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3月23日 気になるテクノロジー ChatGPTを組み込んだヒューマノイドロボットと、脳にチップを埋め込んでゲームを遊ぶ未来。

 今回は気になったテクノロジーを2本紹介。

 「ChatGPT」で知られるOpenAIのパートナー企業である、Figureが開発したヒューマノイドロボット。最初にゴーグル部分に「OpenAI」と表記が出ることからわかるように、ChatGPTの技術が応用されている。
 動画の内容を見ると、ロボットに話しかけると、ただ返事をするだけではなく、話しかけられた内容に応じて行動で返す……ということまでやっている。

なにか食べ物をくれ→リンゴを渡す。
今の行動の理由を説明しながら、ゴミを片付けろ→話しながらゴミをカゴに入れる。
テーブルの上をどうすればいいと思う→お皿とカップをラックに収納する。

 たいしたものです。

 今までも「ロボットに仕事をさせる」という挑戦はいろいろありました。最近、レストランで見かける配膳ネコロボットもその一つ。しかしああいったものは、基本的にはインプットさせるためには専門のエンジニアが指示しなければならないし、「その仕事」しかできない。配膳ネコロボットも料理の配膳しかできない。料理をやってくれるロボットアームなんかもあるけど、同じ料理しか作れない。
 しかしFigureが開発したロボットは、「これをやってくれ」と話しかければ、その通りやってくれる。それだけではなく、「今どうするべきだと思う?」という曖昧な問いかけにも自力で解釈して行動してくれる。
 これができるんだったら、工場労働の大半はこいつに任せられるな……。不思議と、世の中的には「ロボットにできることはロボットにやらせよう」ではなく、「ロボットにさせるべき単純労働を人間にさせよう」……という考え方でやっているけれども。本当にロボットにお任せしちゃうと、雇用問題が起きてしまうんだけど。

 ちょっと余談。
 工場の単純労働って、この先もしばらくなくならない……と私は思っている。ロボットに働かせたほうが、効率が良いとわかっていても。
 電気街灯が生まれた後も、イギリスではガス灯に明かりを入れる人の仕事を守るため、こういう人たちが引退するまで、電気街灯の導入はできなかった。政治的に考えるならば、「技術があるんだったらすぐに取り入れれば良い」ではなく、その技術によって失業する人を保証しなければならない。もしも政治がその問題を放置すると、大量失業者問題を抱え、そういう失業者の何割かは犯罪組織化する。
 こういう観点から見ても、ロボットに仕事を任せたほうが効率・コストパフォーマンスの面でも良い……とわかっても、入れ替えはなかなか難しい。電気街灯とガス灯は、その仕事をしている人が引退すれば入れ替えることができたが、「工場で働く人々」はあまりにも多いので、そう簡単になくすことができない。
 でもすでに起きていることとだけど、単純仕事より、少し上の仕事はAIによって効率化し、人員整理しようという動きは起きている。ちょっとした頭脳労働、情報収集、その情報を整理する仕事は、AIにお任せしたほうが手っ取り早いから、金のかかる人間は整理しちゃおう……。イラストもAIに任せたほうがコスパがいいから、イラストレーターへの発注はやめて、今後はAIにしよう……とやり始めているところもある。
 すると人間に残される仕事は、ロボットにやらせればいいような、単純労働だけになっていく……。もう少し未来になると、ロボットが頭脳労働を担当し、単純労働を人間にやらせる……というような変な転倒が起きるかも知れない。
 いや、それはもう起きているのかな?
 そういう時代が来たとき、果たして人間は自尊心を維持できるのだろうか?

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コンピュータと脳をつなぐインターフェイスを開発するイーロン・マスク氏のスタートアップ、ニューラリンク(Neuralink)が被験者1号となる患者のインタビューをライブ配信しました。ノーランド・アーボーと名乗る29歳の男性は四肢に麻痺があり、10年近く手足を動かすことができない生活を送ってきました。
そんなノーランドさんは1月、ニューラリンク社の脳インプラント施術を受け、今では脳からの指令を使ってチェスやゲーム『Civilization(シヴィライゼーション)』をプレイすることができるようになったのです。

 全身麻痺状態にある男性の脳にニューラルリンクのチップを埋め込み、チェスをやらせる……という内容。
 これ、覚えているかな? ずいぶん前に、お猿の脳にチップを埋め込み、ゲームをやらせる……という動画があった。

 2021年4月9日の動画。
 動画が始まって1分30秒ほどのところを見て欲しい。お猿はゲームをやっているつもりでジョイスティックを動かしているが、よく見るとコードが外れている。
 さらに動画も終わり頃になると、お猿はジョイスティックを触れなくても「考えるだけでも動かせる」ということに気づき、念じるだけでゲームをやっている。

 この動画を発表したのがニューラルリンク。お猿での実験段階を経て、とうとう人間の脳にもチップを埋め込み、ゲームをやらせる……ということに成功した、というのが今回のニュース。

 ただ、お猿での実験には「後日談」があって、この後、お猿は手術跡をかきむしって暴れはじめ、短命で生涯を終えた……というようなお話しがある。それが「脳に埋め込んだ異物」のせいなのかは、わからない(そこが肝心なところなのに、書いてなかったんだよなぁ)。
 そういう後日談があるので、この技術に対し批判も上がっている。脳にチップを埋め込むことへの障害がまだわかっていないうちに、やって良いものなのか? しかし半身不随で日常的にいろんな障害を抱え、ごく普通の人の娯楽を楽しむことすらできない人に、「仕方ないから諦めろ」とも言えない。手術することが人道的なのか、手術しないことが人道的なのか……。

 私個人としては、こういう技術は歓迎している。この技術がさらに進めば、脳に直接埋め込むまでもなく、「帽子」を被るだけでよくなるはずだ。現状では脳から外部にアウトプットさせるだけ……にとどまっているが、そのうちインプットも、つまり「学習」もさせることができる。学校教育も、教科書に載っていることをダラダラと追いかけるのではなく、「学習装置」で脳に直接ダーッとインプットさせる……ということもできる、かも?
 ただ、そうやってインプットさせても、知識を上手く使いこなせるかどうかは、その人次第。私たちだって、学校でいろいろ学んだけど、その学んだことを100%も活かせているか? せいぜい2%くらいでしょ。脳にため込んだ知識をうまく使いこなせるかどうかも、才能次第。その才能をアップデートさせることはできない。
 それ以前に、教科書の内容も正しいかどうか、の問題も出てくる。日本の教科書って、左翼的なバイアス大きいから……。最悪の場合、ただの「洗脳装置」になってしまう場合もあり得る。変な思想を押しつけ放題。悪用すると、かなり恐ろしいことになる。

 さて、将来、「脳」でゲームをやるようになって、「操作ミス」がなくなるのか……というと、なくならないでしょう。ゲームはその瞬間における判断力が必要なわけだが、そこをミスするような人が、操作デバイスをコントローラーから脳に変えたところで、このミス自体なくなるわけではない。
 ついでに、「反応速度」もそうたいして変わらないでしょう。「脳で勝負したら、eスポーツ選手に勝てるか?」……勝てるわけないです。そもそも反応速度が圧倒的に違うわけですから。
 脳でゲームを操作することの優位性は、コントローラーを持つ必要がないことだけ。肩が楽になるってことだけでしょう。まあ、ゲームの限界って、コントローラーにある程度制約を受けているから、この制約からは解放されるでしょう。


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