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ゆめゆめ 三の夜

 ある情景

 こんな夢を見た。
 風がそよぐ中で、わたしは洗濯物を干している。草原にぽつりと建つ、丸太小屋のような家の庭先である。雨上がりの晴天で、地面には大きな水たまりがいくつもできている。水たまりには青空が映り、わたしはシーツを広げながら誰かの帰りを待っている――。
 言葉にするとたったそれだけのことだった。
 もっとずっと長い夢の気がした。長編映画ほどのストーリーがあり、その中で名状しがたい感情が複雑に絡まりあって流れていたように思えた。
 それなのに、いくら思い出そうとしてもその情景以上のものは出てこなかった。
 それでもそこには不思議な詩情があった。
 その場面を思い描くと、草原の草木を揺らす爽やかな風を頬に感じるようだった。
 誰の帰りを待っているのかも分からなかった。仮にその人が帰ってこないとしても、かまわないのだろうと思った。



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