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CEO&POが振り返る、トレタO/X(パブリック版)のリリースまでの道のり

こんにちは。CEO室のHMです。

数年にわたりトレタO/X(専用版)の実証実験を続けていましたが、汎用性の高いトレタO/X(パブリック版)として、2023年5月8日についにリリースしました! リリースに先立ちトレタの社内ラジオで、CEO中村さんとトレタO/Xのプロダクトオーナー高武さんがトレタO/Xの開発の軌跡を振り返り、これからのトレタO/Xの展望について、社内メンバーに向けてメッセージを発信しました。今回はメッセージの一部をご紹介します。
※読み:トレタオーエックス

トレタO/X(パブリック版)については、こちらもご覧くださいね。

<プロフィール>

中村仁さんのnote https://note.com/hitoshi
高武俊平さんのnote https://note.com/bobbobbob/

長い時間をかけて磨き込んだトレタO/X(パブリック版)

高武:5月8日にようやくトレタO/X(パブリック版)をリリースすることができました。2021年7月にトレタO/X(専用版)の実証実験を発表してから2年近く経ちました。

中村:最初に目指していたリリース日は2022年夏頃でしたよね。

高武:飲食店の方々やトレタのセールス担当に対しては、そば屋の出前状態になっていたと思います。トレタO/X(パブリック版)をもうすぐ出せますと言い続けて、もうこれ以上、お待たせできませんというタイミングでようやくリリースです。お待たせしてしまった分、しっかりと機能の作り込みができ、実証実験で積み上げてきた知見を生かして磨き込み、完成度の高い状態でリリースできたと思っています。

中村:最小限の機能の荒削りな状態でリリースして、顧客の要望を吸い上げながら磨き込んでいくというやり方もあったけれど、トレタO/X(パブリック版)の場合は、先行していたトレタO/X(専用版)の実証実験で磨き込みができたということですね。トレタO/X(パブリック版)はリリースの段階からある程度機能を充実させる方針で開発を進めたことで、先行する競合サービスとも横並びで比較してもらえるレベルまで作り込めたのではないでしょうか。

ただ、その分開発期間が長かった! リリースを迎えるまでは、永遠とも思えるような時間の長さを感じました。常にリリースできないのではという不安がつきまとっていて、ほんの数ヶ月前も不安に駆られて、CTOのハオカンさんに「本当にトレタO/X(パブリック版)って出せるの?」と念押しをしてしまいました。

高武:僕も同じ不安がありました。リリースする日は来ないのではと、先が見えなくなった日もあります。

高武さんにとってプロダクトオーナー初挑戦だったトレタO/X

中村:今日はトレタO/X(パブリック版)がリリースするまでの軌跡について振り返っていきましょう。プロダクトオーナー(以下、PO)の高武さんがどうやってPOになって、どんな風にトレタO/Xに関わってきたかを聞くことで、メンバーの刺激になるはずです。トレタはこれからも新しいサービスを立ち上げていくので、もっと多くのPOが必要となるし、POを目指すメンバーがどんどん続いてほしいと思っています。

ところで、入社時の高武さんは別のプロダクトを担当していましたよね。

高武:2019年9月に入社した時はトレタnowの担当で、POではなくマーケティングをやっていました。

中村:高武さんが入社した頃、外国人のお客様が多い飲食店からの相談をきっかけに「メニューのデジタル化をやってみましょう」と、モバイルオーダーのR&Dを進めていました。そこで料理のこだわりや食べ方、飲食店の世界観をどうやってデジタルで伝えていくかに取り組んだのがトレタO/Xの原点。当時は別のメンバーがPOをやり、スマホではなくテーブルに設置するタブレットで開発を進めていました。しかし、さまざまな理由が重なって、なかなかうまく行きませんでした。その後、POが退職したこともあって、モバイルオーダー構想は白紙に戻して、スマホをベースに開発する方向で再検討しようという状態でした。

程なくしてコロナ禍に突入し、世界が一変し、飲食店のあり方もガラリと変わってしまいました。非接触が求められ「おもてなし」という名の対面接客にこだわっていた飲食店の常識が通用しなくなるのを目の当たりにし、非接触ニーズはモバイルオーダー普及の追い風になるのではと思ったのです。自分が経営に関わる飲食店(豚組)の生き残りを模索する中で辿り着いた結論も「お店の収益構造を大きく変えることができるのはモバイルオーダーしかない」ということでした。ところが、周りを見渡しても、豚組で使いたいと思えるようなモバイルオーダーがひとつもなかったんですね。そこで、僕が豚組で使いたいと思うような、飲食店経営者が考える理想のモバイルオーダーを作ろうと。このプロジェクトはこうして再始動したのでしたね。それで、高武さんにPOとしてプロジェクトに入ってもらうことになったんでしたね。

高武:その段階では僕はPOではありませんでした。ひとし(中村)さんがPOでしたよ。

中村:あ、そうでしたっけ。そういえば、確かにオンラインミーティングで「いったん僕がPOをやります。先に、皆さんにご迷惑をおかけすることをお詫びしておきます」とプロジェクトメンバーに挨拶したことを思い出しました(笑)。

では、高武さんがPOになったのはいつでしたっけ?

高武:2020年終盤だったと思います。トレタO/X(専用版)の実証実験が始まったばかりの頃、ひとしさんとの1on1で「僕にPOをやらせてください」とお願いしたのがきっかけです。

中村:そうでしたね。高武さんが手を挙げてくれてお任せすることになりました。それ以降、対外的には僕が責任者として前面に立っているものの、高武さんに実務をすべて任せる今の形になったわけですね。

プロダクトオーナーから見たトレタO/X(パブリック版)とは

中村:POをやらせてくださいと手を挙げてくれた時、高武さんはトレタO/Xをどんな風に見ていましたか?

高武:これまでのキャリアもそうでしたが、僕は事業の0→1、1→10などの新しい価値を作って、誰かの暮らしや働き方をより良いものに変えていくことにとても関心があります。ファーストキャリアが飲食法人であり、自分を育ててくれた飲食業界に何か恩返しができたらと考えてトレタに転職しました。トレタO/Xの構想を聞いた時に、漠然と飲食店のあり方が変わるサービスを作れるんだろうなと感じ、そこに関わるのは面白いだろうなと。それに、トレタとしての勝ち筋を感じたので、思い切って手を挙げました。

当時の開発の苦労を笑顔で振り返るトレタO/X プロダクトオーナー高武さん

中村:なるほど。これまでPOの経験はありましたか?

高武:POは初めてです。マーケティング担当だったり、プロジェクトのひとつの機能を担当することはありました。前職もビジネスサイド全般を担当していましたが、POではありませんでした。

中村:まだトレタO/Xの方向性が明確に定まっているとは言えない時期に、POに初挑戦したわけですね。実際にPOをやってみてどうでした?

高武:メンバーと議論を重ねたり、実証実験の飲食店ではスタッフとしてホール業務を体験させていただく中で、トレタO/Xにはこの機能があったらいいなとか、こうするべきだというのが少しづつ見えてきて、自分のやるべきことが明確に定まってきた感じです。あれから3年経ちましたが、この3年間で大変な思いをすることもたくさんありました。でも、ようやくリリースできてほっとしています。

メニューをデジタルにしてしまうと、メニューのこだわりやストーリー、世界観を表現できないのではと心配される飲食店の方々もいらっしゃると思います。そういう飲食店にこそ、トレタO/Xがフィットすると自負しています。もちろん、まだまだ追加したい機能もたくさんありますから、アップデートを重ねて、さらに伸ばしていきたい。ようやくスタートに立って、これからまた長い戦いが始まるんだろうなと覚悟をしています。

中村:POとして、想定通りに進んだというのはどういうところですか?

高武:時間はかかりましたが、実証実験に協力してくださった飲食店の方々とじっくりと検証を重ねて、プロダクトを作り込むというサイクルをきちんと回せたことですね。こうした積み重ねが、トレタO/X(パブリック版)にしっかりと集約されていることが、想定通りと言えますね。とてもいい進み方ができてるんじゃないでしょうか。

中村:その通りですよね。では、想定外だったということはありますか?

高武:リリースまで想像以上の時間がかかったことですかね。今に至るまでにも大変なことがたくさんあり、何度も何度も燃え尽きそうになって、なんとか自分を奮い立たせてきました。特にハードだったのは障害の発生ですね。営業中の店舗での実証実験だったので、障害が起きてはいけないという緊張感がとても強く、休日も気が休まりませんでした。トレタにとっても予約台帳とは全く領域の違う新しいチャレンジでしたから、実際に現場でプロダクトが利用されて初めて顕在化する障害や不具合も多々あり、障害報告書を何枚書いたかわからないほどです。飲食店の方々にはご迷惑をおかけしてしまい本当に申し訳ない気持ちで一杯ですから、飲食店での業務の中枢を担うプロダクトであるという重責を受け止め、チーム一丸となってプロダクトの信頼性を高め続けていかなくてはと思っています。

中村:毎週のようにご迷惑をおかけしていた時期もありましたよね。こうした苦い経験のおかげで、知見がたまり、学びに繋がったと実感しています。これは、実証実験に協力してくださった飲食店の方々がトレタO/Xが実現しようとしている世界に理解を示してくださったおかげですよね。これまでのモバイルオーダーではありえなかった突き抜けたデザインをやらせてもらったり、モバイルオーダーを軸に新しい業態開発をやったり、全国展開していただいたりと、本当に協力いただいた飲食店の方々は僕たちを信じて、たくさんの挑戦の機会を与えてくださり感謝の気持ちしかありません。これからは、実証実験で得た知見や学びを飲食店の方々に還元せなばなりませんね。

CEO中村さんは、トレタO/X(パブリック版)の未来を熱く語りました

高武:一気に全国数十店にトレタO/X(専用版)を展開していただいた時は、不具合が多発してしまったこともありましたが、トレタO/X(パブリック版)のリリース前にいずれやってくるであろう不具合を先に経験ができたことも、とても良かったと思っています。どれだけ想定しても、飲食店の現場では想定していなかったことが必ず起こります。やってみなくてはわからないことを体験できたことは僕たちにとって大きな財産ですね。

トレタO/X(パブリック版)のこれから

中村:これまでの歩みを踏まえて、これからのビジョンを聞かせてください。

高武:自分自身のファーストキャリアが飲食店の店長ということもあって、飲食店の現場に対してとても親近感がありますし、もっとこうなったらいいという思いが強く、トレタO/Xを飲食店の働き方をより良い働き方に変えるプロダクトに育てていきたいという思いが根底にあります。

飲食店で使われている一般的なPOSシステムはスタッフが入力してデータが作られますが、トレタO/Xはスタッフの手を介さずとも来店したお客様の注文・会計行動データが飲食店経営にそのまま繋がっていくという様な世界を描いています。だからモバイルオーダーではなく新しいオペレーティングシステムだと思っています。トレタO/Xは単なるモバイルオーダーではなく、飲食店経営を支える基盤として育てていきたいと考えています。

もうひとつは、多種多様な飲食店でご利用いただけるプロダクトに育てていくこと。日本の飲食店は個性豊かで、多種多様な営業スタイルがあることがプロダクトを作る側の難しさであり、その難しさがやりがいでもあると思っています。エンジニアとは、その個性に対して柔軟に対応・拡張できる様な設計を常に考慮して仕様を検討しています。現在は居酒屋などフルサービス型の業態で多くお使いいただいていますが、多様な業態に対応できるプロダクトに拡大させたいですね。

画像や動画を駆使してメニューの美味しさを伝えるトレタO/X

中村:トレタO/Xが飲食店の現場に与える変化率が高いからこそ、僕たちは商談時の提案の組み立て方、オンボーディングの仕方など、他のプロダクトと同じではいけないんです。今後は開発と並行しながら、トレタO/X(パブリック版)の提案の方法や、オンボーディング、カスタマーサクセスにも注力していきたいと考えています。

高武:足元で結果を出しつつ、将来に向けた開発を継続できるようにしていきたいです。トレタO/X(パブリック版)を正式にリリースしたこれからが、本当の正念場です。

中村:そうですね。正念場がスタートしますね。それにしても、いいプロダクトができたと思っています。トレタO/Xに共感してくださる方への刺さり方はすごいよね。商談でも飲食法人のトップが同席してくれて、トレタO/Xを導入して何を実現したいのか熱を持って語っていただくケースが少なくありません。高い熱量をもった方に選ばれるプロダクトになってきているんだなと感じる瞬間です。ある経営者は、効率化よりも自分たちのこだわりやストーリーを来店するお客様に伝えるにはどうしたらいいのかいつも考えていると力説されていました。熱い志をもつ方たちと「いいお店を作りましょう!」とガッチリと握手したいですよね。

高武:プロジェクトメンバー全員で、コツコツがんばってやってきた甲斐があります。おかげさまで、続々とパブリック版を発注いただいています。これからもっと花を咲かせていきたいです。


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