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利用者の出来ることを奪わないで✖️その前に必要な絶対条件

右大腿骨骨折で、現在入院中の女性利用者さん。

今日は、現在入院中のリハHPから一時帰宅して、息子さん、PT、ケアマネさんと同行し、家屋の評価を行いました。

院内は、杖歩行レベル。

しかし、足の拳上がスムーズにはいかず、つまずきによる転倒の危険性がある。

一部屋毎に、どんな危険があるかをみんなで意見を出し合い決定していく。


浴室は、昔のUBで、以前に浴槽のパックイン工事を行ったとのこと。

しかし、パックインをしているのに、浴槽の縁高さが600と高い。

基本的には、浴槽の長さを伸ばすと、自ずと浴槽高さが低くなるのに…、と思いながら提案を進める。


やはり、浴槽のまたぎ動作を心配されていたので、スノコ、浴槽内いす、の選択肢を示した。

しかし、どの案もやはりこれまでの経験上、メリットよりもデメリットの方が多いため、このことをお伝えさせて頂いた。

まず、洗い場のスノコに関しては、現在の洗い場の広さからいくと、三分割になる。

しかし、スノコは、分割をしても、一枚当たりの重量が結構あり、女性利用者には日常的な掃除が困難なために、この案は却下。

次の浴槽内いすは、湯船の中で腰掛けて使用するならば、湯船から肩が出てくるというデメリットはあるけれど、メリットの方が大きいと感じます。しかし、一転この浴槽内いすを“踏み台”として使う場合は、デメリットの方が大きくなる。

どうしても、一旦その上に乗る動作と、下りる動作が出てくるために、手すりがあったとしても、転倒、転落の危険性がある。

もし、浴槽内いすを、洗い場と浴槽内の両方に置いて、浴槽の縁のまたぎを楽にする場合も、やはり、台の昇降動作が出てくるため、デメリットの方が大きい。

それに、この浴槽内いすは、基本的に浴槽内で座っている時に使用するので、またぎ動作で使用する際に設置する位置とお尻の位置がズレてきます。

そのため、一回一回、浴槽内いすを動かさないといけなくなります。

やはり、その動かすという動作を浴槽内で行うのは危険です。

そのため、この案も却下しました。


また、ケアマネさんから、「バスボードはどう?」と言う提案がありましたが、

浴槽の縁の高さが600mmあり、バスボードを使うとなると、そのバスボードの厚みも加わり、中々腰掛けるには厳しい高さとなります。

また、腰掛けて足を片足ずつ入れる際も、身体は、後傾姿勢となり、そもそも浴室の大きさがある程度無いと、狭過ぎてまたぐ事が困難になります。

このケースは、「安全やから」という理由だけで導入するには、かなりの注意を要します。

バスボードの取り外しは誰がするの?

掃除は?

このような事をお話しさせて頂くと、やはり、導入率は低い。



今回の、家屋状況、身体状況を勘案すると、手すりがあれば何とかですが、またぎ動作は出来るだろうという見解になったため、長さ800mmの横手すりと、浴槽内での立ち座り動作時に使う縦手すりをご提案させて頂きました。

また、その他、トイレ入口の手すり、ベランダへ出る際の手すり、寝室内の手すりの計5カ所で最終決まりました。


今回の内容では、更にベッドサイドのたちあっぷ設置もあり、合わせてご説明させて頂きました。

やはり、この、住宅改修✖️貸与✖️購入のセット提案は楽しい。

一つ一つの提案で、その場で沢山の意見が出て勉強にもなるし、その利用者さんの状況と、住環境をどう組み合わせて安全性の高い環境にするのかをみんな真剣に話し、退院後の生活をイメージする。


これこそが他職種連携ですね。

この利用者さんは、特に退院後も独居生活のために、より一層の安全への配慮がいる。


介護業界の今の基本的支援の考えとして、

「その利用者さんが“出来ること”は奪わない。」


と言うことが謳われますが、


しかし、この文面の中には、一つ抜けています。


それは、

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