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夕暮れに「あかとんぼ」が流れる町

こどもだった。

小さな頭で選んでいた。

あのみちと
このみちを

川沿いの土手の
まじりあった
雑草のにおい。

ホームと呼ばれる場所に
居場所はなくても
選択肢は
いくつもあった。

がんこだと
人に疎まれるほうと
臆病だと
自分を疎むほうと。

いつも
風の吹いている場所。

楽しい夢だけを
選べないように

退屈な
それより
最悪な

身もだえするだけの
時間を
だれもが
与えられている。

気がつけば

幸せの等しさではなくて
不幸の等しさに癒される

そんな
人と自分の卑しさに
ほっと安心するとき

赤い夕日が
遠く向こう岸へ
ゆっくりと沈んでいく。

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