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俺の飯のはなし

土曜日の午前11時50分。「ウーバーイーツです。」そう言いながらPCの前で仕事をしている夫の前にインスタントラーメンの入った器を置き、逃げた。
「うわぁ!ありがとう!美味しそう!」とピカピカの声が聞こえる。トイレのドアの前で立ち止まる。夫の顔は見れない。何も知らない夫があまりにも喜ぶのでとてつもない罪悪感を感じ、トイレのドアの前から夫の部屋の方を向き「本当はタベカケーツでした…」と白状した。
「タベカケーツ?食べかけってこと?」と聞かれ、わたしは黙った。なぜわたしは一瞬嘘をつくのだろう。そしてすぐに暴露するのだろう。わたしは正直に、自分用に二人前のインスタントラーメンを鍋にぶち込んだのだが結局一人前位しか食べ切れず、残りを作りたてのように見せかけて夫に配達した、と話した。
二人前食べれなかったのを「少食だから…」と言いたいが、実はラーメンを鍋にぶち込む前にチーズケーキを半ホール食べていた。それは店で買ってきたものではなく、昨日の夕方に「明日の朝は絶対にチーズケーキを食べたい」と言った私のために、夫が貴重な休日の睡眠時間を削り、早朝の薄暗い時間に起き、色々なものをまぜこぜして焼いたものだった。
それに対して「タベカケーツ」を配達してしまう自分の愚かさと凄まじい食い意地に反省しつつも、「タベカケーツ」と知っても「ありがとう!」とピカピカな笑顔で大喜びしている夫を見て「今度からラーメンは一人前にしよう」と思ったあと「この人と結婚してよかったな」とトイレのドアの前で思ったのだった。






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