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【山陽バスむかしさんぽ】(13)西岡橋と西舞子団地

垂水の街並みと明石海峡大橋の主塔をバックに、明舞団地への坂道を駆け上がるのは朝霧駅前と学園都市駅前を結ぶ50系統の山陽バス。

明舞団地へ坂道を上る50系統の山陽バス

大規模団地「明舞団地」は神戸市と明石市の市境の丘陵地帯に広がっています。この団地へのバス路線が開設されたのは1965年1月のことでした。当時の路線は舞子公園駅山側にあった山陽舞子駅前と「西舞子団地」という停留所を結ぶ路線で、山陽電鉄バスと神戸市バスの共同運行でした。

西岡橋に停まる52系統の神戸市バス

山陽舞子駅前から西舞子団地への路線はほぼ舞子線の路線と同じ経路でしたが、西岡橋の手前で舞子線と分かれていました。現在、52系統は南多聞台口交差点で舞子本線から分かれていますが、当時はこの交差点と西へ分かれる道路はなく、路線は交差点の南側から分かれていました。

南多聞台口交差点を行く52系統の山陽バス

当時のバス道を訪ねてみると、回転寿司店や焼き肉店、病院などに囲まれた狭い道路が山田川に架かる西岡橋へと続いていました。西舞子団地線の西岡橋停留所はこの辺りにあったようですが、もちろん痕跡はありません。

西岡橋の旧道
西岡橋の旧道
西岡橋の旧道
西岡橋の旧道

西岡橋を渡ったバスは現在の路線と同じ経路で坂道を駆け上がり、西舞子団地へ到着しました。西舞子団地停留所の現在の停名は南多聞台2丁目です。

西岡橋
明舞団地への坂道
明舞団地への坂道
明舞団地への坂道

現在の南多聞台2丁目停留所は路上の停留所ですが、当時の西舞子団地は神明道路(現在の第二神明道路)沿いに回転地を設けて、回転地内に停留所を設けていたようです。停留所や回転地のあった場所は現在、駐車場やコンビニになっていました。

南多聞台2丁目停留所と回転地跡
南多聞台2丁目停留所と回転地跡

西舞子団地への路線は朝夕のみのわずかな本数が運行される路線でしたが、明舞団地の開発に伴い、南多聞台7丁目、そして、朝霧駅前へと延伸され、現在の52系統となります。

廃線跡調査が一つのジャンルとして成立している鉄道趣味に対して、バス路線は休廃止されればそこはただの道路になってしまいます。そのせいか、「廃バス跡」の調査はバス趣味の世界でもかなりマイナーな分野なのが現状です。しかし、「廃バス跡」の調査からは忘れられ、失われてしまったちょっと昔の町の姿が見えてきます。この「山陽バスむかしさんぽ」シリーズでは、今の神戸や明石を歩きながら、かつて走っていた山陽バスと昔の町の面影を辿っていきたいと思います。

参考文献
山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道百年史』(2007年)
山陽電気鉄道株式会社『山陽電気鉄道六十五年史』(1972年)
神戸市交通局『神戸市交通局100年史』(2020年)
関西図書出版社『観光と産業の神戸市住宅地図 垂水区東部 昭和40年』(1965年)


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