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娘ちゃんの感覚過敏/イントロ

*触覚編
*聴覚編
*偏食編
その他編(嗅覚・視覚・前庭覚・固有覚)


まずは、目下、我が家の一番の心配事である娘ちゃんのことについて書きたいと思います。

我が家の娘ちゃんは六歳。今まで性別をはっきり言ったことはありませんでしたが女の子です。一人っ子で、この春から小学校にあがります。

紹介記事にも書いたように、娘ちゃんは年中の頭からすでに丸二年間、幼稚園を不登園しています。おまけに、昨年末頃から現在にかけてはひきこもっていて家から一歩も外に出ていません。

そんな具合なので、春から小学校とは言っても、正直なところ通うのは難しいだろうと思ってます。

娘ちゃんの個性を考えてみても、また自分自身の過去を振り返ってみても、小学校にあがったら早々に学校に行きたくないと言い出しそうだなという予感はありましたが、まさか年中の頭から言い出すとは(娘ちゃん四歳当時)、親としても心の準備ができてませんでしたよ。

それはともかく――。

娘ちゃんにも発達障害(中でも自閉症スペクトラム)の疑いがあることは以前ちらりと触れましたが、現段階では未診断なのでひとまず感覚過敏について紹介したいと思います。どちらかというと、不登園の直接的な原因も発達障害というより感覚過敏によるものが大きいと言えるかもしれないので(切り離して語れるものではないかもしれませんが)。

※感覚過敏についてはこちらのサイトなどをご参照ください。


娘ちゃんの場合、感覚全般にわたって過敏さがあるのですが、特に触覚に強くそれが出ています。

触覚に過敏さがあるとどうなるかというと、例えば、タグが当たるのがイヤで切ってしまうとか、セーターはチクチクするから着ないとか、靴下がずり落ちるのが気になって仕方ないとか、あるいは人に触られるのをイヤがるとか。

そうしたことは身に覚えがあるという方も少なからずいるんじゃないでしょうか。

娘ちゃんの場合、そのような症状が全身にわたって非常に強く出ているというような感じです。程度で言うと、服を着られないくらい。「どういうこと?」と思うかもしれませんが、言葉のまま、服を着られないんですね。

形状によっても、素材や肌触りによっても、ほとんどの衣類に拒絶反応が出ますし、肩回りで生地がくしゃっとなるのがイヤ、同じく股上の部分で生地がごわつくのも耐えられない、締め付けられるのもダメなら緩すぎるのもダメ、靴下がずり落ちてくるのも我慢ならない。

娘ちゃん、指先で一撫でしただけでその素材が自分にとって快か不快か分かってしまいます。何ソムリエだよ。

というような具合で、ほとんどの衣類を身に付けることができず、着られるものを見つけるのは一苦労です(本人におしゃれをしたい気持ちもあるのでデザインにもこだわりますし←これも尊重しないわけにはいかないので)。

股上の部分に当たるのもイヤがると言いましたが、そのため下着を履くこともできません。幼稚園に行かなくなってからは家の中ではパンツも履かず、おっぴろげで過ごしてます。最初の頃こそかろうじて肌着を一枚着ていましたが、これもすぐに脱ぎ捨ててしまいました。

というわけで、家の中では全裸でいるんですね。娘ちゃん、もう丸二年というもの、パンツを履いたことがありません。

(このエッセイももともとは「娘がいつかパンツを履く日」というセンセーショナル(?)なタイトルが仮についていたのですが、さすがに女の子ですし、思春期とかになって父親が自分がパンツを履いてないことを世界に向けて発信していると知りでもしたら、「くそオヤジ、てめぇ殺す」となるようなものじゃないですか。なのでやめましたよね)

家の中では赤ん坊のときから使っているお気に入りのタオルケットをいつも肌身離さずという感じで持っていますが、これは外出するときにもないと不安がるので必ず持っていきます。厚手なのでかなりの荷物になるんですが、ほんと、ライナスの毛布そのままです。寝るときにもいつもくるまってます。

このタオルケットは同一商品の大サイズと中サイズの二枚組で、娘ちゃんが生まれたときに義母がプレゼントしてくれたもの。しっかりしたつくりのため、六年経った現在でもほつれなどが少なくてとても助かってますが、部屋中を引きずり回すし、外にも持ち出すので適度に洗濯したいところです。

ですが、娘ちゃんはこれもイヤがります。洗濯すると肌触りが変わってしまうからです。柔軟剤を使っても洗濯直後はどうしてもごわついてしまい、再びもとの通りに馴染んでくるまでに少なからず時間がかかってしまうんですね。運よく二枚あるのでだましだましやっていますが、一ヶ月二ヶ月洗濯できないこともざらです。

娘ちゃん、馴れたものが変わるのはイヤ、常に安心できるものに囲まれていたいという気持ちもものすごく強いです。

服を着られない、家では全裸でいると言うと、その道の専門の方でもそこまでの過敏さは珍しいというので驚かれることがありますが、何も着ない状態が本人にとってもっともストレスフリーなようです。

服が着られないと言っても「は?」というようなもんで、人に理解されにくいというのはありますが、そうしたことも含めて日常生活に支障が出る面も多々あるのですが、親としてはとりあえず無理はさせないようにして、ときどき試せそうな服があるよと水を向けたりしながら気長に様子を見ているところです。

昨年末からは重ね着もイヤになってしまい、寒くなるとともに出渋るようになり、十一月末頃には暖かくなるまで家から出ないと宣言されてしまいました(年中の冬には大丈夫だったんですが)。

まぁ自分を強く主張できるのは頼もしく感じる部分もありますが、親が片方仕事で出ていたりするとちょっと荷物を出しに行くとか、足りないものを買いに出るなんてこともできないので大変です(まだ一人にできる年齢ではないので)。

秋には進学に備えてという意味からも、発達障害の診断や療育のために医療機関に行くことを考えていたのですが、外に出られなくなってしまったためすべて先伸ばしになってしまってます(もともと市の児童相談所のようなところには通っていたのですが)。

通級の体験教室にも参加できませんでした(私の市では体験教室に参加しないと利用できないそうです。希望者が多いためのよう。通級なんてものがあるということも知りませんでしたが)。というので、小学校では当面通常学級という選択肢しかなく、これは娘にとってはやはりハードルが高すぎます。

今、新型コロナウィルスの影響で学校が休みになったりしていますが、この機に配信などを利用しての自宅学習への理解が進むといいなとは騒ぎとは別に思ってます。

ひとまず、我が家としてはまずは娘ちゃんが外に出られるようになるかどうかというところなんですが、ウィルスの影響はともかくとして、そろそろ暖かくなってきたのでどうかなと思っているところ。体も少し大きくなったし、昨秋まで着られていた二、三着の服をすんなり着てくれるといいんですが、どうでしょうか。

短く区切るとか言って3000字弱になってしまった。それではまた次回。


いただいたサポートは子供の療育費に充てさせていただきます。あとチェス盤も欲しいので、余裕ができたらそれも買いたいです。