6月11日 とらつぐみが『虎鶫』を読んだら
どーもどーも。とらつぐみです。とらつぐみなので、性別年齢不明で、人間かどうかもよくわからない存在です。
どうやら私と同じ名前を持った漫画が発表されたようなので、これは私が読まないといけないような気がしたので、買いました。
えーっと、読んだ感想は……。
自分の名前があっちこっちに出てくるので、変な感じになります。オレって、国家機密だったのか……。いや、オレじゃないのか。
絵にすごい力がある作品です。スクリーントーンをほとんど使わず、ペンで丹念に陰影を作り出す手法で絵を作っています。こういった手法は、めちゃくちゃに時間と体力を消耗します。これを全編やってのけています。技術、体力、根気ともにいろんなものを消費しまくって描かれた作品です。
一応デジタル作画なので、デジタル作画ならではのツールも使われていますが、ほとんどそれに頼らず、人力で絵を作っています。ここまでよくやるよね……というくらい大変な作業です。
見開きや大ゴマが多いのが特徴です。絵に自信があるからこその見せ方です。実際に、見開きの巨大な絵は、どれも世界観の見せ方が圧倒的です。シンプルに絵がうまくないと、こういう見せ方は成立しません。
今回、電子版で買ったのですが、見開き絵が完全に「一枚絵」に見えるので、電子版で買ったのは正解でした。
面白いのはこちらの見開きページ。第1巻35ページのシーン。
まず、「オレは……こんなところで死ぬわけにはいかないんだ」と「オレは……」の吹き出しがコマの外にあり、尻尾で次のコマへと繋げて、そちらへ視線が移るように促しています。
そこから回想シーンに入ります(コマの外が現実の風景で、コマの中が男の内面という描き方ですね)。「私はね、小さな島を買ってそこで暮らすのが夢なの」という台詞が入ってきます。ここで台詞が横書きに変わります。縦書きから横書きに読み方が変わっているんですよね。
でも、読んでいて混乱は起きません。台詞を順番に読んでいけば、自然にそこに配置されているコマ通りに物語が読めるように仕掛けが作られています。
最後に「オレが一体何をしたというのだ」で台詞が縦書きに戻ります。ここで回想シーンが終わって、現実のシーンに戻っています。
読み方を変えさせて、回想シーンから現実に戻ってくるまでの流れを作っています。流れがスムーズだし、見せ方もユニークで面白いです。
ただ、この見せ方は紙の書籍だと、もしかすると読みづらいかも知れません。紙の書籍だと、中央の境界線で読み手の意識は一瞬途切れますから、この見せ方は電子ならではの見せ方かもしれません。
あとは……つぐみちゃんを可愛く描いてくれたのが嬉しかったです。
いや、オレじゃないんだけどさ。でもつぐみちゃんが可愛いのが嬉しかったです。
アイコン、このキャラにしようかな……。
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