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弁護士がイギリスに留学するメリット#2 プライベート編

こんにちは。
イギリスに留学中の弁護士です。

前回は、弁護士のキャリアの観点から、イギリスのロースクールを留学先に選ぶメリットを書きました。

しかし、人間は四六時中仕事をしているわけではなく、プライベートも大切です。そうなると、イギリスに留学することについて、異なる視点から検討を加えることもまた必要になってきます。

そこで、今回は、キャリアとは直接関係しない点(タイトルでは便宜的に「プライベート編」と題しています。)を中心に、弁護士がイギリスを留学先に選ぶべき理由を考えていきます!


ロースクールの立地がよい(ロンドンにある!)

ロンドンにはたくさんの大学があり、弁護士の留学先として選択肢となりうるロースクールだけを見ても、だいたい5~6校あります。

ロンドンは世界有数の都市ですし、物価に目をつぶれば、毎日楽しい生活を送れます。ヨーロッパと近いことも利点で、ぼくは、学期間の休みを利用して、西欧・中欧を中心にほとんどの国を訪れることができました。

また、オックスフォード、ケンブリッジに留学される方もいますが、それぞれ、電車で1時間ほどでロンドンに出ることができます。

アメリカのロースクールとの比較

イギリスと比較すると、アメリカの有名ロースクールは一部(コロンビアとNYU)を除いて郊外にある、、と以前聞いた気がしたのですが、これを書くにあたって確認してみたら、案外そうでもないですね(笑)西海岸、シカゴ、ワシントンと色々ありそうです。

そうなると、あとは好みの問題で、どういう住環境で留学生活を送りたいのか、という話になります。もし、冬の異様な日の短さがOKなら、イギリス(ロンドン)のロースクールもおすすめです!

夫婦で留学しやすい

あと、現地でお会いした留学中の方の中で、夫婦とも弁護士で別々のロースクールで勉強されている方が複数(外国人を合わせると4組)いました。

アメリカの場合は、募集人員も少なく、有名ロースクールが各地に点在しているため、成績との見合いで最良の学校を選ぼうとすると、同じロースクールに通うのは現実的ではなく、したがって同居は困難かもしれません。

他方で、ロンドンであれば、学校の選択肢が多いので、お互いが望むロースクールに進みつつ、一緒に暮らすことが可能になります。

留学前の英語スコア準備の負担が軽い

条件付き合格(conditional offer)

英語が流暢な一部の人を除けば、留学準備の一番の苦労は、日々の業務に追われながら英語を勉強して、必要なスコアを確保することだと思います。

この点に関して、イギリスのロースクールでは、ごく一部の学校を除き、英語のスコア提出を留保して出願することができます。

英語のスコアを提出せずに出願した場合、学校は、スコア以外の書類(学部の成績、PSなど)に基づき審査を行い、基準を満たしていると判断された場合、条件付き合格を出します。これは、所定の期日までに英語のスコアを提出することを条件に入学を認めるものです。

実はぼくも、前年10 月の出願の際には大学の求めるスコアが取れていなかったため、スコア無しで出願しました。その後、12月頃に条件付き合格を無事もらい、年明け過ぎてしばらくしてスコアを補完した形です。

ぼくの大学の場合、スコアの提出期限が遅く、確か入学の1か月前ぐらいまでに提出すればよかったので、かなり気持ちに余裕がありました。

このように、イギリスのロースクールの場合は、スコアの提出を後ろ倒しにすることができるので、業務との両立がしやすいです。

英語のスコアは単なる足切り

ほぼ全てのロースクールで条件付き合格の制度が採られているということは、イギリスのロースクールが、英語のスコアを単なる足切りの基準に過ぎないと考えていることを意味します。

出願前に、複数の大学のアドミッションオフィサーに話を聞く機会があったのですが、英語のスコアを留保して出願したことが審査に不利に働くことは100%無いと口をそろえて言っていました。

IELTS v TOEFL

イギリスのロースクールの場合、英語のスコアは、TOEFLではなく、IELTSと呼ばれるイギリスの試験機関が主催するテストを利用するのが一般的です。

Reading, Listening, Speaking, Writingの4分野でテストが行われ、それぞれ1点から9点が0.5点刻みで付されて、その平均値の点数(四捨五入)がOverallのスコアになります。たとえば、OA 5.5 (R 5.5, L 6.0, S 5.0, W 6.0) みたいな感じで表現します。

ぼくの大学では、Overallで7.0、各セクションで6.5以上が求められました。これが、オックスフォード、ケンブリッジなどになると、Overallで7.5、各セクションで7.0以上が要求されます。

ぼくはTOEFLは受けたことがないのですが、TOEFLの主催団体の換算によれば、IELTS Overall 7.5=TOEFL iBT 102点、IELTS Overall 7.0=TOEFL iBT 94点という対応関係にあるようです。

アメリカの有名ロースクールの基準がTOEFL iBT 100点と聞いたことがあるので、もしかしたら、スコアの要求水準自体も、イギリスの方が少し低いのかもしれません。

プレセッショナルコースの利用

「条件付き合格をもらったが、期日までにスコアが取れなかった場合どうなるの?」という疑問が浮かぶと思います。

これに関しては、本コース前にプレセッショナルコースと呼ばれる短期間の準備過程が用意されており、スコアが0.5足りない程度であれば、これに参加して修了すれば、スコアの提出に代えられます。

ぼくは、スコアはギリギリ足りていたものの、いきなり本コースから始めて順応できるか心配だったので、サマースクール的な位置づけで、プレセッショナルに参加しました。案外そういう人は多く、ぼくの大学だと体感4分の1ぐらいは既にスコアを持っていました。

学費が相対的に安い

留学の準備を進める中で驚いたのが、ロースクールの学費の高さです。

例えば、アメリカのコロンビア大学ロースクールの2023‐24年度の学費は、約7.8万ドルだそうです。1ドル=150円換算だと約1170万円ですね、、、

これに対して、ぼくが通っていたキングス・カレッジ・ロンドンのロースクールの2024‐25年度の学費は、約3.3万ポンドとのこと。1ポンド185円換算だと約610万円で、それでも高いですが、まだマシです

私費で行かれる方にとっては、学費が相対的に低く抑えられるのは、大きなメリットですよね。

ただし、ロンドンは、ニューヨークほどではないものの物価が高く、特に家賃の相場が異常なので、生活費は結構かかります。ロンドンの都市としての魅力の高さと表裏の話ではありますが、コストの問題は学費だけでなくトータルで考えた方がいいかもしれません。

おわりに

ここまで書いてきて、英語のスコアの話に結構な紙幅を割いていることに気づきました。入学時のスコアメイキングの負担が少なくとも、入学後に英語を必死でやらないといけないのは間違いないので、あくまで準備が楽になる程度に考えて頂ければ思います。

今回のエントリーが、誰かの参考になればうれしいです。


弁護士のイギリス留学に関するいろいろなことを書いています。
よければ、ぜひご覧ください!


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