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橘いずみ「永遠のパズル」 それだけの喜び 本当に君を救っているかい?

ウィキペディアによると、「永遠のパズル」は1994年4月25日に橘いずみさんの6枚目のシングルとしてリリースされた。

橘いずみさんの活動については、正直言って、追っていないので、あまり分からないのですが、この曲の歌詞が、自分自身に投げかけてくる圧倒的な挑発を、今でも強烈に覚えている。

改めて聴き直して、50歳の自分に当てはまりすぎるこの挑発曲を見ていきたい。

「自分までだまし 首尾よく生きてなんになる
全力を尽くし 倒れてしまえばおしまい
だけど ひとつひとつ 祈ることだけが
うまくやるコツと学んできたよ
それぞれの理由で 流した涙の数だけ
それだけの喜び 本当に君を救っているかい」

ああ、今の自分が正にそうだ。自分をダマし、首尾よく出世っぽいものをして、生きている。本当にやりたいことはこんなことじゃないのに。
言われたことを、手際よくこなし、うまくやり過ごしている。
その引き換えにもらっている収入なんて、自分を救ってなんかいない。むしろ、この10年間は人生をどぶに捨ててしまっているようなものだ。
だが、その道をハズれる勇気が今一つ出てこない。
この曲、50歳の私が聴くのは、痛すぎる・・・。

「他人の気持など 簡単に理解できない
自分に置き換えて 考えるなんて意味がない
そうさ いつか君が 出会う真実は
君だけのために輝くはずさ
自分より大きな 自分の影を追いかけて
いつまでも絶対 追い越すことなんてできない 悲しいけれど」

ここのフレーズは、痛みはない。
他人の気持ちは、考えるけど、それが想像の範囲でしかないことは認識しているつもり。
でも、その範囲でしか考えられないのが現実で、想像と現実は大きく異なっていることが多い。
こちらの「配慮」は、まるで「悪意」のように受け取られることなどは日常茶飯事だ。その経験から、基本的に誰も信じない方がいいと思うようになっちゃってるなあ。

「志は高く 夢は天を越えて いつかひとつになれば幸せ そうだよね
努力が一番 向上心を忘れず 辛いことも忍耐 あきらめず
清く正しく道草もせず まっすぐ進んで壁にぶつかって とにかく負けないで
礼を尽くして 弱き者を助け 自分を殺し人を恨まず
わかってる よくわかってる でもできない」

ここがこの曲のクライマックス。まあ、いろいろ、理想は何一つ実現しないよねえ。結局、何もできない。この歌詞の通りだ。

「迷ってるうちに 日が暮れて前が見えない
暗がりの中で 誰かの足跡探しているよ
流した涙の数だけ それだけの喜び 本当に君を救っているかい
本当に君を救っているかい」

迷っているうちに50歳になった。もう、あたりは暗がりだ。
誰も救ってくれないことに気づいているはずなのに、ここから飛び出せない。
やるべきなのか?
まだやれるのか?

はあ。痛い、痛すぎる曲だ。

トラジロウ 2022年9月30日


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