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4月1日 スマートフォンゲームもそろそろ終わり。

【月間総括】DeNA巨額損失から見るモバイル業界の先行き
 世の中、なんとかウイルスの影響で巣ごもり消費拡大、というわけでゲーム市場がとんでもなくブーストかかっている状況ですが、同じく“デジタルゲーム”であるスマートフォンゲームはまったくブーストかからず。「巣ごもり消費の影響なし」という判断が下されている。

新型コロナウイルス流行期間中のゲーム売上はどうなっていたのか

 前日に公開されたGamedindustryの記事では、多くのゲームがなんとかウイルスの影響で売り上げにブーストがかかっていると発表されている。もちろん日本のみならず、世界規模の現象だ。
 記事中の数字を引用すると、イギリスではパッケージゲーム売り上げが前週比218.2%増。どうぶつの森とDoomの2作がない時期でも83%増。
 オーストラリアでは278.5%増。どうぶつの森とDoomの2作のない時期で86.7%増。
(……待て、どうぶつの森とDoomの2作で200%分も持ってるぞ。なんだこの2作は)
 その他のどの国でも同じような現象が起きている。パッケージ、ダウンロード、もちろんゲーム機本体も売り上げ急増。

 そんな状況にあるのに関わらずだ。スマートフォンゲームだけは静か。
 記事によると、コンシューマゲームは購入してダウンロードしないとゲームが始まらないが、スマートフォンゲームの多くは購入しなくてもゲームを始められる。現状であっても課金への行動は変わらない。だからスマートフォンゲーム市場は特に動きがないんだという。

 記事はスマートフォンゲームの衰退について語られていく。
 うーん……。
 もともとはスマートフォンゲームは非ゲーマー向けの文化だった。もうだいぶ前の話になるけど、ファミ通の調査ではスマートフォンゲームのユーザーとコンシューマゲームのユーザーは綺麗に分離されていた。あの当時では、別に「ソーシャルゲームがコンシューマのユーザーを喰った」……という現象は存在していなかった。
 当時、ファミ通に掲載されていた画像をうろ覚えで再現すると、下のような感じだった。緑に塗られている部分が共有部分。共有部分がほんの数パーセントってところ。これくらいに分断されていた。

2020年5月1日ブログ説明用

 でもメディアは盛んに「これからはソシャゲの時代だ!」「みんなソシャゲに移った! コンシューマやっている奴なんて古い!」「ソシャゲをやらないゲームメーカーは終わる!!」「任天堂はソシャゲやらないのか。終わったな」とスマートフォンゲームブームを煽り立てていった。
 メーカー側も次第にスマートフォンゲームに力を入れ始め、本格的なゲームを、非ゲーマーではなく、ガチゲーマーが振り向くようなゲームを出そうと奮闘した。
 それが間違いの始まりだ。そうするとキャラクター1体作るのにも大きなコストがかかる。ガチなゲーマーの目を納得させるクオリティのものを出そうとすると、そうなる。設定・調整・バグ取りも丁寧に作り込まなくてはならない。でもビジネスの形態そのもの、ガチャの形そのものは変えなかった……いや、変えられなかった。確実に課金してもらわなくてはならないから、スマートフォンゲームのキャラクターはこれみよがしに肌を露出し、性的なイメージを強調させ、セクシャルなキャラクターばかりがそこから生まれ出ていくことになる。
 次第に次第にスマートフォンゲームの市場はいびつに折れ曲がっていくことになる。私には折れ曲がっていっているように見えていた。
 結果的にガチゲーマーもスマートフォンゲームを遊ぶようになったけれども、コストが増大し、盛り上げようとすればするほどに儲からない構造が出来上がっていく。

 あの時、煽り続けていたマスコミは当時のことはなにも語らず。まあ、マスコミというのは煽るだけ煽って、後始末しない……っていう連中ですから。もういっそ、マスコミに振り回される方が悪い、といったほうがいい。マスコミが「バスに乗り遅れるな!」と煽るものってたいていロクでもないものと決まっている。戦争の時代から現代までそれは代わってない。だからもはや騙される方が悪い。

ラストイデア d33708-36-932657-0

 先日、3月31日にスクウェア・エニックスが展開していた『ラストイデア』というゲームがサービス終了になった。1年1か月の短命のゲームとなった。「ガチャ要素なし」を広告に掲げていた作品だった。
 まあ私は一切遊んでいないからどんなゲームか内容まったく知らないんだけど。イメージイラストは色んなサイトで見かけたは見かけた。広告に力入れているのは見ていてわかる。でも短命のゲームだった。
 こういうの、普通にコンシューマでやればよかったのにね。スマートフォンで展開したから迂遠になったように感じる。スマートフォンで展開したから、地味に忘れられていく存在になっていく。
 スマートフォンゲームで「本格派」を打ち出せば打ち出すほどに迂遠になっていく。そこまでやるんだったら、PS4かNintendo Switchでやったほうがいい。そうした方が、記録(パッケージなどのモノ)に残る作品になる。スマートフォンゲームはサービスが終わると、何も残らない。作り手にとっても、作品が実績として残らない。

 スマートフォンゲームを主力にしていたDeNAみたいなメーカーは転落する一方。コロプラは『ドラゴンクエストウォーク』のおかげで横這いを維持(任天堂の特許を横取りしようとして、痛い目を見たが)。サイゲームズはコンシューマに舵切をはじめていて、たぶんスマホゲームメーカー斜陽の状況から一抜けするだろう。
 もともとコンシューマが主戦場だったメーカーたちはとっくにスマートフォンから離れつつある。だいたい4年ほど前、Nintendo Switchの発売が契機になったように感じている。Nintendo Switch発売を切っ掛けにコンシューマー回帰が始まった、と私は思っている。
 今の状況でも、スマートフォンゲームで「本格!」「オリジナル!」を打ち出して作品を作ろうとしているところがあったら、その会社はもう「ダサい」と言うしかない。

 スマートフォンゲーム自体は残っていくのだろう。そこのみのユーザーがすでにいるわけだし。位置情報を利用したゲームなんかは、スマートフォンゲームならではだから、ああいうのはなくならない。スマートフォンゲーム自体がなくなるとは言わない。
 でも、もう「ソシャゲがコンシューマを喰う!」みたいなバブルは起きないだろう。地味に“傍流”として存続していくかな……という感じ。短いバブルだったよ。


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