完璧(かんぺき)を期(き)す
★棒ほど願って針ほど叶う
幼少時、親がよく、「棒ほど願(ねご)うて針ほど叶(かな)う」という諺(ことわざ)を唱えていました。
「棒ほど願って針ほど叶う」の方言バージョンです。
「棒ほど願って針ほど叶う」自体、あまり有名な諺ではありませんが、「大きな願い事をしても(棒を望んでも)、実際に実現する、かなうのは、ほんのわずかだよ(針ほどの少ししか実現しない)」、という意味です。
諺の真意は、逆よみをすればさらにはっきりとしてきます。
「棒ほど願って針ほど叶う」、言い換えれば、「棒」を願わない人は「針」もかなわない、大きな願望を抱かない人は小さな望みも達成できないという意味も、この諺は含んでいます。
有名な、「少年よ、大志を抱け」と同意だと考えることもできます。
★勉強の目標
難関大学をめざしている高校3年生と話をしているとき、センター試験の話になりました。「9割、とれそうか?」と聞くと、「9割をめざしているんですが、9割はとれないんじゃないかな。」という答え。
9割をめざしたら、上限で9割、それだとおそらく9割には届きません。
棒ほど願って針ほど叶う、10割、100%をめざして、初めて9割に届くのではないでしょうか。
普段の勉強でも同じです。
ある単元を勉強するのに、テストで80点とれたら上出来、だから習っていることの80%ほど理解できたらそれで充分と思っているうちは、80点は無理です。
80%=0.8、連続する2問だと、2問目が正解である確率は0.8×0.8=0.64で、64%、64点になってしまいます。
毎回学ぶごとに、常に100%。
気を抜かないで、疑問点を残さないように、最後まで考え抜いて、常に完璧をめざさないと、だめです。
「棒ほど願って針ほど叶う」、常に100点をめざした勉強をしていたって、なかなか100点はとれないかもしれません。
しかし、100点をめざさない人は、永遠に100点に近づくことさえできません。
勉強に、「まぐれあたり」は、ありません。
★人生
「棒ほど願って針ほど叶う」、棒を願ったって針ほどしか叶わないのが人生です。
その諦念の上に、それでも、棒を願って歩み続けるのが人生です。
俊英塾代表。「塾学(じゅくがく)」「学道(がくどう)」の追究がライフワーク。隔月刊誌『塾ジャーナル』に「永遠に未完の塾学」を執筆中。関西私塾教育連盟理事長。