「とさレモンの背景」の背景(前半)
少し真面目で長くなるので前半後半に分けて投稿したいと思います。ご入会前にあまり長い屁理屈が並んでしまっては、それだけで嫌になってしまうと思うので、ここは興味のある方にお読みいただければと思います。
こちらの記事にも書きましたが、とさレモンの会の発足にはいくつかの動機があります。
第1に、高知県内の耕作放棄地の再活用。荒れていく放棄地が少しずつレモンの溌剌とした色で彩られていく風景を目指したい。
第2は、国内のスーパーのほとんどに並ぶ輸入レモンの売り場を国産レモンに差し替えること。高知県内のスーパーは高知県産レモンの固定的売り場の確保。
第3は、新しい作物(レモン)の栽培着手をきっかけに、農薬や化学肥料に頼らない、環境と人に優しい持続可能な農業へ一歩踏み出すこと、です。
最近テレビでも取り上げられているように、ここ数年国産レモンはかなり注目されていて、飲料メーカーを初め、お菓子や保存食品でも「レモン〜」「瀬戸内レモン〜」とレモンを全面に打ち出した加工品も数え切れないほど出てきました。スーパーなどで国産レモンをみる機会もだいぶ増えたように思います。その辺りはこちらの記事でも触れた通りです。このレモンブーム、まもなくピークを迎えて少し落ち着くとは思いますが、かつてのナタデココのようにいきなり影を潜めてしまうようなことがないと考えています。当然、農家さんたちも(そしてきっと農協も)レモンを栽培しよう!という考えに至るわけです。
きっとこの流れにのって、高知県に限らず、数年後には前述の第1と第2の目標はある程度達成されていく可能性は十分にあります。
問題は第3の課題です。欧米を中心とした海外では、持続可能(サステナビリティ)やオーガニックの考え方がだいぶ前から広まっており、年々勢いを増しています。お隣の中国でも、全体の農薬の使用量はすでに日本よりも少ないとも言われています。その一方、日本ではまだまだ有機認証をとってオーガニックを声高に謳う農産物は少なく、一向に増える気配がありません。
それには理由があります。
まず、成功事例(←栽培方法としてもビジネスとしても)が少ない。従来の慣行農法から有機農法や自然農法に切り替えて、収量が格段に増えたという例はほとんど聞いたことがありません。逆に減ったという"噂"を耳にすることはあります。大体の作物が重量によって売り上げが左右される現状の中で、農家さんたちには、化成肥料や農薬をやめてしまって収量=重量が減ってしまったらどうしよう、という考えが常に付き纏います。作物の品質や味の良さが価格に反映されることはまずないのです。技術的にも、有機や自然農法のノウハウを持つ農家や指導者はまだまだ少ないのが現状です。
そして、有機認証(有機JAS)の取得を試みようとした時、経済的にも作業的にも農家さんの負担とリスクが非常に高いというのがもう一つの理由です。膨大な資料の作成と認証取得・更新時にも費用がかかります。有機JAS認証の野菜の値段が高くなる理由にはこのような事情があるのです。
→後半へ続く.....
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