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「札幌っていつもそうですね・・!」  J1第29節 北海道コンサドーレ札幌対ヴィッセル神戸 レビュー

スタメン

北海道コンサドーレ札幌

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ベンチメンバー 
GK 中野 DF 岡村 柳 中村 MF 小野 FW ドド ジェイ

・ミラン・トゥチッチは2試合連続スタメン
・菅大輝はまたしても左CBで出場
・小柏剛は左太腿痛によりベンチ外 
・荒野拓馬が体調不良から復帰
・中村桐耶が今シーズン初のリーグ戦ベンチ入り

ヴィッセル神戸

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ベンチメンバー
GK 廣永 DF 小林 山川 櫻内 MF 佐々木 
FW 田中 クルキッチ

・3バックではなく、大崎をボランチに置いた4バック
・イニエスタ、大迫、武藤の3人がスタメンに揃う
・ボージャンはベンチ
・山口蛍は怪我のためベンチ外

スタッツ

マッチレビュー

 久々の連勝と3月のリベンジの果たしたい札幌とACL圏内にむけて勝ち点3が欲しい神戸の一戦。攻撃ガンガン行こうぜの札幌と勝つために守備的な戦術を採用した神戸という正反対の道を選んだチーム同士の戦いだった。

 前半序盤から札幌ペースで試合が進む。神戸が442のブロックを組んで守るため、札幌は片方のサイドで引き付けてからサイドチェンジという幅を使った攻撃でチャンスを作り続けた。決定機は前半序盤早々に訪れる。前半2分、右サイドで細かくパスを繋ぎ、駒井のスルーパスに金子がPAの右ポケットに抜け出し荒野にマイナスのクロス。しかし荒野のシュートは右に外れゴールとはならず。PA内であとは決めるだけの決定機を作り出した。

 対する神戸は監督や選手のコメントを見るに意図的に守備的な戦いを選択したようで、自陣で4‐4‐2ブロックを組んで守り続ける時間が続く。しかしビルドアップに対するプレスも、ミドルゾーンに入ってくるまでプレスをかけない守備的な設計な上に連動性がないため、簡単にボールを運ばれ縦パスを多く通されてしまう。攻撃時はボランチを1枚落とした3バックでビルドアップを試みるも、札幌のオールコートマンツーマンに苦しみ思うように攻撃には繋げられなかった。

 しかし先にこの試合展開を打破したのは、攻守ともに抑えこまれていた神戸だった。前半22分に試合が動く。札幌からボールを奪った神戸がボールを落ち着かせると、飯倉が前線の右サイドで待ち構える武藤にロングボールを送る。そのボールに反応した武藤はマンマークでついていた菅からするりとすり抜け、PA右からマイナスのクロス。このクロスには走りこんだ中坂がゴール左隅に流し込み先制点を挙げた。

 三浦監督、ゴールを決めた中坂選手のコメントによると、「相手が前から来て同数になったところの裏を突く」というチーム全体で一貫した狙いがあったようだ。高い位置からの同数守備で空く裏のスペース、それもマンツーマンでつくDFが本職ではないという札幌の弱点を上手く突いた得点となった。

 そこから飲水タイムを挟み試合再開。神戸はこのタイミングでプレスを修正。より積極的にプレスを仕掛けるようになる。攻撃も先制点に繋がった武藤と菅の高さのミスマッチをより活かしていく狙いがより色濃くなった。このような策がハマったのか、神戸がボールを保持する時間が増えていく。しかし札幌も簡単には屈しない。35分にはまたしても駒井のスルーパスからPA右ポケットに抜け出した金子のクロスに荒野がシュート。これは大崎のシュートブロックに阻まれるも、神戸ゴールを脅かすあとは決めるだけのチャンスを作っていく。しかしそこから試合が動くことはなく前半終了。ホーム神戸が1-0で前半を折り返した。

 後半はより札幌が攻勢に出る。序盤こそ前半に比べ神戸にボールの持たれる展開が増えたものの、後半中盤からは札幌の時間が徐々に増えていく。

 後半17分にトゥチッチに代わりドドが入るとその流れがより濃くなるように。後半23分にはそのドドが神戸のパスをカットしてカウンターに持ち込む。ドド→荒野→駒井と繋ぎ、3人目の動きでドドが抜け出しゴール正面でシュートを放つも、飯倉のビッグセーブに阻まれてしまう。さらにそのこぼれ球に反応した青木がシュートを放つもこれは枠を捉えられず。ゴール前のあとは決めるだけの決定機を2度も逃してしまいゴールは奪えなかった。

 後半25分に神戸はイニエスタを下げ佐々木を投入。しかし札幌の猛攻は止まらない。後半27分、左サイドの金子からのマイナス気味のクロスはDFに当たってこぼれてしまったものの、反応したドドがキープし田中に落とす。そのボールに反応した田中が左足でシュートも放つもこれもセーブされゴールとはならなかった。

 神戸は後半33分に足を捻った武藤に代わりCBの小林を投入。これにより神戸は5-4-1にシフト。それに対し札幌は後半37分に荒野に代わってジェイを投入しパワーで対抗する。しかし札幌は神戸の5バックに苦しみ思うように相手を崩せない。その後後半41分に神戸は初瀬に代えて山川、札幌は駒井に代えて柳を投入するも、ここから試合は動くことなくゲームセット。札幌が終始ペースを握り続けるも、決定機を活かしきれずワンチャンスを決め切った神戸に後塵をきす結果となった。

今の札幌に足りないもの

 この試合というより、ここ最近のこれまでの試合を見て殆どのコンサポが感じていることだろう。

決定力不足
 多くの試合でボールを握り、相手を押し込み、シュートを打ち続けるもゴールは奪えず。挙げ句の果てに相手にはワンチャンスをものにされ負けてしまう。今の札幌の典型的な負けパターンだ。アンデルソンロペス移籍後、昨年に鈴木武蔵が移籍した時と同じようにチームは決定力不足に悩まされている。事実、数字として見てもロペス移籍後はゴール数、シュート成功率ともに大きく低下していることが分かる。

ロペス在籍時                   ロペス移籍後(不在時含む)
・シュート数   15.3    ・シュート数   14.6   
・ゴール数      1.5    ・ゴール数      0.9
・シュート成功率 10.3    ・シュート成功率  5.7
        引用元:Football.Lab (21/9/19)

 守備は構造上の問題も大きいため一旦置いておくが、この決定力不足は攻撃的サッカーの根幹に当たる問題であるためなんとしても解消しなければならない。そのためには、決定力の確保、そしてより確実な決定機を作り出す必要がある。そのためには小柏やジェイのような出場数の多いFWからドドや大嘉、トゥチッチまでFW全体、いやチーム全体での奮起と戦術的なアップデートが求められる。

 残された9試合でこの問題点を札幌がどう解消し、乗り越えていくのか。これが札幌の今シーズン最後の課題である。また同じような形で試合に負けるかもしれないが、それでもサポーターみんなでチームを応援し、チームがこの壁を乗り越えるための最後の一押しをなろうではないか。札幌がこの危機を乗り越えてさらに先のステージに進むまでの道のりを見届けにいこう。

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