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スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン ~人々を惹きつける18の法則~

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はじめに
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こんにちは。伊藤 航です。
いつも本の紹介をご覧いただき、誠にありがとうございます。

本日はジョブズ本の火付け役カーマイン・ガロ氏の『スティーブ・ジョブズ 驚異のプレゼン ~人々を惹きつける18の法則~』をご紹介いたします。

本当に売り込むものは何だろう?

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スターバックスのCEO、ハワード・シュルツはコーヒーを売っているのではない。彼が売っているのは、職場でもなく家庭でもない「第3の場所」だ。同じように、ジョブズはコンピューターを売っているのではない。彼が売っているのは、人の可能性を束縛から解き放つツールなのだ。本書を読みながら、「私が売ろうとしているのは、本当は何なのだろうか」と自問してほしい。ウィジェットを見せただけでは、それがどうしたと言われるのがオチである。そのウィジェットで暮らしがどうよくなるかを伝えられれば、説得は成功する。同時に聞き手を大いに楽しませることができれば、伝道者を得ることができる。このことを忘れてはならない。

製品がどれほど優れていても、そのブランドを世界に広める伝道者がいなければ、その力が弱ければ何の役にも立たない。あなたが人々を説得できなければ、製品の成功はありえない。

聴衆の反応には、気にもかけない、理解できない、興味を持つ—―の3種類がある。おもしろくないものに注意を払う人はいない。聞き手の想像力を刺激する形で提示できなかったという理由でアイデアを殺すのはもったいない。ジョブズのテクニックを活用し、話を聞いてほしいと思う人たちの心をしっかりとつかもう。

では、ジョブズの言葉で本書の幕を開けよう。
「じゃあ、そろそろ始めようか」。

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ジョブズが売るのはコンピューターではなく
体験である

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悪玉を明らかにし、正義の味方を登場させた後、被害者であるユーザーが悪玉から逃れる方法をはっきり示すというのが、アップルのやり方だ。ポイントは解決策がシンプルであること、そして、それをジャーゴンを使わず簡単な言葉で説明すること。アップルのサイトにある「Macを好きになる理由」を見てみよう。

ここではメリットを具体的に挙げ、難しい技術的な言葉をなるべく使わないようにしてある。だから、マックブック・プロには2.4ギガヘルツ動作のインテル・コア2デュオのほか、1066メガヘルツ動作のDDR3 SDRAMが2ギガバイト、250ギガバイト、5400回転のシリアルATAハードディスクが搭載されているなどと書かず、ユーザーにとってのメリットがリストアップされている。

「見た目も中身も、魅力いっぱい」「安心のセキュリティ。最高のパワー。抜群の互換性」「世界で最も先進的なオペレーティングシステムを搭載。ソフトウェアも充実」「買うのも持つのもうれしい1台」という具合だ。

ターゲットとするユーザーが買っているのは、2.4ギガヘルツのマルチコアプロセッサーではないのだ。彼らが買っているのは、そのプロセッサーが実現してくれる体験なのだ。ほかの人々とジョブズが大きく異なっているのは、プレゼンテーションでデータや統計、ジャーゴンなど人を気後れさせるようなものをほとんど使わないことだ。

マックワールド2006でジョブズは、プレゼンテーションの最後にお約束の「最後にもうひとつ」を取り上げた。そのときはインテルのコア2マイクロプロセッサーを搭載した新型マックブック・プロだった。このときも、2、3分で問題をはっきりさせ、正義の味方が与えてくれる具体的なメリットをわかりやすい言葉ですっきりと説明した。

今日は新しいノートパソコンを紹介する。マックブック・プロだ。新型iMacと同じように、こいつの中にもインテルのコアデュオチップが入っている。つまり、マックブック・プロ1台にプロセッサーが2個入っているんだ。どうなるかって?スピードはパワーブックG4の4倍から5倍。ヒューンって感じだ・・・・・・マックブック・プロは史上最速のマックノートなんだ。
薄さも史上最高だ、新しい機能もいろいろと用意されている。15.4インチのワイドスクリーンはシネマディスプレイ並みに明るい。豪華だよ?iSightカメラも組み込んである。箱から取り出してそのまま外に持ってでれば、どこからでもテレビ会議ができるわけだ。すごいだろう?外からテレビ会議だ。

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プレゼンテーションでは10分ルールを活用する

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10分たつと聴衆は話を聞かなくなる。11分ではなく必ず10分で。
これは、認知機能の研究で明らかとなった重要情報である。簡単にいえば、脳があきるのだ。分子生物学のジョン・メディナは、こう表現する。
「脳というのは一定のタイミングをかたくなに守るようです。その背景には文化と遺伝子、両方の影響があるはずだと思います」

スティーブ・ジョブズは脳にあきる暇を与えない。30分のプレゼンテーションにはデモもあるし、第2のスピーカーが登場したり、場合によっては第3のスピーカーまで登場する。ビデオクリップも登場する。疲れて刺激を欲しがる脳には自分の説得力も歯が立たないとよくわかっているのだ。

マックワールド2007では、プレゼンテーション開始からきっかり10分、1秒の遅れもなくジョブズはiTunesとiPodの新しいテレビコマーシャルを紹介した(明るい色を背景に、踊っている人々がシルエットで浮かび上がるもの。みんなiPodを持っており、真っ白なイヤフォンが印象的である)。

コマーシャルが終わると、ジョブズは「いいよねぇ」と、また語りはじめた。これは幕間だ。第1幕(音楽)と第2幕(アップルTVの発表。iTunesコンテンツをワイドスクリーンテレビで再生できるようにする製品)とを区切る休憩時間である。

10分ルールを守り、聞き手の脳を休ませるのだ。では、我々も先へ進もうか。第2幕、「体験を提供する」へ。

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おわりに
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今回ご紹介した本書の要点をまとめると以下のようになります。

❶ 本当に売り込むものは何だろう?
⇒そのウィジェットで暮らしがどうよくなるのかを伝えられれば、説得は成功する。
❷ ジョブズが売るのはコンピューターではなく、体験である。
⇒解決策がシンプルであること、ジャーゴンを使わず簡単な言葉で説明すること。
❸ プレゼンテーションでは10分ルールを活用する。
⇒10分たつと聴衆は話を聞かなくなる。11分ではなく必ず10分で。

最後までお読みいただき、誠にありがとうございます。

※上記文章は日経BP社刊・著:カーマイン・ガロ『スティーブ・ジョブズ  驚異のプレゼン』より一部抜粋しています。



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