52 ユニコーン(旧:54字の物語 番外編2)
*もともと54字の文学賞用に書いたもの膨らませた作品ですが、掌編集「a man with NO mission」シリーズに収録することにしました)
「ユニコーン」
ある夜のことだった。
男は、パプアニューギニアから男性が股間に装着する角型ケースを輸入して、ポニーにつけてユニコーンと偽って売ると大儲けできるという、お告げのような夢を見た。
さっそく実行に移した。
自分でもびっくりするほど売れず、男は大量の角型ケースとポニーを抱えて破産した。
その頃、パプアニューギニアのある部族の間では、角型ケースと引き換えに送られてきたユニクロのボクサーパンツが一大ブームを巻き起こしていた。男たちはパンツ一丁でこれ見よがしに熱帯雨林を闊歩し、互いにパンツを自慢し合った。
日本では、すべてを失った男が再起をかけて角型ケースを本来の目的通りに使うものとして改めて売り出した。
自らも普段から股間につけて生活するなど商品PRに励んだが、びっくりするほど売れなかった。
いただいたサポートは子供の療育費に充てさせていただきます。あとチェス盤も欲しいので、余裕ができたらそれも買いたいです。