イギリス留学を考えている弁護士が知っておくべき留意点
こんにちは。
お読みいただきありがとうございます。
これまでは、弁護士が英国のロースクールに留学することのメリットをキャリアとプライベートの両面から考えました。
ただ、イギリス留学も良いことばかりではなく、気を付けないといけない点もいくつかあります。
何がネックとなるのかは、皆さまのキャリアプランや所属先の事務所の事情に左右されますが、ここでは一般的に留意が必要であろうと思われる点を書いていきたいと思います。
家族帯同ができない
イギリス政府は、2024年1月以降に入学する学生について、家族の帯同ビザ(dependent visa)を発給しないことを決めました。
移民を抑制する政策の一環らしいです。
つまり、2024年以降に、イギリスのロースクールに留学をしようとする場合、配偶者の帯同ができなくなります。
子供はどうなんでしょう、、?
もし無理なら、もう片方が日本に残って一人で子育てをすることになるので、お子さんがいらっしゃる弁護士にとっては、かなりのネックとなりそうですね。
ぼくのときは、このような制限がなかったので、妻と子供に無理を言って、ロンドンまでついてきてもらいました。もし、家族帯同ができないのなら、イギリスは留学先の候補から外れていたと思います。
しかし、上記の記事では次のようにも述べており、2024年以降も帯同ができるルートが設けられるかもしれません。
どこまでが「UK's world-leading universities」になるのでしょう、、。今後の動きを注視する必要がありそうです。
研修先が少ない(らしい)
留学を検討されている方の多くは、1年目にロースクールに通い、2年目は現地のローファームで研修するというパターンを予定されていると思います。
ロンドンでは、リーガルサービス産業が非常に盛んであり、グローバルローファームの中には、イギリスを発祥とする事務所がたくさんあります。
もっとも、こちらで出会った大手事務所から来た留学中の方々の話を聞くに、どうやら研修先のポストは多くないそうです。ロースクール卒業後は、別の国に研修に行くと言っていた人も結構いました。
イギリスのローファームが研修生をあまり受け入れたがらないのか、日本人弁護士が持っているコネクションが限定的なのか、原因は分かりません。
ただ、2年目の研修って日本独特の文化らしく、ロースクール主催の就活フェア的なものに参加したときに、いろんな有名どころの採用担当者に説明してもイマイチ理解してもらえませんでした。学校の友人に話したときも「何そのシステム?」というリアクションでした。
そんな状況なので、そもそも研修受け入れの用意があるローファームが少ないのかもしれません。
研修先確保の王道は、事務所のパートナーのコネクションを利用することだと思います。マジック/シルバーサークルなどの有名ローファームに押し込んでもらうことを考えている場合には、以上の事情を理解しておいた方が良いかもしれません。
ちなみに、ぼくは、せっかく自分で選んだ留学先なので、研修先も自分で見つける道を選びました。その後、ラッキーなことにぼくの希望とマッチする事務所が見つかり、そちらにお世話になっています。
学生の多さ・授業の形式
アメリカのロースクールは、ソクラテス・メソッドのスタイルを採っていると聞いています。きっと、少人数での教育が前提になっているのだと思います。1学年100人いかない学校も普通にあるようですね。
それに対して、イギリスは、基本的にレクチャー形式で授業が行われます。日本の大学の大講義室での授業とかなりイメージが近いです。
少人数のゼミとレクチャーがワンセットになっている科目もあるのですが、肝心のゼミの運営が適当な先生も多く、アメリカのロースクールに留学した人からよく聞くような緊張感のある授業は少ないです。
また、イギリスのロースクールは、かなりたくさん学生を受け入れているようです。例えば、ぼくの大学では、500人以上が在籍していました。それだけ多ければ、一人ひとりの学生とソクラテス・メソッドやってられないですよね。
500人もいると、全員と仲良くなるのは無理ですし、淡々とレクチャー形式の授業を受けるだけで毎日の生活が過ぎていくので、授業を通じて自然と仲良くなることも難しかったりします。ロンドンのロースクールはどこも都市型キャンパスであることも相まって、濃密なキャンパスライフを送るためには、積極性が必要です。
おわりに
帯同ビザが下りなくなることは、めちゃくちゃ影響が大きいと思います。
ほとんどの事務所では入所後4~6年での留学することになるところ、ロースクール卒でストレートで来れば、ちょうど30歳ぐらいです。もし、大学や修習時代から付き合っている人がいれば、それぐらいの時期に結婚をすることも多いのではないでしょうか。
配偶者だけならまだしも、子供がいるとなれば、なおさら家族を残して一人で海外に行くことを躊躇します。というか、無理ですよね、、。
もっとも、このビザ問題によりイギリスに留学する弁護士はさらに少数派になるかもしれず、家族帯同の縛りがない人であれば、逆にキャリアの希少性を生み出すチャンスなのかもしれません。
今回もつらつらと書いてしまいましたが、留学を検討されているどなたかの参考になれば幸いです。
弁護士のイギリス留学に関するいろいろなことを書いています。
よければ、ぜひご覧ください!
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