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秋の七草「桔梗」にまつわる秩父・城峯山の伝承【山と風景と歴史の話】より

桔梗の花と鯉のぼり

埼玉県の秩父市、秩父郡皆野町、児玉郡神川町の境に位置する「城峯山」(1,038m)や、その麓・神川町の 矢納地区にも“平将門伝説”は伝わっていた。

一説には将門の弟・将平の伝説・伝承が影響しているともいわれるが、城峯山の“将門伝説”は、下総での追討軍との戦いに敗れたあと、将門が城峯山で再起を図ろうとしたものの、愛妾・桔梗の裏切りによって儚い最期を遂げたため、城峯山中では現在でも桔梗の花は咲かないというもの。

また、矢納地区の“将門伝説”は、将門が城峯山に籠もっているとき、矢納の民家で揚げた鯉のぼりが敗因となったため、同地区では現在でも鯉のぼりを揚げることはないというものだが、鯉のぼりは江戸時代に町人層のあいだで生まれたとされ、そもそも平安時代にはなかった。

「桔梗の裏切り」も「矢納の鯉のぼり」も伝説・伝承の域を出ないが、思いがけない最期を迎えた将門に対する人々の同情や後悔、無念さは伝わってくる。

また、「秩父小唄」にはこんな一節もあった。

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