報」といったようなもの)はありません。洪水警報を見た時には中小河川がピンチと覚えておきましょう。

洪水警報の危険度分布

洪水警報は自治体単位で発表されますが、一つの自治体の中でも様々な河川があるので、どの河川が具体的に危険となりそうかを把握するには別の情報を見る必要があります。そこで利用したいのが気象庁が発表する「洪水警報の危険度分布」です。

洪水警報の危険度分布
https://www.jma.go.jp/jp/suigaimesh/flood.html

洪水警報の危険度分布では、河川ごとに危険度の高まりを判断することが可能です。令和元年東日本台風時に発表された洪水警報の危険度分布の例が次のものです(出典はこちら)。

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図の中の細い線中小河川、太い線は指定河川洪水予報の対象河川です。中小河川の外水氾濫の可能性を把握するためには、細い線の色に注目していきます。

洪水警報の危険度分布の色が示すこと

洪水警報の危険度分布では、黄色、赤色、薄い紫色、濃い紫色という4つの色が使われます。濃い紫色が一番危険な状態なのですが、それぞれ詳細を確認してみましょう。

【濃い紫色】中小河川の外水氾濫が発生を念頭に対処
濃い紫色は「極めて危険」という意味を持ち、今の状況は、過去に発生した重大な外水氾濫の際と同じような状況だということを示します。すでに外水氾濫が発生している可能性もあるのが濃い紫色です。河川に近づくのはすでに危険です。河川沿いや周りに比べて土地の低い場所などでは溢れ出た水の影響を受ける可能性があるため、浸水を免れるところに速やかに避難をする必要があります。

【薄い紫色】外水氾濫発生へのカウントダウン
薄い紫色は「非常に危険」という状況です。中小河川による過去最大級の外水氾濫が発生しかねない状況(濃い紫色の状態)に3時間先までに至る可能性がある時に出されます。薄い紫色が現れた場合は外水氾濫のカウントダウンがすでに始まっていると捉え、浸水を免れるところへ避難するなど早急な対応が必要です。

【赤色】重大な外水氾濫のシグナル
赤色は「警戒」を意味し、重大な外水氾濫が3時間以内に発生する可能性を示します。

【黄色】軽微な外水氾濫のシグナル
黄色は「注意」です。3時間以内に軽微な被害を伴う外水氾濫の可能性があることを伝えます。

赤色と薄い紫色の違いは、発生の「可能性」です。赤色は重大な被害を伴った外水氾濫が起こりかねないと伝え、薄い紫色は可能性が一層高まっていることを示します。

薄い紫色と濃い紫色の違いは「予想と実況」の違いです。薄い紫色は今後の見込みを伝える事前(直前)の情報ですが、濃い紫色はすでに外水氾濫が発生するような状況となっているという実況を示します。

十分な時間的余裕がないケースも

洪水警報の危険度分布は3時間先までのことを対象としていますが、雨の状況によっては30分もない間に色が変わっていくことがあります。下の例を拡大して確認してみてください。

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洪水警報の危険度分布が発表された例(気象庁のホームページより)

中小河川の場合は短い時間のうちに状況が悪化することは決して珍しくありません。水位の急上昇もありうることを念頭に対処を行っておきましょう。

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渡邉 俊幸|気象予報士|気象とコミュニケーションデザイン代表

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渡邉 俊幸|気象予報士|気象とコミュニケーションデザイン代表

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気象情報の使い方・伝え方に潜む問題を的確に指摘し、改善方法が提示できる気象予報士。気象防災分野での国内外の経験豊富(豪州・欧州・アフリカ等)。防災メディアに寄稿中。気象情報は使い方次第でもっとあなたの役に立ちます! https://twitter.com/wpcdnote