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スピッツ「猫になりたい」 消えないようにキズつけてあげるよ

シングル「青い車」のカップリング曲として、1994年7月20日に発売された「猫になりたい」。収録アルバムは、青い車とは異なり、スペシャルアルバム「花鳥風月」(1999年3月25日)となっている。

青い車には「死」をイメージさせるような表現がありましたね。
カップリング曲の「猫になりたい」にもそう思わせる部分があります。というよりも全編で、誰かの死を感じさせる内容になっています。

話は飛びますが、あいみょん作詞作曲の「猫」は、恋人を亡くした男性が「猫になって戻ってきてほしい」という気持ちを歌った曲ですよね。あいみょんが、ロックバンド「DISH//」に提供した歌ですよね。(北村匠海さん、それにしても歌が上手ですねえ)

猫って、亡くなった人の代わりをイメージさせるような何かがあるのかしら?

スピッツの「猫になりたい」の歌詞を見ていきます。

「灯りを消したまま 話を続けたら
ガラスの向こう側で星が一つ消えた」

誰が暗い中で話を続けたんだろう。「外で、星が一つ消えた」とあるのは、誰かが死んだってこと?

「からまわりしながら 通りを駆け抜けて
砕けるそのときは君の名前だけ呼ぶよ」

【君】という表現が出てきました。ということは、【君】とは違う【ある存在(僕と仮定します)】がこの歌詞の主体となるのでしょうか。
では、亡くなったのは誰?
死んじゃったのは、【僕】っぽいな。そう仮定して解釈を進めていきます。

「広すぎる霊園のそばの このアパートは薄ぐもり
暖かい幻を見てた」

アパートが薄ぐもりってどういうことだろう。【僕】が亡くなってしまい、その家主である【君】が悲しんでいて、どんよりしているってことかしら?

サビ

「猫になりたい 君の腕の中
寂しい夜が終わるまで ここにいたいよ
猫になりたい 言葉ははかない
消えないように キズつけてあげるよ」

亡くなってしまった【僕】は、悲しむ【君】のために、「猫になりたい」って言ってるのかな。
「言葉は儚い」「言葉は吐かない」
どっちの意味だろう?両方の意味をかけているのかもね。
猫らしく、【僕】の存在を知らしめるために優しくキズつける・・・。

「目を閉じて 浮かべた 密やかな逃げ場所は
シチリアの浜辺の絵はがきとよく似てた
砂ぼこりにまみれて歩く 街は季節を嫌ってる
つくられた安らぎを捨てて」

うーん、前半もかなりの推論で固めましたが、後半はもう私の想像の及ぶところではありません。ホント難しい・・・。
昔、2人でシチリアの浜辺に行ったことがあったのかな?

「街は季節を嫌ってる」

季節が流れていくこと(【僕】が死んでしまったまま、時が経つこと)を拒んでいる?

「つくられた安らぎを捨てて」

周りのみんなはもう過去のものとして消化していき、日常を取り戻していくけど、【君】はそんなことを受け止められない。ずっと悲しんでいる。それをこう表現するのは、圧巻です。

だから、猫になって、【君】を支えたい。
死んだ【僕】が【君】を思って、「せめて猫になって君の元に戻ってあげたい」と歌っている。

そういう曲だと解釈しました。

ほのぼのテイストの音楽に乗せた、とっても悲しい歌。

2022年9月5日 トラジロウ

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