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スピッツ「ナンプラー日和」 イジメだらけの世界でも どこかに光があるもんだ

2005年1月リリースの「スーベニア」の5曲目。
異色です。
スピッツでは、沖縄民謡を取り入れた唯一無二の楽曲ではないでしょうか。
「あ、沖縄だ」と誰もが一瞬で分かる前奏になっています。でも、題名はナンプラー・・・。

とても、たくさんの元気をもらえます。

取り入れたのは、沖縄のカチャーシーという踊り歌。
ウィキペディアによると、
「テンポの速い沖縄民謡の演奏に合わせて踊られる、両手を頭上に挙げ、手首を回しながら左右に振る踊り。多くは演奏会や宴席のクライマックスとして踊られる。沖縄方言の訛で『かき回し』という意味であり、頭上で手を左右に振るさまが、かき回すように見えるため呼び名がついた」
とある。

三線の演奏は「よなは徹さん」という方だそうです。
過去のセトリを見てみると、演奏されたのは、2005年の「ジャンボリーツアーあまったれ2005」(70回公演)のみ。
私は行けていないので、知らないのですが、このときの三線の演奏はどうしたのでしょうか?

草野さんがナンプラー日和について、沖縄のカチャーシーが好きで、いつか自分たちの楽曲に取り入れたいと思っていたと語っています。
沖縄の音楽は「生きることに対して前向きなメッセージを発しているものが多いように感じる。だから、歌詞もそういう風につくちゃった」と。

歌詞を見ていきましょう。

「愛しいあの娘の笑顔で 楽しい時間がになりそうさ
イジメだらけの世界でも どこかに光があるもんだ」

さすがの草野さんもこの曲に毒は入ませんね。
「チャンプルー日和」とせずに、「ナンプラー日和」としてハズしたところが、草野さんらしいところでしょうか。

沖縄音楽の陽気さにつられ、草野さん独特の「死ぬなよ、生きろよ」というメッセージをマイルドにして、ナンプラー日和の歌詞に練り込んでいる。

「あふれ出すような強い気持ちを
こめて歌おうよ 風に逆らって おおおお 飛ばせ」
「遠慮はしないで 生まれたんだから
炎になろうよ 考える前に おおおお 燃やせ」

さまざまな人の置かれた状況によっては、強い「がんばれ」のような気もしますが、この曲調にのせてしまえば、しっくりとくる。

沖縄の悲惨な歴史を踏まえながら、そこに正面から立ち向かうことは避け、前向きに生きる強さをうまくスピッツに取り入れた曲だと思います。

沖縄と言えば思い出す。THE BOOMの「島唄」のようなメッセージ性の強い作品は、スピッツらしくないような気もしますからね。

それにしても、この「スーベニア」というアルバムは、応援歌のような曲がたくさんありますね。

2022年8月21日 トラジロウ

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