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入れ歯歴、約2ヶ月。思いがけない出来事。

5月の2週目に思いがけないことが起こった。

離れた街で暮らす妹が自転車の転倒で鎖骨骨折。
命には関わらずラッキーだったが、
すぐに日常生活に戻れない。

妹は1人で92歳の母の介護をしてくれている。
健気な妹だ。
急きょ私が代わりに半ば認知症の母の介護を
することになった。

このとき私の頭のなかは冷静だった。
慌てても仕方がない。
なるようになるだろう。
きっと大丈夫。

全ての出来事に意味がある。

妹と母の街まで船と電車で4時間ほどかかる。

あちらへ向かう電車の中で
運悪く私の大事な入れ歯がまた壊れてしまった。
おにぎりを食べているとき入れ歯の
一番細い部分にヒビが入ったのだ。
まったく!泣き面に蜂だな。

入れ歯はなんとか繋がっているので、
これ以上壊さないようにしないと。
ちょっと落ち込む。

入れ歯が使えないなら、噛まずに
飲み込めばいい。固いものは避けよう。

自分の歯科治療はやむを得ずしばらく中断。

怪我をした妹は転倒から2日後に入院、手術となり
代わりに半ば認知症の老母の世話を任された。

完全に呆けていないということは
自分の意思があるということでもある。
一旦ヘソを曲げるということを
聞いてくれないので苦労する。

公的介護サービスは使っていない。
母はそれほどに認知も進んでいないし、
聞こえにくく目もよく見えないが
まあまあ自分で体を動かせる。
オムツはしていても自分の力で立って
トイレに行ける。これはすごいことだ。
日中動くときは危なくないか、それとなく
見守るだけでいい。

朝ごはん、昼ごはん、晩ごはんを作って
母に食べてもらう。
とてもとても時間がかかる。
特に食べ終わるころ。
まだ食べるのか?もうやめるのか?
彼女は判断がつかない。
じっと座っているだけになる。
適当なタイミングで訊ねて
ごはんを終わらせる必要がある。
そうしないと、もぐもぐしながら
座った姿勢のまま寝てしまうことも。

お風呂もけっこう手間がかかる。
まず、浴槽への出入りもたいへん。
滑ると危ないので気をつける。
温度は普通のは熱い熱いというので
かなり水を足しぬるくして一緒に入る。
しばらくしたら寒いと言い出すから
今度はお風呂の水温を上げる。
皮膚をこすると後でかゆくなって困るから
ほとんどこすらない。
時間がかかっても、できるだけ自分で
脱いだり着たりしてもらう。
脱水症状になると大変、入浴の前後に
水分補給も忘れずに。

彼女をお風呂で温まっている間
目を離さずに、こちらもささっと
お風呂に入る。
とにかく時間がかかるから、早い時間に
お風呂を沸かして入浴することにする。

妹は普段から、母が自分でできることは
自分でしてもらう主義でやっている。
やや冷たいようだが、そうしないと
次第に母は何もできなくなるから。

私が構いすぎると母の機嫌が悪くなる。
母はいまだに何もかも自分でできるつもりだ。
実際にはそうでなくても
決して認めたくないのだろう。

これは老老介護だな。私も体が思うように
動かないし、入れ歯が壊れて食べられない。
笑ってしまう現実だけど。いずれは誰もが
たどる老いの道である。

ただ、久しぶりに私と一緒にいると
母は嬉しいようだった。
おかげさまで親孝行をさせてもらえる。
こんな機会は滅多にないかもしれない。

一日が終わるとヘトヘトになる。
しかし夜はたびたび起き出して
トイレに行くので目を離せない。

実の娘2人に介護してもらえる母の幸せ。
自分には子どもも孫もいない。
自らは老い先をよく考えておかないと
いけない。

突然のことで、自分も気持ちの準備が
追いつかないが、母も妹も自分も
きっとなんとかなるという気持ちで
乗り越えていこう。

妹は鎖骨をチタンで繋ぐ手術を済ませて
数日して退院した。
当分の間、完全とは言えないが
その後のリハビリも順調に進んだ。

妹が日に日に元気になっていくのを
見届けて、2週間後ようやく自宅へ
帰ってきた。

役目を果たし、自分の都合を優先できる
幸せを感じている。
家族は助け合わないと。

これから自分の入れ歯の補修と歯周病治療を
思いっきり楽しみたい!

怪我をした妹を助けていただいた救急車や
医療関係の皆さま、
ほんとうにありがとうございます。

ふだん何事もなく日々を過ごす大切さを
しみじみ感じさせる出来事。
ありがたい経験でした。

これからはしばしば妹と母のもとへ向かうことに
なりそうだ。

四国から関西へ。

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