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[読書記録]「今日はいい天気ですね。」(群ようこ)/続く日々

映画「かもめ食堂」やドラマ「パンとスープとネコ日和」が心から好きなのですが、それを思わせる群ようこさんの長編小説「れんげ荘シリーズ」もとても好きです。れんげ荘シリーズもドラマ化されていたようなのですが、全く気がつきませんでした。残念。どこかに動画がないか探してみます。

れんげ荘シリーズは、れんげ荘というボロアパートでセカンドライフを過ごす「キョウコ」さんのお話です。今回もとてものんびりと平和にキョウコさんの日常が綴られています。

お腹周りが気になりはじめたキョウコさんが、遠回りをしながら散歩したり、結婚式におよばれしたり、ただただ、日々は過ぎていきます。

いつもの道を帰ろうと足を踏み出したとたん、
「そうだ、腹回りだった」
と思い出して、逆方向に歩きはじめた。いつもの帰り道はほぼ直線だが、これから歩く予定の道は、アパートに戻るまでに三ブロックほど遠回りしなければならない。とにかく、「腹回り、腹回り」と唱えながら歩いて行った。

「今日はいい天気ですね。」群ようこより

のんびりと暮らすキョウコさんのところに、人からメールが送られてきて優しい気持ちになったり、突然訪ねて来る人に身構えたり。本当にキョウコさんの日々はただただ平和に見えます。

「れんげ荘」シリーズの1冊目、「れんげ荘」を読んだのはもう何年前かな、と考えても、もう思い出せないくらい前です。なにも変わらず過ごす人々にホッとするし、心の中や今の生活が分かる分、実際にうちの近所の人達よりももう身近に感じます。
こんな風にずっとのんびり平和に続く、私に寄り添ってくれる小説があるのってとても良いな、と思います。

キョウコさんの目線を通した、隣に暮らす「チユキさん」や「クマガイさん」。ずっとこんなほんのりあたたかで平和な日々が続けばいいな、と思います。

無職でも、生活費が10万円のキョウコさんのささやかなキョウコさんだけのしあわせがいつまでも続きますように。


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