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[読書記録]私たちの世代は(瀬尾まいこ) / それとは関係なく大切なこと

めっちゃいいお話だな…、とずっと思いながら読みました。そしてそれが最後まで続いて行った感じでした。何度も胸がじーんとあたたかくなって、読後また優しい気持ちに満たされます。
現実にいそうな子供達、あれこれ悩んだり、なんとか道を切り拓けないかな、と頭のどこかで思っていたり、諦めていたり。今この瞬間もそうやってあちこち見えない何かに手を伸ばしたりしているのかな、と。

お話はどこでどう繋がるのか、最初はドキドキしていましたが、なるほどと繋がり、やっぱり本当に悪い人は出て来ず、「イヤな人」くらいの憎たらしい人達に囲まれたりはするけれど、光もあって、なんとかみんな生きています。
そして冴ちゃんと心晴ちゃん。誰も見過ごさずとりこぼさず、置いていかないそれぞれの世界のやさしさのやり取り、私もいつまでもこんな風に生きられたらなあ、と思います。


「(略)人から恵んでもらうしかなかった俺なのに、誰かを喜ばすことができるんだって、あの時初めて知った。自分を価値のない哀れな子どもだと思ってたのに、目の前が明るくなった気がしたんだ。」

「私たちの世代は」瀬尾まいこより

これは冴ちゃんのお友達の蒼葉くんの言葉ですが、こんな風に自分の置かれた環境から、自分で自分の価値を決めつけてしまっている、そして諦めてしまっている、本当は輝く星のような子が、世の中にはどのくらいいるんだろう。目を閉じて私が人生で関わった人のことなども思いながら、じっと動けないような気持ちになりました。


感染症があってもなくても、人との出会いがたくさんあっても、閉ざされていても、人が一人の人生のうちに関わるほどの出会いの数って、本当はどちらも同じようにとても貴重なもので、それほど数にも差はないのかもしれません。
それを大切にできるかどうか、掬い上げて生きていける強さや優しさがあるかどうかなのかもしれない、と思いました。

とてもよいお話でした。おすすめです。


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