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発達障害児の子育て:検査と治療編3

発達障害を持った息子が小学校を卒業しました。そこで、
「発達障害児の子育て:検査と治療編1~4」と
「発達障害児の子育て:中学受験編1~3」
に分けて、私が経験したことを記載します。
なお、イラストは、ChatGPT4(DALL-E)で描いたイラストであり、ここに掲載した複数のイラストの中心の少年は、すべて同一人物をイメージしたものです。


4.発達障害の治療

停学2回

小学校3年生までは、良い先生に恵まれ、友達とケンカすることはありましたが、大きな問題には、発展しませんでした。
しかし、小学校4年生になると、人のものを壊したり、ケンカしたりで、学校に呼ばれること、お友達のご両親に謝りに行くことが多くなりました。

学校でケンカしている様子
学校ではケンカの毎日

太郎の話によると、それまでとの一番の違いは、担任の先生だったようです。友達と口げんかしていても、先生が止めることはなかったそうです。
私が授業を見たときは、算数のテストの時間でした。算数が苦手な太郎を含め、テストが終わっていない生徒は、まだ座ってテストを受けていました。テストが終わった生徒は、先生にテストを提出した後、教室の中を歩き回っておしゃべりしていました。つまり、テストを受けている生徒の横で、立っておしゃべりしている生徒もいましたが、先生はテストの採点をしていて、おしゃべりしている生徒を注意することはありませんでした。歩き回っていた生徒を注意したのは、たまたま通りかかった隣の担任の先生でした。このように、子供に注意することができない先生だったようです。
このような先生が担任だったこともあり、ケンカがエスカレートしていき、ついにお友達を怪我させてしまいました。お友達のお家に謝りに行き、学校は、太郎に対する受け入れ態勢が整うまで、無期停学となりました。
結果的には、1週間後に学校に行く条件(保護者に、かなり負担がかかる条件)が提示されて、学校に行けるようになりました。しかし、その2か月後には、ハサミを先生に向けて振り回したことで、2回目の停学になりました。
(こういう状況でしたので、WISC-IVの結果を見ても、それどころじゃないという状況でした。)

QEEG検査(治療前)

4年生になって、小さな問題が多発したことから、停学になる前から、太郎の母は、発達障害を治療できるクリニックを探していました。そして、見つけてきたクリニックは、発達障害専門で、QEEG(Quantitative Electroencephalography)検査を行い、TMS(Transcranial Magnetic Stimulation)治療を行う新しいクリニックでした。太郎の母によると、「言葉で言っても子供の異変を認めない私に、目視で理解してもらえると思ったから」だそうです。

QEEG検査とは、頭全体にセンサーを付けて、リラックスして座っているときのα波、β波、γ波などの脳波を測定します。QEEG検査の詳細については、ネットで検索してご確認下さい。
(おそらく、太郎が通ったクリニックが、検索結果の上位に表示されます。そこに、詳しい説明が記載されています。)

TMS治療を受けているイメージ
QEEG検査を受けているイメージ

検査結果は、以下のような脳波の分布を現した図でした。

治療前のQEEG検査結果

先生には、学校や家庭の様子を事前に説明していて、この結果を見ながら、ADHDが強く、アスペルガーも少しある、という説明を受けました。
ここで初めて、息子は、アスペルガーではなく、ADHDだと分かりました。ADHDだと言われると、確かに、太郎の行動に当てはまります。また、太郎は相手の気持ちが分からないアスペルガーだと思っていたので、私が太郎に対して喜怒哀楽をなるべく出していたのが、無駄だったことが分かりました。
そして、「コミュニケーションにこだわり」との説明もありました。この結果を聞いたときには気になりませんでしたが、このこだわりは、いろんな問題の原因になっていたようです。

ADHDの特徴を調べると、以下の3つの特徴があると言われています。そして、それぞれ太郎に当てはまる事例がありました。

  • 不注意(集中力がない):授業中、授業の内容に集中できず、別のことを考えている

  • 多動性(じっとしていられない):授業中、教室の床に寝転がったり、別のことをやりだす

  • 衝動性(思いつくと行動してしまう):ケンカでつい手が出たり、人のものを壊す

この中で一番の問題は、衝動性です。前に記載したように、ケンカしたり、お友達のモノのを壊したりすることが何度もありましたので、衝動性を抑える必要がありました。

TMS治療

TMS治療とは、頭の数か所に電極を付け、磁気を流して脳に刺激を与えて、治療するものです。日本ではうつ病の治療としては、保険適用が認められていますが、発達障害の治療は、自費診療(数十万円)となります。発達障害に対するTMS治療の詳細については、ネットで検索してご確認下さい。(こちらも、おそらく、太郎が通ったクリニックが、検索結果の上位に表示されます。そこに、詳しい説明が記載されています。)

学校で多くの問題を起こしていた当時は、治療費が高くても、何か治療しなければいけないという一心でしたので、治療を受けることにしました。
TMS治療は、何パターンかの治療ができるらしく、何を治療したいかを聞かれます。まずは、他人に怪我をさせたり、モノを壊さないように、衝動性を抑える治療を行いました。治療の途中からは、授業中落ち着けるように、集中力を高める治療も行いました。

QEEG検査(治療後)

これが、治療終了時の太郎の検査結果です。

治療後のQEEG検査結果

確かに、最初に指摘されたところは、改善されているようですが、この結果が良いのか悪いのか、良く分かりません。ただ、お友達を怪我させて、学校を停学になった状況でしたので、いろんな意味で、このような治療を受けて良かったと思っています。

ちなみに、私(太郎の父)もQEEG検査を受けました。

太郎の父のQEEG検査結果

検査を受けた理由は、発達障害は、遺伝している可能性が高いと考えていたため、私にも発達障害があるのかどうか知りたくなったためです。QEEG検査結果を見せられたときに、先生から「生活や仕事で、何か困っていますか?」と何度も聞かれました。私は、「生活や仕事で特に困っていることはありません」と答えたため、発達障害ではないと診断されました。よくよく話を聞くと、「生活や仕事に困っていなかったら、発達障害ではない」そうです。先生は、何か言いたげでしたが、発達障害ではないと聞いて安心したため、その時は、それ以上何も聞きませんでした。このとき、発達障害じゃないとしても、どのような傾向があるかを聞けばよかったと後悔しています。

治療の効果(症状改善の要因)

TMS治療を実施するようになって、十数回経ったころ、怒ることが少なくなったり、宿題とかもすぐに取り掛かれるようになったと感じました。しかし、その後、元に戻った感じもありましたので、良く分かりません。4年生のときは、大きく改善した印象は受けませんでした。
しかし、5年生になってからは、ケンカすることはあっても、お友達を怪我させたり、モノを壊したりするようなことは、なくなりました。
ただし、その要因は、治療だけではなく、以下の3つだと考えています。

1.担任の先生が変わったこと
一番目の要因は、担任の先生が変わったことでしょう。5年生になって、ベテランの先生に変わり、クラス内が落ち着いてきました。それに伴い、太郎がケンカすることも少なくなり、学校に呼び出されるようなトラブルを起こすことは、なくなりました。

2.太郎が精神的に成長していたこと
二番目の要因は、精神的に成長し、安定したことです。太郎の父(私)が、勉強の面倒を見ることになったため、太郎の母と太郎が、勉強面でケンカすることはなくなりました。また、太郎の母から注意されても、太郎が過剰に反応して、ケンカになることが少なくなりました。そのため、精神的に安定していました。

3.TMS治療を行ったこと
三番目の要因は、TMS治療を行ったことです。上に記載したように、治療の途中で、怒ることが少なくなり、宿題にもすぐに取り掛かれるようになったと感じました。TMS治療には、波があると言われており、良くなったと感じた時もあれば、変わってないと感じるときもありました。5年生の担任の先生からは、4年生のときより大人しくなったと言われましたし、5年生以降はケンカやモノを壊して、学校に呼び出されたことはありませんでした。結果から考えると治療後、衝動性が抑えられていたことになります。

発達障害は治療できるのか

TMS治療を始めたとき、そもそも、発達障害が治るのか?という疑問がありましたので、いろいろと調べました。そして、一冊の本にたどり着きました。

・ニューロフィードバック―シンフォニー イン ザ ブレイン

この本には、ニューロフィードバック(訓練によって脳波を変える)ことによって、ADHDを含め、さまざまな脳の障害を改善できた事例が書かれています。
この本には、ニューロフィードバックによって、昏睡状態だった人が言葉を話すようになったり、ADHDの人が大きく改善するなど、奇跡的なことが書かれています。しかし、きちんと臨床試験が出来ていないことから、医学界であまり認められていないようです。
この本を読んだ私の理解は、発達障害の人の脳波には、共通的な特徴があり、その脳波を変えることができれば、発達障害の症状が軽くなりそうだ、ということです。そして、TMS治療が、電磁波で脳波を強制的に変えているとしたら、発達障害が改善する可能性はあるのではないかと思いました。
なお、日本でもニューロフィードバックを行っているクリニックがあります。しかし、太郎は、TMS治療を行ったため、ニューロフィードバックの治療を受けることはありませんでした。TMS治療を受ける前にこの本を読んでいたら、ニューロフィードバックを受けていたかもしれません。

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