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ショートショート『夢』

ルール:思いついた3ワードで短編小説を作ります。
今回の3ワード:仕事,遅刻,猫


「夢」

朝、目が覚めると自分は生まれながらの奴隷であるという気がした。

朝になると飯を食べなくてはならない。食パンを袋から出しトースターに入れて焼く、なんて単純で苦痛な作業なんだ。

飯を食ったら奴隷として仕事に行かなくてはならない、高速で動く四角い箱のような乗り物で他の奴隷と移動し何時間も何時間も労働する。そうすると報酬が貰える、そしてその報酬を使って食料品で働く奴隷から飯を買うのだ。

家に帰ると奴隷の私が飼っているかわいい猫がお腹をすかせているので、奴隷から購入した奴隷が作ったキャットフードを与える。

聞いた話では奴隷はなぜ生きているのか分からないまま一生を終える奴らが大半だそうだ。俺もそうなのだろうか…。目の前でただ無心に飯を食う猫を見ているとなんだか急に虚しくなった。

何もかも虚しくなったのだ。

俺は遂に死ぬことにした、首を釣るためにロープで作った輪に頭を入れて、立っていた椅子を蹴飛ばした。
「うっ…‼」

っと言ったところで私はハッと目が覚めた。
「夢だったのか!」
時計を見るともう朝の8時を回っている。ダメだ、もう遅刻だ。

俺はスーツに着替え、急いで猫に餌を与え、次の急行に乗るために食パンを加えたまま外に飛び出た。


3ワードで作るショートショート

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