スピッツ「アパート」 そう 恋をしていたのは 僕の方だよ
1992年9月リリースのアルバム「惑星(ほし)のかけら」の5曲目。
初期の曲っぽい。
言葉の魔術で、聴き手を惑わし、それでいて、作り手の方向性に導くという現在の草野さんの手法とは微妙に違う歌詞ですね。
どちらかと言えば、分かりやすい歌詞。
「僕」が恋していた相手のアパートがなくなっちゃった、という曲。
「僕」は、「誰の目にもお似合いの2人」に見えたパートナーがいなくなってから、本当の大切さに気付いたんだろうか?
「そう 恋をしていたのは 僕の方だよ
置き去りにして いつもわがまま ないものねだり
わけも分からず 青の時は流れて」
サビの切なさが心にしみますね。
なかなか立ち直れない「僕」は一人きり。
サビの最後の「壊れた季節の中で」って、どういう意味なんだろう?
こういう惑わせる言葉がもっとあふれるように詰め込まれていく後のスピッツ曲。このアパートにもその片鱗が見えているのが、この言葉かもしれませんね。
コロナ禍に苦しむファンのために、スピッツは2020年5月、「2013年9月14日に横浜の赤レンガ倉庫隣の野外特設ステージで行われたライブ『横浜サンセット』」の動画を無料公開しました。今は閲覧できなくなっていますが、このライブの中盤に演奏された「アパート」を聴いて、「あれ?こんないい曲、あったっけ」と再認識させられてからずっと好きです。
スピッツのほとんどの曲を聴いてるつもりでも、新たな発見が次々あるのが草野さんの歌詞の良さですね。
2022年7月21日 トラジロウ
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